ツイノベ 266-270

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小説
正論を撒き散らしながら、言葉の暴力で殴ってほしい。君の事を認めた上で、君の事を嫌いになりたい。「幸せじゃなくてもいい」と言える人は、最初から幸せな人だからだよ。憧れを捨てた東京には、君のような人が大勢いるのですね。去年を置き去りにして、また、今年が始まりました/№266 帰郷

新年を迎える度に、何か目標を見つけなくては。何か結果を出さなくてはと意気込む。街の景観が変わることが細やかな調整であるように、新年を迎えることは人生の強制大型アップデートなのだろう。偶然見つけたバグを利用して、なんとか生き抜いた日々を、これからも生き抜くために/№267 橙

目が覚めると、天井の高い長方形の部屋にいた。テトリスのBGMと共に様々な形のブロックが落ちてくる。慌ててよじ登ったり、避けたり、向きを変えたりと、ブロックに挟まれないように、両腕と両足を揃えて縦一直線になる。その途端、ブロックと自分の体が明滅して消えてしまった/№268 テトリス

去年の手帳を見ながら、新しい手帳に親しい人の誕生日を書き込んでいく。その様子が思い出の引き継ぎ作業のようにも思えた。一通り書き終えて、嫌いになってしまった人の誕生日を書いていないことに気付く。そうやって誕生日を失ったあの人は、まだ、どこかで生きているのだろうか/№269 サイハテ

「この言葉ください」私が指差したのは『大好き』だ。今や言葉を買う時代になった。『令和』の言葉が買えなかった人達は世界が終わってしまう。元号が変わろうとするグレーゾーンにて、運命がとおせんぼする「平成の内に死んでしまうので、せめて、この言葉を一人へ伝えたいんです」/№270 おわかれ

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