「もねちゃん、だいじょうぶ?」
抗がん剤の副作用がひどい時、友人の家に泊めてもらうことがありました。
5人家族で子供が3人の絵に描いたような温かい家族です。
抗がん剤投与一日目の夜は地獄でした。
船酔いが6時間以上も続くような感覚や高熱にうなされます。
それを知った友人一家がある日、私に提案してくれたのです。
「もねちゃん、一人では心配や。抗がん剤の日はうちで寝たらええよ」
その言葉に甘えてみたのです。
3人の子供たちよりも先に布団に入りました。
一人部屋を使わせてくれたので誰もいません。
でも、やっぱりしんどくて眠れませんでした。
時間が刻々と経過していくだけで熱もどんどん上がっていく感覚です。
すると深夜そっとドアが開いたのです。
「もねちゃん、だいじょうぶぅ?」一番下の女の子が見回りに来てくれたのです。
情けないことに私は声も出ません。
女の子はぬいぐるみを枕元に置いて、そっと出ていきました。
それから間もなくして
「もねちゃん、ねむれる?」
今度は長男君。
同じくぬいぐるみを置いてくれました。
そしてしばらくして今度は長女ちゃん
「もねちゃん、だいじょうぶ?」
その夜は代わるがわる子供たちが見回りに来てはぬいぐるみを私の枕元に置いてくれたのです。
朝起きたら10匹以上のぬいぐるみに囲まれていました。
声も出ないし、笑顔も作る余裕がなく、しかもカツラを外して寝ていたので、子供たちにとってはもしかしたら少し怖かったかもしれません。
あの頃の写真を今日、たまたま見つけました。
顔面蒼白で目も半分しか開いていません。
子供たちは私のそんな姿をみて何を思っていたのかな。
そしてこれは予想だけど、『深夜の見回り』は友達(子供たちの両親)の計らいだったようにも思います。
でも実際に朝起きてぬいぐるみの話をすると友達は知らん顔で
「ほんまに~?いや~めっちゃいい子たちやな~」と笑っていました。
孤立して生きてきた私に、人のあたたかさを教えてくれたのだと感謝しています。
人はあたたかい。
辛いときこそ、それが身に沁みます。
生きていて良かったな。
これからは私があなたがそう思えるように、あなたのお話を聴かせていただきたいと心から願っています。
お電話が苦手な方はチャットでもお話が出来ます(*^^*)
あなたはもう一人ではないのです。
もね