近年ニュースなどで芸能人が「パニック障害のため休養」、「うつ病のため活動休止」と報道されることが増えてきましたね。
明るくて元気だった人が次に会った時には、別人のような顔で塞ぎ込んでいることも少なくありません。
人は見かけによらずストレスや悩み事を少なからず抱えているものです。
今回は、主な精神疾患である「うつ病」「パニック障害」についてメンタルヘルス心理カウンセラーの資格を持つカウンセラーが解説していきます。
うつ病とは
うつ病の発症の原因は解明されていませんが、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に脳内の神経伝達物質の働きに何らかの不調が生じ、感情がうまく調節できなくなると考えられています。
誰しも日常生活のさまざまなことで、つらく悲しい気持ちになることはあります。気分転換や原因が解消するなど、時間の経過とともに回復していくものです。
しかし、うつ病の場合は原因が解消しても気分が回復せず、仕事や学校に行けないこともあります。また気分が落ち込むような明らかな原因がないにもかかわらず気分が晴れないこともあるでしょう。
うつ病はつらく悲しい体験をした出来事のみならず、結婚や妊娠、出産、昇進などといった嬉しい出来事の後にも発症することもあります。
うつ病になりやすい人の症状
うつ病の発症はもともとの性格に関係があると言われています。また、主なココロの症状と身体に表れる症状を解説していきます。
:性格
■責任感が強い
■周囲からの評価が気になる(過剰)
■仕事熱心
■几帳面
■完璧主義
など。
:ココロの症状
■趣味や好きだったことへの興味がなくなる
■人付き合いが嫌になる
■服装や外見を気にしなくなる
■物事を悲観的に考える
■意欲がなく1日中気分が落ち込んでいる
■飲酒量が増える
など。
:身体に表れる症状
■食欲がわかないまた食べ物が美味しく感じられない
■性欲減退
■睡眠障害(不眠、過眠)
■頭痛、めまい、動悸
■味覚障害
■腹痛や胃の不快感
など。
うつ病というと、憂うつ感や気分の落ち込みなど精神的症状がよく知られていますが、頭痛や肩こり、疲れやすくなるなどうつ病とは関係ないような身体的症状が目立つこともあります。
症状が2~3週間以上、あるいはほとんど毎日続いている、日常生活に支障が出る場合にはうつ病の可能性もありますので精神科や心療内科を受診しましょう。
うつ病の主な治療方法2つ
うつ病は、症状に合ったお薬で治療を開始することが多いです。
うつ症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら少しずつ回復していきます。焦らず気長に治療していくことが望ましいですね。
:休養
心と身体を休ませることは、うつ病の治療に対して一番大切なことです。
職場や学校などで受けたストレスを軽減できるように環境を整えて自宅でゆっくり過ごしたり、しばらく休暇をとったり、心身のストレスがしっかりとれるようにしましょう。
:薬物療法
薬の服用を開始してもすぐに効果が表れないので、継続して服用する必要があります。
本人の状態によって「睡眠導入薬」や「気分安定薬」などが処方されます。
必ず主治医の指示に従い、薬の増減や自己中断せず焦らず服用するようにしてください。
パニック障害とは
突然、何のきっかけもなく動悸や手足の震え、息苦しくなるなどの耐え難い不安に襲われるパニック発作が起きる精神疾患です。
発作時の症状は長くて数十分ほどですが、耐え難い不安や恐怖、窒息感で死んでしまうのではないかと思い、救急車で病院へ運ばれることも多々あります。
電車やバス、飛行機の中など閉じ込められた空間では逃げられないと感じ、パニック発作が起きます。
自分ではコントロールすることが難しく、また発作が起きたらどうしようと不安になり、外出ができなくなってしまうケースもあります。
:予期不安
パニック発作を繰り返すうちにまた発作が起きるのではないか、と次の発作を恐れることが予期不安です。
次は死んでしまうのではないか、次はもっと大きな発作が起きるのではないかと不安が消えなくなります。
車や公共の乗り物に乗れなくなる、1人で外出できなくなるなど日常生活に支障をきたします。
:広場恐怖症
「広場恐怖症」は発作が起きた時、その場から逃げられないのではないか、誰も助けてくれないのではないかと思い、発作が起きた場所や状況を避けるようになります。
苦手な場所とは1人での外出や歯医者へ行くなど広場とは限らず人によって恐怖を感じる場所はさまざまです。
パニック障害の原因と症状
パニック障害もうつ病と同様に発症の原因はまだ解明されていませんが、脳内の伝達部室の働きに関係があるのではないかといわれています。また環境やストレス、睡眠不足、風邪など身体の不調がパニック発作を誘発する要因であるとされています。
パニック障害になったらどういう症状があるのか?
主なココロの症状、身体に表れる症状を解説していきます。
:ココロの症状
■発作が起きた時このまま死んでしまうのではないかという恐怖
■自分が自分ではない感じる
■現実味がなく今起きていることは夢ではないかと感じる
など。
:身体に表れる症状
■動悸や胸の痛み
■発汗
■身体が震える
■呼吸が早くなる、喉に何か詰まったように窒息感がある
■めまいやふらつき
など。
パニック障害は放っておいても自然に良くなることはあまり期待できません。
上記症状に当てはまる場合は精神科、心療内科への受診をおすすめします。
パニック障害の治療方法
パニック障害は薬物療法で効果が発揮しやすいといわれています。薬を飲まないで「気合で治す!」と思う方もいるかもしれませんが、あまり得策とはいえません。
薬は人によって効果が違うため、効き目を確認しながら薬を変更したり、増減したりする必要があります。
薬が効いたからといって自己中断や減薬すると再発してしまうケースも多いです。
主治医の指示のもと、薬の量と回数を守って服用してください。
その【不調】見ないフリしても大丈夫?身近に潜むココロの病気。まとめ
誰でも気分が落ち込む、仕事や学校で失敗した、大切な人との別れなどが原因で、つらく悲しい気持ちになることはあるでしょう。原因が解消されず気分が晴れない、身体がだるいなど症状が出ている場合は無理をせず精神科、心療内科への受診をしましょう。
薬を飲み続けると調子が良い日もあれば悪い日もあります。症状は一進一退を繰り返しながら、徐々に改善していきます。
症状が悪化するたびに「自分はもうだめだ」と思うこともあるでしょう。早く治さなきゃと焦る気持ちもわかります。
けれど、焦っても症状は軽くなりません。根気強く主治医、家族と足並み揃えて進めばゴールが見えてきます。
『今日は外に少しでも出られた』
『家事ができた』
など、毎日の「できた」を増やして自分を褒めてあげてくださいね。
最後までご購読、ありがとうございます。
あなたの人生が、より楽しく明るくなりますように。