刑訴法の攻略法~司法試験予備試験受験生必見~

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刑訴法で大事なのは対立利益の調和(バランス感覚)

さて今回は、刑訴法について書きます。
「バランス感覚」について肝になる視点を書いておきたいと思います。

私は刑訴法を2つの分野に分けて理解しています。
捜査・裁判です。
捜査分野は、主に刑事裁判が始まるまでの証拠収集手続きの話です。
裁判分野は、刑事裁判手続きの話です。
この中には、上訴の問題や訴因変更の問題、証拠法の問題などが含まれます。

それぞれについて、持つべき視点を示しておきます。
まず、捜査分野については、捜査機関の利益VS捜査対象者の利益です。
ここにいう捜査対象者というのは、被疑者だけでなく、犯罪に関与していない一般の人も含みます。

刑訴法第1条では、同法の目的として「人権保障と実体的真実の発見の調和」を規定していますが、この規定がとても分かりやすく現れるのが捜査分野です(もちろん、その他の分野でも当該目的を念頭に置くべきですが・・・)。
捜査機関の利益を尊重して捜査権限を広範に認めれば、捜査対象者が捜査を受任せざるを得なくなるため、財産権や身体の自由が奪われるリスクが高まります。
しかし、捜査権限が広範に認められることで捜査から明らかになる事実が増えることでしょう。

他方、捜査対象者の利益を尊重すれば、自由に捜査できる範囲は、必然的に狭まってきます。
人権は守られるとしても、犯罪者が捜査の手を免れる余地を増やすことになり、実体的真実の発見が劣後する可能性が高まります。
つまり、捜査分野は、上記の対立利益が天秤にかけられているのと同じことです。
どちらか一方ではなく、両方ともに配慮できなければ、妥当な解決は図れません。

次に裁判分野について考えます。
この分野では、裁判所・検察官・被告人(弁護人)の三者の関係性が問題となります。
三者が同時に登場することについてあまり問題意識を持たない人も多いようですが、法律関係について検討する場合、多くは、二当事者対立構造の中で検討を進めます。
そのため、実際に問題を解いてみると三者間の調整を図ることに戸惑いを感じることが多いと思います。

これは、単純に慣れていないことが原因だと思います。
「登場人物の特定→各人の具体的利益の特定→利益調和を図る基準」という枠組みを基本にしながら、少しずつ慣れていきましょう。
教科書を読んだり、論証集を読んだりする際、「本当に三者間の問題なのか?」と疑問に感じることもあるかもしれません。
そんな時は、あえて三者それぞれの利益に着目できるよう自分なりの論理を組み立ててみるのも面白いかもしれません。

最初は難しいかもしれませんが、一度できるようになると、以降瞬間的に「隠れた法律関係」に気付けるようになります。
これが多角的なものの見方の伸ばし方です。
刑訴法は、法律家として大切なバランス感覚の養成にとても有益な科目です。
同じ規範を繰り返し使うため、「覚えることが少なくて、意外と簡単」と思ってしまいがちですが、決してそんなことはありません。
奥深く、有意義な科目であります。

刑訴法の実力を伸ばすにも添削指導を受けながら答案作成を継続する方法がお勧めです。
添削指導をご希望の方は、ぜひコメントお願いします!!

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