大腿骨転子部骨折-壮年期-術後3日目-ヘンダーソン-1-アセスメント

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【はじめに

このブログでは、アセスメントの見本をご紹介していきます。 
私が看護学生や新人看護師の時、看護過程の展開をするにあたって、どのように記載したら良いか分からずに困った経験があります。
そんな時、先生や先輩のアセスメントの見本を確認させて頂き、
「なんだこんな風に書けばよかったのか!」と今まで悩んでいた書き方が、
一気に整理できるようになりました。

「百聞は一見に如かず」という言葉もあるように、
書き方の見本を参考にすることで、理解が進み、自分の知識も広がります。
また、日本語の使い方や言い回しについて、学習することができるので、文章力をつけることにも役立つと考えています。

ぜひこのブログを参考にして、ご自身のアセスメント力の幅を広げる糧にして頂ければ幸いです。


当ブログの内容は、ご自身の課題や実習への使用に限り、自由に使用して良いです。ただし、あくまでも見本なので、自己責任で使用するようにしてください。

当ブログの内容を無断で複製・転用することは、許可していません。
著作権侵害に当たるので、他の方に見せたり、コピーして配布することは禁じます。

注意点を守って活用していただければ幸いです。


内容は適宜、最新の内容に更新します。
看護学生さんの力になれるレベルを目指して作成していますが、アセスメントや看護計画の作成時間は、事例によって異なりますので、確認する方によっては、一部不十分な部分がある場合があるかもしれません。

【サービス紹介】


事例の見本を作ってほしい!
アセスメントの書き方がどうしても分からない!
といったお悩みの方は、こちらのサービスを利用もございますので、
興味がある方は、気軽にご相談ください。
※ 時期によっては対応できないこともあるのでご了承ください。


【患者情報】

A氏、50歳、男性。家の近くの建設会社で建設作業員として働いている。
家族は50歳の妻(パート勤務)と23歳の娘(会社員)の3人暮らしである。キーパーソンは妻。
既往歴なし。アレルギーなし。身長170㎝、体重75㎏。
A氏の性格は几帳面でまじめな性格である。
食事は1日3食摂取しており変色もなく、飲酒もしない。嗜好として1日10本のタバコを吸っている。
排便は毎朝1回あり。排尿は7~8回/日。入院前は日常生活活動の全てを自分でできていた。
友人と時々釣りに行ったり、休日に妻と一緒に散歩をすることが唯一の趣味である。
特別な信仰はない。
【受傷から入院までの経過】
高所での作業中、足を踏み外し転落。左股関節の激痛を訴え、救急搬送される。
X線像による診断の結果、左大腿骨転子部骨折(Evans分類 Typel group1)と診断され、手術目的のため入院となる。 入院に際して、「急にこんなことになってしまって...。妻に心配をかけてしまって申し訳ない」、「また前のように仕事ができるか心配」と話している。
手術に対しては、「手術をしたことがないから少し不安だが、先生にお任せして頑張るしかない」と話す。
【入院時の状態】
体温:37.2°C、 脈拍:124回/分、 呼吸数:30回/分、 血圧:158/98 mmHg、Spo2:96%
骨折部の強い痛み、腫脹あり。体動時激痛を伴う。患肢やや外旋傾向。
冷感・チアノーゼなし、左下肢知覚麻痺なし、足趾・足関節底背屈運動可。
術前血液検査データ:RBC 451 万/u1、 WBC 8360/μl Hct 46.9% TB 0.9mg/dl GOT 28U/L GPT 21U/L ALP 252U/L γ-GTP 38U/L LDH 182U/L UN 17mg/dl Cr 0.8mg/dl Ccr122mL/min Hb16.5g/dl CRP 4.2mg/dl BS 102mg/dl TP 7.9g/dl Alb 4.8g/dl PLT 32.6万/ul PT 11.3秒 APTT 36.3秒 Dダイマー0.7μg/ml
安静度:ベッド上安静。寝返り、起き上がりは自力でできず介助を要する。
食事:ギャッジアップにて自力摂取可能。
薬剤:疼痛に応じて鎮痛薬を使用。(疼痛時ロキソニン60mg1錠)
排泄:尿器・便器を使用し排泄。(一部要介助)
処置:患肢スポンジ架台で軽度挙上し、保持。弾性ストッキングの装着。患部の冷却。
【医師からの説明】
「明後日、骨折している部分にスクリューを入れて骨と骨をつなぎ合わせ、接合部の安定性を高めるためにプレートと組み合わせる手術を行います。手術は、手術室に入ってから終わるまで約2~3時間ですが、実際の手術時間は約1時間くらいです。」
【手術方法】
術式:骨接合術 麻酔:腰痛麻酔
【手術前日】
体温:37.6℃ 脈拍:118回/分 呼吸数:28回/分 血圧152/90mmHg
術前呼吸機能検査:肺活量3270ml %VC82.7% 1秒率71.5% SpO2:98%
心電図所見:異常なし。胸部Xp:異常なし
食事:普通食 夕食まで摂取可。(水分摂取は21時まで)
清潔:全身清拭 爪切り ひげ剃り
処置:男性ストッキング・フットポンプの装着、患部の冷却継続
運動:足関節底背屈運動の励行
A氏、「初めてなので少し緊張します。早く手術が終わって欲しい。」
【手術当日】
体温:37.5℃ 脈拍:120回/分 呼吸数:22回/分 血圧:156/92mmHg SpO2:98%
食事:朝食より絶飲・絶食
清潔:洗面、髭剃り、手術着に着替える
処置:持続点滴開始 ソルアセトF 500ml1本
A氏、「緊張しますが、ここまで来たら先生や看護師さんに全てお任せします。」
【術後の経過】
<術直後(帰室時)>
意識レベル:JCS0 体温:36.2℃ 脈拍:104回/分 呼吸数:23回/分 血圧:116/72mmHg SpO2:96% 手術時間:1時間 術中出血量:58ml
頭痛・嘔気なし。下肢冷汗軽度あり。チアノーゼなし。下肢知覚は膝までなし。
呼吸音両下肺野弱め・左右差なし。
腸蠕動音なし。足背動脈蝕知可能。創部ガーゼ汚染少量・淡血性。創部痛軽度あり。
膀胱留置カテーテル挿入中 400ml貯留。
処置:持続点滴ソルデム3A500ml1本。終了後、点滴抜去の指示あり。弾性ストッキング・フットポンプ装着、創部の冷却。
A氏、「やっと終わってひとまず安心しました。」
【術後1日目】
体温:37.5℃ 脈拍:76回/分 呼吸数:20回/分 血圧132/80mmHg SpO2:98%
術後血液検査データ:RBC440万/µl、WBC10072/µl、Hct43.2%、TB0.8mg/dl、GOT31U/L、GPT42U/L、ALP220U/L、γGTP32U/L、LDH177U/L、UN14㎎/dl、Cr0.6mg/dl、Ccr122ml/min、Hb10.2g/l、CRP11.6mg/dl、BS97mg/dl、TP6.2g/dl、Alb3.9g/dl、PLT38.4万/µl、Dダイマー0.8µg/ml
頭痛・嘔気なし、下肢冷汗なし、チアノーゼなし、知覚麻痺なし、痺れなし。
足背動脈蝕知可能。ホーマンズ兆候なし。
両肺副雑音なし、腸蠕動音弱め。創部発赤・腫脹・出血認めず。
処置:午前膀胱留置カテーテル抜去。夕方フットポンプ除去。男性ストッキング装着継続。創部の冷却継続。採血、尿検査、胸部XP指示あり。
食事:ベッドアップにて自力摂取可能だが、起き上がり時に創痛あり。
清潔:一部介助で全身清拭。洗面・髭剃りは自立している。
運動:午後よりベッド上にてリハビリ開始。(患肢の足関節底背屈運動、健肢の屈伸運動 車いす移乗訓練)
A氏、「体を動かすと少し傷が痛い。」「早く歩けるようになりたい」
【術後2日目】
体温:37.1℃ 脈拍:72回/分 呼吸数:18回/分 血圧122/72mmHg SpO2:98%
術後血液検査データ:RBC440万/µl、WBC10072/µl、Hct43.2%、TB0.8mg/dl、GOT31U/L、GPT42U/L、ALP220U/L、γGTP32U/L、LDH177U/L、UN14㎎/dl、Cr0.6mg/dl、Ccr122ml/min、Hb10.2g/l、CRP11.6mg/dl、BS97mg/dl、TP6.2g/dl、Alb3.9g/dl、PLT38.4万/µl、Dダイマー0.8µg/ml
検尿:pH6.2 比重1.022 蛋白(-) 糖(-) ケトン体(-) 鮮血(-) 白血球(-)
胸部Xp:異常なし
頭痛・嘔気なし 呼吸苦・息切れなし 創部痛軽度あり 下肢冷感・チアノーゼなし
知覚麻痺・しびれなし 足背動脈触知可能 ホーマンズ兆候なし
両肺副雑音なし 腸蠕動音良好
排泄:トイレまで車いす使用し、移動可能
処置:弾性ストッキング装着、創部の冷却
清潔:全身清拭
運動:リハビリ訓練室にて患肢荷重開始 平行棒内立位・歩行訓練開始
【術後3日目】
体温:36.9℃ 脈拍:74回/分 呼吸数:18回/分 血圧126/70mmHg SpO2:98%
頭痛・嘔気なし 動作時創部痛軽度あり
清潔:創部に防水フィルム貼付し、シャワー浴可能
運動:歩行器での歩行訓練開始
A氏「傷の痛みもだいぶ良くなってきた。早く家に帰りたい。」と話す。

【アセスメント例】 

〇正常に呼吸する アセスメント内容

【記載する内容】
■呼吸数 ■肺雑音 ■呼吸機能 ■経皮的酸素飽和度 ■胸部レントゲン
■呼吸苦 ■息切れ ■咳・痰喫煙歴 ■アレルギー ■自宅周辺の大気環境 など
■呼吸とは生理学的に、空気中から酸素を取り入れ、細胞の代謝によって生じた二酸化炭素を排出するガス交換のことをいう。この働きが何らかの形で妨げられると、低酸素血症となり、臓器不全が徐々に進行し、自覚症状として呼吸苦が出現する。
A氏の術前の呼吸機能について評価する。肺活量について、A氏の年齢と身長から平均肺活量は約3745ml(男性 (ml) = (27.63−0.112×年齢)×身長cm)であり、術前呼吸機能検査3270mlと大きな乖離はないと考える。肺活量(VC)とは最大吸気位より最大呼気位までの容量で、この量が標準と比べて低い(80%未満)場合、拘束性換気障害を疑うが、A氏は82.7%であり問題はない。努力性肺活量(FVC)とは最大吸気位から最大呼気位まで一気に呼出させた呼出量をいいますが、1秒量(FEV1)を努力性肺活量(FVC)で割った値を1秒率(FEV1.0%=FEV1/FVC)と呼び、この1秒率(FEV1.0%)が70%未満のとき、閉塞性換気障害を疑うが、A氏は71.5%であり、問題はない。
■今回の腰椎麻酔での手術で、安静に寝ていることで、肺が十分に膨らまなくなり、気道が閉塞しやすく、痰が溜まりやすくなる。痰が貯留することで、細菌を繁殖させ、肺炎を起こす危険性がある。
■肥満者、喫煙者、既往に呼吸器疾患がある方、栄養状態が良くない方は、呼吸器合併症を起こすリスクが高まる。A氏は喫煙歴を持っており、合併症のリスクは高いと考える。
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