膵がん-老年期-入院時-ゴードン-1-アセスメント

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【はじめに】

このブログでは、アセスメントの見本をご紹介していきます。
私が看護学生や新人看護師の時、看護過程の展開をするにあたって、どのように記載したら良いか分からずに困った経験があります。
そんな時、先生や先輩のアセスメントの見本を確認させて頂き、
「なんだこんな風に書けばよかったのか!」と今まで悩んでいた書き方が、
一気に整理できるようになりました。

「百聞は一見に如かず」という言葉もあるように、
書き方の見本を参考にすることで、理解が進み、自分の知識も広がります。
また、日本語の使い方や言い回しについて、学習することができるので、文章力をつけることにも役立つと考えています。

ぜひこのブログを参考にして、ご自身のアセスメント力の幅を広げる糧にして頂ければ幸いです。


当ブログの内容は、ご自身の課題や実習への使用に限り、自由に使用して良いです。ただし、あくまでも見本なので、自己責任で使用するようにしてください。

当ブログの内容を無断で複製・転用することは、許可していません。
著作権侵害に当たるので、他の方に見せたり、コピーして配布することは禁じます。

注意点を守って活用していただければ幸いです。


内容は適宜、最新の内容に更新します。
看護学生さんの力になれるレベルを目指して作成していますが、アセスメントや看護計画の作成時間は、事例によって異なりますので、確認する方によっては、一部不十分な部分がある場合があるかもしれません。

【サービス紹介】

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興味がある方は、気軽にご相談ください。


【今回の情報】


〇 基本情報

・氏名 年齢 性別:Cさん 男性 70代
・現病歴:膵頭部癌
・既往歴:前立腺癌:3年前に手術で治療済み。高血圧症:10年以上前から薬物治療中。 
・身長(㎝)体重(㎏):170㎝ 53㎏
・家族構成:配偶者:妻(68歳)子供:2人(長男、次男)
・職業:職業:元小学校教師、現在は退職。 ・性格:穏やかで誰に対しても優しく接することができる。また、人の話をよく聞き、相手の気持ちに共感することができる。
・嗜好 趣味:嗜好:コーヒーが好きで、毎日1日3杯ほど飲んでいる。甘いものも好きで、お菓子やケーキをよく食べる。趣味:読書が趣味で、特に歴史小説や時代劇が好き。また、旅行も好きで、定年退職後は妻と国内外を旅行して回っていた。

〇 ADL・食事など
・歩行 移乗:倦怠感や嘔気増強時、夜間は車いす。日中は見守りつかまり歩行。
・排尿:排尿: 1日5~6回、量は適量。特に問題はない。
・排便:排便: 1日1回、量は少なめで硬め。便秘気味の状態が続いている。
・食事:朝食: ごはん1/3、味噌汁、納豆、トマト、みかん 昼食: 豚汁、ごはん 1/2、サラダ、りんご
夕食: うどん1/2、きんぴらごぼう、豆腐とわかめの味噌汁、ヨーグルト
食欲不振があり、主食の量は少なめ。口内炎のために刺激の強い食品は避け、柔らかいものや栄養のあるものを選んでいる。
・水分:500ml~700ml/日
・嚥下力:問題なし
・睡眠:化学療法開始後、夜間も吐き気で眠れないことがあった。本人の希望時にゾルピデム錠5㎎を頓服で使用。
・入浴:シャワー浴のみ、入浴は倦怠感が強く希望せず。もともとは温泉好き。 ・着脱衣:一部介助
・服薬:看護師が配薬
・コミュニケーション:良好
・社会参加:以前は地域の老人会に参加
・アレルギー:なし
・信仰:神教

〇 入院経緯
 Cさんは、主訴として腹部の張りと食欲不振を訴え、内科を受診。内視鏡検査の結果、膵頭部に腫瘍が見つかり、総合診療科から外科の専門医に紹介された。手術が可能かどうかの判断のためにCTやMRI等の検査を行ったところ、肝臓にも多数転移が見つかり手術が困難な状態であることがわかった。そこで、主治医から化学療法を行うことを提案し、Cさんは化学療法を受けることになり入院することとなった。
 3週間の治療で1クールの化学療法ゲムシタビン(Gemcitabine)単剤療法を予定として治療が開始となった。最初の数回の化学療法は、比較的順調に進んでいたが、中盤になると副作用が強く出始め、Cさんの体調は徐々に悪化していった。2回目以降の治療において、特に吐き気や食欲不振が激しく、点滴中に何度も吐いてしまうことがあった。また、下痢も激しくなり、脱水症状が心配されたため、点滴中に水分を摂るように指導されました。しかし、3回目の治療後、副作用がさらに強く出始め、化学療法の効果も限定的であったため治療を中止することになった。医師は、現状で化学療法の副作用による全身状態の悪化と治療の効果が乏しいため化学療法の継続を中止することを判断した。今後は対処療法、緩和ケア治療に切り替えることをCさんに提案しました。Cさんは、医師の提案に同意し、今後は化学療法を中止して緩和ケアを受ける方針となった。化学療法を中止後は食欲不振と倦怠感が持続しており、嘔吐はないが時々嘔気の出現がある。数日前から背部や上腹部に痛みが持続することが増えてきており、定期薬以外に頓服薬を日中や寝る前に1回~2回使用している。内服で苦痛の緩和を図っているが、非オピオイド鎮痛薬での効果が得られなくなれば、今後はオピオイド鎮痛薬の使用を検討する方針である。

〇 治療経過

〇 バイタルサイン(入院時)
体温 :37℃ 血圧:95/60㎜Hg 脈拍 :59回/分 SPO2 :99% 呼吸数 :18回/分

〇 本人の言動
(C氏)
「正直、治療が中止になると聞いた時は、落胆しました。これまでの治療が効果を上げていなかったので、化学療法が最後の頼みだったと思っていたからです。でも、副作用が強くて苦しい日々を送っていたので、身体的な負担が軽減されると思うと、ほっとしています。」
「治療が中止になるということは、今後自分がどうなっていくのか不安です。。。家族にも迷惑かけたくないし、心配かけたくない。」
(妻)
「私たち家族もショックでした。息子たちとも話して、あとは本人を支えるしかないと思ってます。きっと色々我慢してると思うので、、、」
「私たち家族は、これからの日々を大切に過ごすことを考えています。夫が好きなことをしたり、美味しいものを食べたり、家族で支えていきたいと思います。」

〇 内服薬
ロキソニン60㎎3回/日 1回1錠
プリンペラン錠 3回/日 1回1錠
マグミット錠 3回/日 1回錠
センノシド錠 就寝時 1回4錠
レバミピド錠 3回日 1回1錠
※降圧薬は化学療法開始後より血圧低下あり中止中
(頓服薬) カロナール錠500㎎またはロキソニン錠60㎎ 疼痛時4時間空けて
     ゾルピデム錠5㎎ 不眠時1回1錠

〇 採血データ
白血球数 12000 赤血球数 350 Hb 9 Hct 32 PLT 8900 好中球 35 リンパ球 40 TP 6.5 Alb 3.8 T-Bil 1.3 D-Bil 0.8 AST 48 ALT 45 ALP 120 γ‐GTP 100 AMY 289 GLU 110 HbA1c 6.1 Na 140 K 3.4 CRP 2.2 BUN 20 CRE 0.9 Fe(鉄) 60

【アセスメント】


1.健康知覚-健康管理


〇健康状態、受診行動、疾患や治療への理解、運動習慣、服薬状況、身長、体重、BMI、飲酒、喫煙の有無、既往歴

 膵頭部癌の発生原因は、主に遺伝的要因や生活習慣の影響が考えらる。また、喫煙、飲酒、肥満、高脂血症などの生活習慣も、膵頭部癌のリスクを増加させる要因とされている。膵頭部癌の特徴としては、主に膵臓の頭部に発生するため、膵管や胆管への浸潤が起こりやすく、周囲の臓器や血管にも浸潤することがある。また、線維化が進行し、腫瘍周辺には炎症や壊死が見られることがある。症状としては、初期の膵頭部癌は無症状であり発見が遅れることが多い。早期発見が難しいため病状が進行すると、腹痛、黄疸、体重減少、食欲不振などの症状が現れる。また、膵臓内分泌機能の障害により、糖尿病や膵糖尿病などの症状が現れることもある。膵頭部癌の診断には、超音波検査、CT、MRI、内視鏡的超音波検査などが用いられ、腫瘍の生検や血液検査なども行われる。治療には、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法などが用いられる場合がある。手術による完全切除が最も有効な治療方法とされているが、早期発見が難しいため多くの場合は進行が見られる時点での治療となる。これらの治療法は、がんの進行を完全に止めることはできず、症状緩和やQOLの向上に重点を置いた治療法となる場合が多い。

C氏は3年前に前立腺がんで手術治療をしており、経過観察をしていた。高血圧は10年以上前から通院内服治療をしており、内服も継続できており自身のこれまでの疾患に対しての健康管理はできていたと考えられる。今回も自身で腹部の張りと食欲不振で受診行動に至っている。
今回の主訴での受診により初めて膵頭部癌であることがわかり、転移も発見されたため手術治療はできず化学療法を行うこととなった。膵頭部癌は早期発見が難しく、病状の進行に伴い食欲不振や腹部膨満の症状が生じていたと考えられる。化学療法の副作用としては吐き気や嘔吐、脱毛、貧血、感染症、出血、腎臓の機能低下を引き起こす可能性がある。ゲムシタビンによる治療が開始となり、3週1休の1クールでの治療中に2週目以降から消化器症状の副作用が悪化している。 化学療法は、がん細胞を攻撃するために使用される薬剤であり、この薬剤が胃腸の壁を刺激し、吐き気や嘔吐を引き起こすことにより症状が悪化したと考えられる。食欲不振と嘔吐により脱水や、全身状態の悪化により治療が継続できない状況となっている。血液データからも、白血球数12000、赤血球数350、Hb9、Hct32、PLT8900、CRP2.2、AMY289膵酵素と炎症反応の上昇、貧血、血小板減少がみられている。栄養状態については、BMI18.3とやせ型であるが血液データではTP6.5、Alb3.8基準値以内である。今後膵頭部癌が進行すると、膵臓が消化酵素を分泌する能力を失ったため、食べ物を消化することができなくなり食欲不振や嘔気嘔吐症状が悪化する可能性がある。そのため、食欲不振と脂肪吸収不足によって、体重が減少することがあるため経過観察をしていく必要がある。
数日は背部と上腹部に痛みが持続することが増えており、定期薬の鎮痛剤に加えて頓服薬を使うことが増えてきている。入院前は自己で内服管理していたが、入院後は体調の変化もあり看護師が配薬して内服している状況である。今後は病状の進行とともに、膵頭部癌の周囲の炎症や病変が拡大することよる背部痛や上腹部痛の悪化の可能性がある。また、膵臓に生じた腫瘍が胆管を圧迫し、胆汁の流れを妨げることで黄疸が生じる可能性がある。病状の進行に伴う症状の変化に注意した観察、疼痛による苦痛を緩和できるよう疼痛状態の経過を確認していく必要がある。
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