自分が、天皇家の子孫だと一発でわかる「家紋」

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コラム

 日本には5000種類とも8000種類とも言われるほど多数の家紋があります。

 家紋は平安時代ごろに生じて、自家と他家の区別や、氏族グループの判別のためにつけた紋章・文様が元になっています。

 ルーツや先祖を調べる時に、かならず一緒に考慮するのが、この「家紋」なのですが、実は

”家紋から氏族を特定することは非常に難しい”

と言わざるを得ません。

 もちろん、多くの先人の研究者や研究家たちが市井の家紋についてフィールドワークや文献調査を重ねてきて、市販の「家紋辞典」や、インターネットサイトなどに多くの情報があることも事実です。

 それらの研究は大いに正しく、また膨大な積み重ねがあるのですが、それでも

「今みなさんの家で知っている自分の家紋だけで、氏族を判定することはかなり難しい」

と言えるでしょう。

 その理由は「苗字や名字、氏族の姓は、基本的には好き勝手につけることができず、なんらかの背景や経緯がある」のに対して、

「家紋は好きにつけたり、用いることができる」

ためです。

 皇室の紋である「菊」や、江戸時代は徳川家の紋である「葵」など、ごく限られた特定の紋を除けば、庶民でもけっこう好きに家紋をつけることができ、あるいは複数の家紋を使うことができたため、それを遡って判定することが非常に難しいのですね。

 男紋・女紋という概念があったり、替紋というサブの家紋があったり、父方の紋・母方の紋を受け継ぐ場合もあるでしょう。

 そうして元の家紋から変わってしまった場合、氏族と家紋のつながりは変化してしまうのです。



 ただし、注意が必要で、「家紋から氏族を特定する」のは難しいのですが、「氏族が先にわかっていて、家紋を照合する」のは容易です。

 つまり、氏族がわかっている場合は、その家がなぜ今の家紋をつけているのか、その理由を考えるのは比較的わかりやすい、ということです。

 たとえば私の家の家紋は「抱き茗荷」です。抱き茗荷そのものは10大家紋に入っていますから、ものすごくたくさん分布・現存しています。

 なので「抱き茗荷」から氏族を特定することは不可能です。

 ところが、私の家が、もともとは後に佐賀藩主になった鍋島氏もしくはその主君であった龍造寺氏に仕えていたことが判明すると、なるほど「抱き茗荷」になった理由が見えてきます。

 龍造寺氏は、大友氏と戦った折に「茗荷丸(実は抱き杏葉)」の家紋を奪い取り、自分の家の日足紋に加えて使用しはじめました。

 鍋島氏はその後を継ぎますから、佐賀藩主の家紋は「抱き杏葉」です。しかし、この紋は、形は杏葉なのですが、現地では「抱き茗荷」と呼ばれます。

 なるほど、我が家が「抱き茗荷」を使っているのは、龍造寺・鍋島軍団だったから、ということになるかもしれません。ただしこれは「氏族の家紋」ではなく、おそらくは「軍紋」「龍造寺家の家臣団の紋」でしょう。


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 さて、数百氏のルーツ調べをしていて、興味深いことに「この家紋を使っている場合、9割方この氏族である」という繋がりが深いものがわずかにあります。

 これは「その家紋を使うことが、その氏族にとって強いこだわり」になっているもので、家紋から氏族を特定しちゃってもよい、少ない事例だと思います。(もちろん、その中にわずかな例外がある場合も)


■ 隅立て四つ目(目結) 紋

 この家紋を使っている場合、ほぼ「近江源氏・佐々木氏」の分かれであることが多いです。苗字としてはバリエーションが変化していても、佐々木氏もしくは、その濃密な家臣団がルーツであると考えてよいでしょう。

 逆にまったく無関係なのに目結紋を使っている事例にはまだ出会ったことがありません。

 実際には藤原氏の少弐氏などが「寄り掛け目結」紋であるなど、他氏他家の仕様例はほかにあるのですが、まずは第一選択として「目結の場合は佐々木氏の可能性を考える」のはOKと思います。

 近江源氏・佐々木氏は宇多天皇の子孫です。



■ 丸に二つ引き(引両) 紋

 古くは平安時代から使われたのではないか?との説もある古い家紋ですが、清和源氏/河内源氏の足利氏の代表的な家紋です。

 これまた引両紋を使っていて、足利と無関係な実例に出会ったことがありません。

 徳川になる前の「足利将軍家」の家紋であるため、さすがに葵の紋と同様に、他氏、他家での使用がはばかられたのかもしれませんね。

 関連氏族では同系統の源氏・新田氏が「一つ引」を用いているようです。

 こちらも、「引両」が出てくれば「もしかして足利?」と、まずは考えてよいかもしれない家紋ということになるでしょう。

 足利氏は清和天皇の子孫です。


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 一発でわかる!という家紋はこの2つくらいですが、みなさんもぜひ自分の家の家紋を尋ねてみてくださいね。






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