KFシステムクリエイター取扱説明書(12)

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マネー・副業
(3)チャートの操作

チャートは、オペレーションシートより左側のシートに配置されています。チャートの種類や概要は、「2.システムの概要(2)システムの構成(f)チャート」で記した通りです。 

①全体チャートから⑧時価累積ドローダウンまでのチャートは、標準設定では運用方法に依存しない項目であり、主要な性能指標の時系列推移を確認することが出来ます。 
サマリーページの性能指標と共にこれらのチャートを確認することで、作成したシステムの性能や安定性を評価することが出来ます。

システム作成直後には、チャート表示が次図のように乱れる場合があります。その際は、オペレーションページの「チャート修正」ボタンを押してください。「チャート修正」ダイアログが開いたら、通常はそのまま「OK」ボタンを押せば大丈夫です。ただし、期間や間隔を指定して表示したい場合は、適宜設定してください。 

チャートの操作a.png

オペレーションページに戻ったら、先ほどのチャートを確認してください。次図のように時間軸が修正表示されます。 

チャートの操作b.png

チャートシート上をダブルクリックすると、「チャート設定」ダイアログが開きます。これらの値は、サマリーシートの対応個所と連動しており、いちいちサマリーシートに戻って値を変更しなくても、チャート上から直接変更することが可能です。 

チャートの操作c.png

なお、チャート上をダブルクリックすると、ダイアログを閉じた後にクリックした場所に応じて、グラフの各種設定ダイアログが開きます。その場合は、「キャンセル」を押してダイアログを閉じてください。 
また、エクセルのバージョンによっては、「チャート設定」ダイアログを開くためには、チャート上でダブルクリックする必要があります。その際は、「チャート設定」を閉じた後に必ずエクセルのグラフ設定ダイアログが出ますので、その都度キャンセルしてください。

チャートの操作d.png

「チャート設定」で、例えば「運用パラメータ1」を「50」に変更すると、次図のようになります。システム性能が大きく変化しているのが分かります。

チャートの操作e.png

この状態はこのシート上でのみ有効であり、他のシートに移動すると元に戻ります。ただし、他のチャートにある「システム」や「評価基準」の変更は固定されます。なお、これらの処理を実現するために、シート間の移動の際に画面がちらついたり、もたついたりする場合があります。 
チャート設定で変更した項目を残したい場合は、サマリーページにて当該項目を変更してください。

チャートに表示される各項目の意味は、以下の通りとなります。なお、本例では累積ドローダウンチャートを示していますが、他のチャートでも基本的には同じです。 

チャートの操作f.png

㋐システムの名称です。サマリーページのシステム名と同じです。 

㋑チャートの名称です。 

㋒運用システム名です。ドテン、買い、売りの3通りから設定されます。チャート設定で選択します。 

㋓評価基準名です。時価、簿価の2通りから設定されます。チャート設定で選択します。 

㋔起点日~運用開始日~終点日を表します。 

㋕銘柄名です。サマリーページの銘柄名と同じです。 

㋖凡例です。チャートに表示されるグラフの対象となる指標を示します。 

㋗設定条件です。サマリーページもしくはチャートの設定で設定された各種条件を記します。なお、Y/第2数値軸のラベル名が重なって表示されてしまうという不具合がありますが、大きな影響はないため修正に至っておりません。 

続いて、⑨回帰推定値から⑪運用後DDまでのチャートについて説明いたします。これらは運用設定に依存する項目です。 

各チャートの見方は、基本的には他のチャートの場合と同じですが、運用後資産と運用後DDチャートは、運用開始日を基準として、それ以降の推移のみを示します。 
そのため、運用開始日から終点日までの期間がある程度ないと、意味のあるチャートとはなりません。

これらのチャートでは、チャート設定項目が多岐に渡り、より実運用に近い設定が行えます。そのため、作成したシステムにおいて、どのような運用方法が良いのかを決定する際の手助けになります。 

チャートの操作g.png

運用に際しては、事前に仮想的な運用開始日を設定し、運用後資産推移やDDを確認した上で運用条件を決定します。これは一般的にはフォワードテストに相当します。 
ただし、条件決定後の運用開始日は、あくまで実際に運用を開始した日に設定する必要があります。

回帰推定値チャートは、システム運用に際して最も重要な項目です。 

チャートの操作h.png

これは起点日からのチャートですが、回帰推定値及びそこからの乖離グラフ(回帰±2δ)は、運用開始日以前のデータに基いて決定されます。そのため、運用開始日を変えるとそれらのグラフもまた変化します。
これは極めて極端な例ですが、運用開始日を2001年1月4日とした時の回帰推定値チャートです。

チャートの操作i.png

2000年末までは、それ以前のデータに基いて回帰推定値が決定され、そこからの乖離グラフすなわち管理限界線が求まります。通常は、この下方管理限界線を下回らないか、運用しながら確認するわけですが、資産カーブ(損益累計)が上方管理限界線を超えても問題が生じます。
それは、資産カーブと下方管理限界線との乖離が過大になってしまうということです。

例えば資産カーブが何らかの理由によって急落し、下方管理限界線を割り込んで運用停止になってしまった場合、想定外に大きな損失を被る可能性があるわけです。 
それを避けるため、KFシステムクリエイターでは資産カーブの急激な上昇に対し、回帰推定値や管理限界線が追従するようにしています。資産カーブの下降時にはこの処理は行われないため、不調となったシステムの運用を逸早く停止することができます。

上図の事例では、2005年末に資産カーブが下方管理限界線を割り込んでいることが分かります。2002年末から約3年間に渡って資産カーブが上昇しない期間が続きましたが、その後の更なる停滞を回避できました。 
このシステムを経過観察し、資産カーブが再び上向いてきた時に再運用を開始する場合は、その時点を新たな運用開始日として設定すれば良いわけです。

例えば、2008年末の資産カーブの回復を見て、2009年初めから運用を再開した場合、新たな回帰推定値や管理限界線は次図のようになります。 

チャートの操作j.png

なお、ここで運用開始日を2009年1月5日としています。これは、2009年の大発会がこの日だったからですが、チャート設定で運用開始日をこれ以前の1月4日に設定した場合、次図のようにそれ以前の回帰推定値や管理限界線が表示されません。 
このような場合は、その日付のデータが存在しないことを意味しており、データが存在する日付に修正する必要があります。

チャートの操作k.png

これらの事例は、あくまで機能の説明のために後付けで解説したものです。 
実際の運用に当たっては、その時々の最適パラメータが存在し、通常はそれが設定されます。そのため、資産カーブやそれに付随する回帰推定値や管理限界も、運用開始直前の条件で決まります。運用の再開に関しても同様であり、再開の判断基準となる資産カーブの経過観察は、最適パラメータを更新した上で行わなければなりません。

例えば、本事例における2000年末時点の最適パラメータは(3,0.3)であり、それを翌年初から運用した場合の資産カーブや回帰推定値は次図のようになります。

チャートの操作l.png

これは、ほとんど運用に値するシステムではないことが分かります。事実、運用開始後ほとんど利益を上げることなく、下方管理限界線をすぐに下回りました。 
このシステムの大きな転機は2001年末で、最適パラメータは(88,0.3)に変化しています。この条件で2002年初頭から運用を開始した場合のチャートが、次図となります。

チャートの操作m.png

このシステムも、結果的に機能することなく2007年に運用停止となっています。その後、2010年初めに最適パラメータ(88,0.8)で運用再開した場合のチャートが次図になります。

チャートの操作n.png

これは、下方限界線に沿って3年近く機能しましたが、その後は低迷しています。その後、2016年末までに現状パラメータ(144,1.5)に推移し、3年以上に渡って良く機能しています。なお、2020年3月の株価急変で最適パラメータは(144,1.7)にわずかにシフトしました。 

以上のように、回帰推定値チャートからはシステム運用に当たっての様々なことを読み取ることが出来ます。 


(4)システムシートの操作 

システムシート内の設定項目は、基本的にはセットアップ時に全て設定されますので、後から変更する必要はほとんどありません。 
ただし、次の項目に関しては、変更が必要になる場合があります。

①元システムとロジックリストの保存フォルダ 

D13及びD14セルに、元システム(System.xls)とロジックリスト(LogicList.xls)の保存フォルダを、ファイル名まで含めてフルパスで指定します。 

システムシートの操作a.png

これは、最初にSystem.xls内で設定しておけば、保存フォルダを変更しない限り、以降は再設定の必要はありません。しかし、保存フォルダを変更した場合には、再度設定する必要があります。 

②固定パラメータ

KFシステムクリエイターでは、通常のパラメータ以外に変更可能な固定パラメータを設定できるロジックがあります。固定パラメータは、T7及びT8セルに設定されています。 
累乗平均システム及び裏デイトレシステムでは、固定パラメータは特に大きな意味を持ちます。これらの固定パラメータは、累乗平均の指数を表します。上段が買い、下段が売りの場合となります。

システムシートの操作b.png

この値が1の時は相加平均(単純移動平均)、2の時は二乗平均、-1の時は調和平均となります。また、0の時は相乗平均となります。 
ただし、実際にこれらの値を変更してみても、システム性能にはさほど大きな変化は見られません。そのため、通常は1、すなわち相加平均のまま使用しています。

他のシステムにおける固定パラメータは、システムの判定条件にちょっとした変更を加えるものです。また、RSIシステムのように、固定パラメータを設定していないシステムもあります。

通常は、新たなシステムを開発するに当たり、最適化対象のパラメータ2つだけでは不足する場合に、固定パラメータを設定します。ただし、固定パラメータはあくまで補助的な意味合いであり、これを可変的に使用することはありません。

③フィルタの設定

KFシステムクリエイターでは、3種類(2020年6月時点)のフィルタを有していますが、これらを使用するために適用条件を確認・変更する必要があります。

フィルタの種類や変更箇所、設定項目については、「5.セットアップ(2)フィルタの設定」をご確認ください。


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