(2)オペレーションページの操作
KFシステムクリエイターでは、主要な操作をオペレーションページから実行することが出来ます。
この機能により、日々のシステム運用やメンテナンスをボタン一つで実行できると共に、新たなシステム作成を容易にします。
以下に、オペレーションページの機能と実行方法について解説いたします。
①データ更新
データ更新ボタンを押すと、システムを最新の状態に設定します。
これは、株価データブックと連動し、同ブックを更新した後にシステムのデータ更新ボタンを押すことで、実行されます。
なお、システムが最新の状態に保たれている時に、データ更新ボタンを押しても、データは更新されません。
データ更新は、上位のシステムから順に行なうようにしてください。
最上位のシステムは、基準システムです。
その次が追加システムあるいは合成システムとなります。
この順番を間違えますと、システムが正しく更新されない場合があります。
②最適レバレッジ設定
時価累積損益率が最大となる運用レバレッジを求め、サマリーページの最適レバレッジ欄に設定します。
計算には数10秒程度の処理時間が掛かりますので、その間他の操作を行わないようにしてください。
処理が終了すると、オペレーションページに戻ります。
最適レバレッジとは、複利運用を行った場合の時価資産残高が最大となるレバレッジであり、オプティマルfに相当します。
この値が大きいほど、ロバスト性の高いシステムであると言えます。
最適レバレッジを超えない範囲で運用レバレッジを設定することにより、効率的な運用を実現できるかもしれません。
ただし、運用レバレッジを高めるほどロバスト性は低下し、ドローダウンは増加します。
③最適化演算(第6章で詳述) [限定版では一部非対応]
最適化対象とする性能指標が最大、もしくは最小となるパラメータを決定します。
最適化演算には時間が掛かりますのでご注意ください。
ボタンを押すと、ユーザーフォームが表示されます。
設定項目を確認し、変更があれば修正してください。
④セットアップ(第5章で詳述) [限定版では非対応]
システムのセットアップを行います。
ボタンを押すとユーザーフォームが表示され、ロジックやフィルタの設定を行えます。
それらを設定して「OK」ボタンを押すと、セットアップが始まります。
以降、メッセージに従って入力してください。
⑤ロジック抽出 [限定版では非対応]
システムのロジックを抽出し、ロジックリストファイルに追加します。
既存システムの場合は、操作する必要はありません。
システムシート上で新たなロジックを作成した際に、新規ロジック番号を付加してロジック抽出ボタンを押すことで、そのロジックがロジックリストに追加され、以降、セットアップ時に利用できるようになります。
⑥フィルタ抽出 [限定版では非対応]
システムのフィルタを抽出し、ロジックリストファイルに追加します。
既存システムの場合は、操作する必要はありません。
システムシート上で新たなフィルタを作成した際に、新規フィルタ番号を付加してフィルタ抽出ボタンを押すことで、そのフィルタがロジックリストに追加され、以降、セットアップ時に利用できるようになります。
⑦パラメータ抽出 [限定版では非対応]
システムパラメータのみを抽出し、別ブック(パラメータブック)に保存します。
抽出するパラメータは、システムを復元するために必要最小限な情報です。
また、パラメータブックの右上にある「システム復元」ボタンを押すと、システムを完全復元できます。
パラメータブックのファイル容量は通常100KB程度しかありませんので、ハードディスクに負担を掛けることなくシステムを蓄積できます。
運用予定のないシステムを、取り敢えず保存しておく場合に適しています。
なお、時系列分析結果が存在する場合、抽出したパラメータブックのサイズが10数MBに達する場合があり、そのままでは容量削減効果が低下します。
その場合は、パラメータブックをバイナリ形式(xlsbファイル)で再保存することにより、容量を2割程度まで削減できます(注)。
パラメータ抽出ボタンを押すと、パラメータ抽出を実行します。
パラメータブックのファイル名は、システムのファイル名の先頭に「prm」を付けたものとなります。変更はできませんので、ご注意ください。
保存フォルダはシステムのあるフォルダとなります。
ただし、同一ファイル名が存在する場合は、置き換えの確認を求めるメッセージが現れますので、「いいえ」を選択することにより、保存フォルダ名やファイル名を変更することができます。
また、システム復元情報は、元システムのフォルダ名以外はパラメータブックに全て含まれていますので、後でパラメータブックのファイル名や保存フォルダを変更しても、システム復元に影響はありません。
あるいは、パラメータブックのパラメータを手作業で変更すれば、システム復元の際に、変更されたパラメータが反映されます。
(注)バイナリ形式のパラメータブックからシステム復元を実行した場合、復元されるシステムは互換ファイル形式(xlsファイル)となります。
ただし、エクセル2003の場合、バイナリ形式ファイルの利用には互換機能パックが必要となりますので、ご注意ください。
⑧サマリー保存
システムのサマリー画面を保存します。
パラメータ抽出とは異なり、システムの性能指標を合わせて保存できますが、作成したサマリーブックからシステムを復元することはできません。
異なるシステム間の性能を比較する場合などに便利です。
また、同一システムにおいて、パラメータ等の条件を振った結果を保存し、比較検討することも有効です。
複数のシステムを同時に起動すると、処理が重くなったり、最悪の場合リソース不足エラーが出る場合がありますが、サマリーブックならばいくら開いても負担はありません。
サマリー保存ボタンを押すと、サマリー保存のユーザーフォームが現れますので、保存ファイル名と保存フォルダ名を設定して「OK」ボタンを押してください。
標準設定では、システムファイル名の先頭に「smr」が付いたファイル名となります。なお、サマリーブックのファイル容量は、50KB程度です。
ちなみに、KFシステムクリエイターでは、特定操作時や終了時などに自動的にdatファイルを作成します。これは、他のマクロブック等から参照するためのものであり、サマリーシートとデータシート抜粋で構成されています。
ファイル容量はサマリーブックの10倍以上あるため、データシートが不要の場合や、様々な条件を比較検討したい場合は、サマリーブックを用いる方が有用です。
⑨システム凍結
システムを凍結処理します。
凍結処理により、システムの起動時間を短縮したり、ファイル容量を削減することができますが、パラメータの変更等の設定変更はできなくなります。
なお、日々のデータ更新やシグナル配信は通常通り行なえますので、パラメータ変更等の必要がない運用システムへの適用が効果的です。
ボタンを押しますと、確認メッセージが現れますので、「はい」を選択してください。
凍結処理が完了すると、保存フォルダ名の入力を求められ、続いて保存ファイル名の入力を促されます。
これらには、被凍結システムのフォルダ名とファイル名が初期表示されますので、変更がなければ「OK」を押すだけです。
同名ファイルがありますと、置き換えの確認を求めるメッセージが表示されますので、「はい」を選択してください。
「いいえ」を選択すると、再びフォルダ名入力画面に戻りますので、フォルダ名もしくはファイル名を適宜変更してください。
凍結処理が終わりますと、凍結されたシステムのオペレーション画面に戻ります。
この時、データ更新とサマリー保存、そしてシステム解凍以外の処理はできなくなりますので、ご注意ください。
これら以外の処理を行う場合は、システムを解凍する必要があります。
⑩システム解凍
凍結処理されたシステムを、元の状態に戻します。
その際、データは最新状態に更新されます。
解凍処理を行ないますと、通常通りにシステムの全ての機能を使用することができるようになります。
ボタンを押しますと、確認メッセージが現れますので、「はい」を選択してください。
解凍処理が完了すると、保存フォルダ名の入力を求められ、続いて保存ファイル名の入力を促されます。
これらには、被凍結システムのフォルダ名とファイル名が初期表示されますので、変更がなければ「OK」を押すだけです。
同名ファイルがありますと、置き換えの確認を求めるメッセージが表示されますので、「はい」を選択してください。
「いいえ」を選択すると、再びフォルダ名入力画面に戻りますので、フォルダ名もしくはファイル名を適宜変更してください。
⑪チャート修正
システムのセットアップを行った直後は、チャートの時間軸が大きくずれてしまう場合があります。
その際に、チャート修正を実行することで、時間軸のずれを修正することが出来ます。
チャート修正ボタンを押すと、チャート修正ダイアログが出ますので、設定を確認して「OK」を押します。通常は、内容を変更する必要はありません。
なお、「自動」のチェックボックスにチェックを入れると、その項目の値が自動設定されますが、意図しない結果になる場合がありますのでご注意ください。
⑫システムリセット
株式分割などで株価データに変更があった場合に、システムをリセットして株価データを更新します。
あくまでシステムにリンクした株価データを再設定するものであり、別銘柄の株価データを設定することは出来ません。
以上、オペレーションページの各操作ボタンについて、説明いたしました。
なお、パラメータ抽出ボタンについては、他ブックのオブジェクトを直接操作するという危険なマクロを含んでいます。
そのため、以下の注意事項(注)をよくお読みいただき、セキュリティについて十分なご理解をいただいた上で実行するようにしてください。
(注)パラメータ抽出の際は、マクロのセキュリティ設定で「Visual Basic プロジェクトへのアクセスを信頼する」にチェックを入れる必要があります(エクセル2003の場合)。
また、セキュリティ管理上、システムを終了する際には、同チェックを外すことを推奨します。
設定は、ツールメニューのマクロからセキュリティを開き、「信頼できる発行元」タブを開いて行って下さい。
エクセル2007以降の場合は、Officeボタン⇒Excelのオプション⇒セキュリティセンター⇒セキュリティセンターの設定⇒マクロの設定⇒開発者向けのマクロ設定と進み、「VBAプロジェクト オブジェクト モデルへのアクセスを信頼する」にチェックを入れてください。