KFシステムクリエイター取扱説明書(20)

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マネー・副業
④合成S1S2S3RSma:レジームスイッチMA

元システムS1と同S2、同S3を時間軸方向に合成します。株価移動平均変化率の水準に応じて、時間軸を最大3つのレジームに分け、それぞれのレジーム毎に3つの元システムを割り当てます。

例えば、株価移動平均変化率が正&ある値より大きい水準をレジーム1として元システム1、同変化率が負&ある値より小さい水準をレジーム3として元システム3、レジーム1と3の中間をレジーム2として元システム2を割り振ります。

時間が推移しレジームが切り替わる度に、元システムが切り替わります。これをレジームスイッチングシステムと呼びます。
通常の合成システムとは異なり、レジームスイッチングシステムに単純合成システムという概念はありません。

そのため、レジームをどのように割り振るかについては、根拠のある答えを導くことは一般に困難です。
結局、3つのレジーム間の2つの境界値をパラメータとした時、最適化演算もしくは時系列分析によって、結果的に性能が最適化される境界値を採択するしかありません。

以下に、システム事例を示します。最初が元システム1、二番目が元システム2、三番目が元システム3、そして四番目がそれらの合成システム(レジームスイッチングシステム)です。

合成システムx.png
合成システムy.png
合成システムz.png
合成システムaa.png

システム銘柄は6770アルプスアルで、元システム1が回帰順張り正システム、元システム2がRSI逆張り正システム、元システム3が回帰逆張り正システムです。 

次図に示す時系列分析の結果、このレジームスイッチングシステムの最適境界値は-0.5%と-0.9%になりました。これは、株価移動平均変化率が-0.5%より大きいレジームで元システム1、-0.5%以下-0.9%以上のレジームで元システム2、-0.9%よりも小さいレジームで元システム3を割り振っているということです。

合成システムab.png

なお、最適化対象指標は損益累計を採択しています。直近において最適パラメータが安定していることと、レジーム1~3が全て含まれていることが理由です。
最適化対象指標によっては、境界値1と同2が等しくてレジーム2が欠落したり、更には境界値1が同2よりも小さくなってしまったりする場合があり、それらは安定性が高くても選択から除外しました。

資産カーブを見ると、累計損益(率)が大きく向上していることが分かります。資産vs株価の値も大きく上昇していますが、残念ながら直近においては大きく落ち込んでいます。
これはあくまでレジームスイッチングシステムの一例であり、これがベストな組み合わせという訳ではありません。

具体的な性能指標で比較しますと、期待効率が(1.15&0.79&0.75)⇒1.32、EERが(0.42&0.42&0.40)⇒0.40、損益累計が(\11,787&\7,501&\5,692)⇒\12,743、プロフィットファクターが(2.20&1.21&1.14)⇒1.69、勝率が(37.63%&64.33%&59.97%)⇒52.35%、損益レシオが(3.65&0.67&0.76)⇒1.54、平均損益率が(3.03%&0.37%&0.24%)⇒1.68%、平均リターンが(32.97%&16.75%&14.14%)⇒36.71%、年率リターンが(26.32%&7.13%&3.95%)⇒27.92%、となっています。

期待効率や損益累計、平均リターンは大きく上昇していますが、他は平均的な値となっています。また、年率リターンについては、直近で資産カーブが大きく落ち込んだ影響を強く受けており、落ち込み直前の2月18日で確認すると、実に36.90%にもなっていました。

このように、レジームスイッチングシステムについては、上手く機能すれば非常に大きな爆発力を持っていることが分かります。
ただ、最適な組み合わせを見出すためには、現時点では勘や試行錯誤に依存する部分も多く、今後の更なる研究が必要です。


⑤合成S1S2S3RSatr:レジームスイッチATR

レジームスイッチングシステムは、そのレジームの採り方により、様々な種類を考えることが出来ます。
前項のレジームスイッチMAシステムでは、株価移動平均変化率の水準をレジームとしましたが、ATR(真の株価レンジの直近平均)の水準をレジームとしても、システムを構築することが可能です。

レジームスイッチATRシステムでは、ATRを3つの水準のレジームに分け、それぞれのレジームに別々の元システムを割り当てています。
ATR期間は固定パラメータとして設定可能ですが、標準では一般的な20日を設定しています。

以下に、システム事例を示します。元システムは3つとも前項のレジームスイッチMAシステムと同じであるため、レジームスイッチATRシステムについてのみ、上段に時系列分析結果、下段に資産カーブを示します。

合成システムac.png
合成システムad.png

時系列分析の結果、最適化対象指標はレジームスイッチMAの事例と同様に損益累計を採択しました。直近に近い時期において、最適パラメータのシフトが見られますが、同パラメータにおいても性能に大きな違いが見られなかったため、除外理由とはしませんでした。 

レジーム1はATRが4.4%未満で元システム1、レジーム2はATRが4.4%以上5.0%未満で元システム2、レジーム3はATRが5.0%以上で元システム3をそれぞれ割り当てています。
なお、全期間における最小ATRは1.29%、最大ATRは12.30%となっています。

資産カーブを見ますと、直近数年ほどの推移が非常に滑らかになっていることが分かります。資産vs株価チャートは、元システムと異なり、概ね右肩上がりで推移しています。

具体的な性能指標で比較しますと、期待効率が(1.15&0.79&0.75)⇒1.31、EERが(0.42&0.42&0.40)⇒0.44、損益累計が(\11,787&\7,501&\5,692)⇒\14,451、プロフィットファクターが(2.20&1.21&1.14)⇒1.76、勝率が(37.63%&64.33%&59.97%)⇒52.62%、損益レシオが(3.65&0.67&0.76)⇒1.59、平均損益率が(3.03%&0.37%&0.24%)⇒1.53%、平均リターンが(32.97%&16.75%&14.14%)⇒37.08%、年率リターンが(26.32%&7.13%&3.95%)⇒30.72%、となっています。

レジームスイッチMAシステムと比較しても、損益累計と年率リターンが大きく向上していることが分かります。
2020年3月以降はATRが急拡大しており、元システム3の回帰逆張り正システムが中心的な役割を果たしています。そのことが、特に直近成績の向上につながっているようです。


以上、各合成システムについて説明いたしました。
なお、レジームスイッチングシステムでは、通常の合成システムとは異なり、1単位の買いと売り、そしてキャッシュPositionのみのシグナルを発します。

システム合成においては、通常は元システム1と同2、同3とが互いに独立して存在することが基本ですが、レジームスイッチングシステムではパラメータの設定によっては、元システム2が除外されたり、更には元システム1と同3とが部分的に重複したりする場合があります。
その際に、1単位以外の異常シグナルが出ないよう、判定処理を行っています。

合成システムのセットアップについては、追加システムのセットアップと全く同じです。従って、そちらの項目(「7.追加システムと合成システム(1)追加システム」)をご参照ください。
ただし、設定パラメータ欄の手動設定値を、レジームスイッチMAシステムでは例えば(+1%,-1%)、同ATRシステムでは例えば(+4%,+6%)に設定してください。

合成システムの最適化演算もまた、追加システムの場合と同じです。ただし、パラメータの走査範囲については異なります。
以下に、標準的なパラメータ設定値を示します。なお、これが絶対という訳ではありませんので、環境等に応じて適宜設定してください。

合成システムae.png

追加システムの場合と同様ですが、最適パラメータの値が走査範囲の両端に張り付いてしまう場合などは、更に走査範囲を拡大する必要があるかもしれません。 

合成システムの運用方法についても、追加システムの場合と同じです。必ず最初に元システムのデータ更新を行い、その後合成システムの更新を行います。
また、元システムのパラメータが勝手に変わらないよう、注意する必要があります。

合成システムも追加システム同様、多重に作成することが可能です。また、追加システムとの混合システムも作成可能です。
ただし、その分パラメータ数が増えることになり、その内のいずれか1つでも変化すると、システムは機能しなくなります。


KFシステムクリエイターでは、基準システムに加え、追加システムや合成システムを駆使することにより、より効率的で低リスクなトレーディングシステムを作成し運用することが可能です。
これは、他のどんなシステムやEAにもない、KFシステムクリエイター独自の機能です。

KFシステムクリエイターで作成可能なシステムは、千差万別・多種多様です。たとえ同じ銘柄を売買したとしても、その運用システムはシステム作成者によって異なり、トレード機会を分散させます。
これは取りも直さず、マーケットインパクトの希薄化であり、システムが長期に渡って機能するためには必須の要件となるでしょう。


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