前々回の記事【首に刺さったプラグを抜く】では、情報をデトックスすることで、自分の本当の夢に気付けるようになるといった内容をお伝えしました。
今回はその後に起こってくる新しい感覚について紹介します。
自分の夢や願望に向かう場合、必要な情報と関係のない情報を見極めていく必要があります。
そうでなければ、情報の多さに揺さぶられ、色々な方法に惑わされて疲弊してしまうからです。
自分では「より良くしたい」と思って始めたことなのに、いつの間にか前よりも悪くなっている、日々の気分も優れないというケースもあります。
こういった「ズレ」は、本当に自分がやりたかったこと、欲しかったことではないものに、欲望を喚起されて思い込んでしまった場合に起こります。
私達は他人が作った価値観、他人が描いた夢、それをいつの間にか「私の夢、それを手に入れたい」と勘違いしていることもあるからです。
つい最近、芸能人がプロデュースしたアパレルブランドで、デザインの模倣やパクリが発覚して炎上するというニュースがありました。
さらに当事者が「パクリは自分の責任ではない、知らなかった」といった責任逃れのような謝罪発言をしたことによって、多くのバッシングも見られます。
私が注目したのは、その炎上に参加している人たちの「目的・価値観」です。
You Tubeの動画などでちょっと調べてみると、様々な意見が飛び交っているのがわかります。
その中でも多い意見が、
「あなたがプロデュースしたとPRしたからこそ、自分はその商品に価値を感じた。その責任を感じて欲しい」
このような内容が多くみられます。
また「プロデュースしたのに中身を知らなかったというのは『嘘』をついたということだ、許せない」という意見も多いです。
つまり商品の中身よりも「芸能人がプロデュース」というネームバリューに対して、価値を感じた人が多いということです。
これは何を意味しているのでしょうか?
一つ考えられるのは、全く同じような製品なのに、例えばパクリ元の商品と、問題の模倣品に対して、異なった価値を感じるという点です。
実際に価格も約4倍の開きがあるそうです。
商品が多少似ているくらいで、文句を言う人はそれほど多くはないはずです。
私達はこのように、ネームバリューといった「見えない情報」に対して、価値を感じている場合が多いのです。
例えば有名ブランド、という視点で製品を見ると、同じ機能でもブランド物はそれ以外に比べて数十倍から数百倍の価格となっています。
情報に特別な価値を感じている人が多いということです。
特に「信用・信頼」という情報に対して価値を感じます。
お金も物ではなく、まさに信用という価値そのものですからね。
「〇〇さんが言っているから」とか、
「一流メーカーだから品質が良い」というように、これも一つの情報です。
たしかに質が高い場合は信頼を感じられます。
また、これを買っておけば安心だ、あの人の言うことを聞いておけば間違いない、と判断することもできます。
でもこれって、本当に自分が欲しかったものなのでしょうか?
売り手側のプロモーションに踊らされてはいないでしょうか?
必要以上にネームバリューに価値を置きすぎてはいないでしょうか?
また炎上に参加している人の多くが、当事者の人間性や態度に注目しているのも興味深い点です。
物の価値とは関係なしに、相手の考え方や生き方に対して、自分の想いをぶつけているのです。
これも「そうあるべきだ」とか、「こういう人だと信じていた」といった理想を持っていたからでしょう。
実際は他人の全てを知ることはできないのに、断片を切り取って「人間像」を作り上げているのです。
そして自分の常識や世界観からズレてしまうと、それを修正したくなって攻撃してしまうのです。
こういった状態で過ごすと、おおむね気分は優れませんよね。
まぁメッセージを書き込むことである程度はスッキリするのかもしれませんが。
もちろん自分が好きな人の夢を、一緒に育てていったり、応援するというのは素晴らしいことだと思います。
そこに豊かさを感じられるのであれば、それも素敵な人生なのかもしれません。
でもそれが一瞬で憎しみや怒りに変わってしまうのであれば、ニセモノの豊かさを追いかけていたとも言えます。
例えば自分の愛する子が嘘をついたり、人を傷つけたからと言って嫌いになることはないはずです。
失敗は誰にでもあるし、そこから成長します。
この場合、相手を責めたり文句を言うのではなく、優しく包み込んで訳を聞いてあげるはずです。
成長のプロセスの中で、相手を見守ってあげるはずです。
それが自分の成長でもあるからです。
私達は完璧さを求めないことも必要なのです。
また、多くの情報に触れ、外部からの刺激で欲望をコントロールされてしまうと、疑問を持つことすらしなくなります。
そして実際に何かを手に入れてみても、思っていたより満足感は少ないことに気が付きます。
一度も着なかった服、物置にある雑貨など、価値を感じて手に入れたのに、それを忘れてしまうのです。
むしろ手に入れる前のほうが、色々と想像したり、ワクワクしたのではないでしょうか?
自分が夢や目標に向かうときは、他人の価値観に従っているのか、他人が描いた夢や価値を手に入れようとしているのか、一旦立ち止まって自分を見つめてみる必要があります。
自分の創造力や実現力を忘れてしまっていないか?
お金を使って手っ取り早く欲望を満たそうとしてはいないか?
こうしてチェックしてみると、衝動的な欲望は影を潜めます。
つまり短絡的な欲望は幻想だということです。
そもそも、そうした情報に触れなければ、無駄なエネルギーや意志力を注がなくても済むわけです。
自分の心や身体から溢れてくるエネルギーを、他のことに使ってはいけないのです。
そのためにも、必要のない情報は遮断して、自分の人生に関係のない「炎上」に巻き込まれることを避けていく必要があります。
参加しないという心構えも必要です。
また、プロモーションなどに対しては、価値を提供する側の意図を理解して、吟味してから行動します。
見るか見ないか?情報と取り入れるのか?を決めるのです。
大々的なプロモーション、売れているタレントの起用、その背景には多大なコストがかかっています。
そしてそれを回収し、なおかつ利益を生み出していく仕組みに気がつく必要があります。
仕掛ける側の意図を知る必要があるのです。
実際に化粧品などは、原材料ではなく、見せ方の方に多くのコストがかかっています。
普段から、自分の欲望が喚起された瞬間を見逃さないようにしてください。
それは外から来たものなのか?
それとも自分の内側からか?
これが習慣になってくると、必然的に情報量が減るので、心に余裕が生まれてスッキリとしてきます。
自分のやりたいことがハッキリとわかるようになります。
ただ「物足りなさ」も感じるかもしれません。
例えばテレビを見ない、ネットもやらない、SNSも開かない、こうした生活は「寂しさ」を感じさせるかもしれません。
この時に見えてくるのが、自分が何に価値を感じているのか?という本質の部分です。
たくさんある中から選んでいくのではなく、減らしていく中で本当に必要なものが見えてくるのです。
私自身も有名所のSNSは全部登録して利用していましたが、今はすべて使っていません。
すると、それまでの何気ない日常生活の中に、豊かさや価値を感じる何かが見えてきます。
自分はそれが好きだったんだ、それを求めていたんだ、と気付けるようになるのです。
消費社会や洗脳社会から仕掛けられる欲望の罠から距離を置くと、こうした気付きが起こってきます。
豊かさや喜びを感じられるようになります。
焦燥感や不足感ではなく、安心感を感じられるようになります。
なぜなら自分が欲しかった現実は「今ここ」にあると気付けるからです。
物を手にする、情報を手にする、価値を手にする。
でもなぜか手に入れても満たされることがない。
むしろ「失う恐怖」が生まれる。
どれも感情を味わうのは「今この瞬間」です。
もし今この瞬間に「満たされていない、もっと欲しい」と思ってしまうと、そうした現実を味わいます。
反対に、すでに多くを持っている、これ以上は特に必要ない、とわかっていれば、安心して過ごすことができます。
日常の中に、それが見つかるようになるのです。
それは新しい機種や〇〇プロデュースといった「他人の欲望」ではなく、自分が本当に満足できる自分だけの価値を見つけるということです。
情報を減らしていくことでそれを体験できるようになります。
スマホを持ち歩かないで出掛けてみる、
テレビを見ない日を設ける、
パソコンや便利な電子機器から離れる時間を意識的に作る。
是非体験して豊かさを味わってみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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