相手に心を開いてもらうために必要なもの。心理的安全性について。

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先日いただいた英語の逐次通訳のお仕事で、コミュニケーションについて改めて考えさせられた出来事がありました。

インターナショナルスクールに通う娘さんの定期面談に、ご両親と一緒に同席するというお仕事で、担任のアメリカ人の先生が早口で、よく理解できないのでサポートしてほしい、という内容でした。

超ビビリのため、めちゃくちゃ緊張して臨んだのですが、とても気さくで優しいクライアント様でとても助かりました。

面談に入ってみると、なるほど確かに早口と言えば早口。どれくらい理解されているのかご両親を見ていると、難易度高めの語彙で時々つまづく程度で、先生が何を話しているのかは大体分かり、問題なく付いて行かれている様子。

初めての面談なら、

①信頼関係がないため、まず相手の人物像を探るのにエネルギーを取られる。

②個人のアクセントや説明の仕方、話の持って行き方に慣れない。

などの理由で、会話の内容を追う余裕がないので通訳が必要というのなら分かるのですが、その方は担任でこれまでに何度も面談があり、ご両親は、相手が持ち出すであろう話題まで既に把握されていました。

聞き取りもできるし、落ち着いて話せば質問の返答もできそうで、大きな問題はなさそう。

通訳は必要ないレベルでは…と思っていたのですが、観察しているうちに、これは言語の問題というよりも、コミュニケーションの問題で通訳を求められるんだな、とハッとしました。

先生を観察していると、こちら側の発言が全て終わる前に、相槌を打ったり返答し始めるのが見受けられ、“待てない”人なんだと気づきました。

頭の回転がとても速い方で、話しながら、脳内では2つ先のトピックを考え始めているような印象を受けました。

“早く早く”という空気がご両親にプレッシャーを与え、説明しようと必死で適切な単語を探しているうちに、先生が我慢できずに次の言葉を発してしまう。

面談前に、スタッフの方と雑談をされていた際、ご両親が「なかなか付いていけなくて」と笑って伝えていました。

そのスタッフは、「ゆっくり話してください、とお願いしても全然大丈夫ですよ。止めて聞いたらいいですからね」と言っておられたのですが。

それを思い出した時、イヤ、これは難しいな。ご両親の仰る、“付いていけない”というのは“止められない”という意味なんだと、よく分かりました。

先生も次の予定があるので、時間内に終わらせるためなのでしょうけれど、非言語の部分のコミュニケーションで、“私を止めるな”“止めるということは、それなりの内容なんですよね?”という、暗黙のメッセージを発してしまっている。

私ですら、“短く簡潔に述べよ”という圧を感じるほどで、説明に迷ったりできないと、とても緊張しました。

意思疎通に問題がなくても、“分からないことを納得するための質問”や“相手を待たせた状態での発言”が難しいために、サポートを求められているということが腑に落ちました。

この経験で改めて、心理的安全性について考える機会をいただきました。相手を急かせる圧への注意はもちろんですが、いろんな角度から、この人なら心を開こう、と思われるような対応を心がけていきたいと思っています。
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