大切な人へ気持ちを伝えるメッセージギフト、HEART HUGへの想い。父親の看取りを経て。

記事
コラム
前回の記事で、父親の看取りにあたっての後悔について書きましたが。 

父親との別れは、想像よりもずっと早く、まさかのタイミングで訪れました。私はうつ病闘病中で、仕事に行けないどころか、自分の身の回りのことすらまともにできず、全く準備のないまま向き合うことになりました。 

精神を病んで闘病生活が長くなると、それまで蓋をしていた家族間のトラブルが顔を出し、 こじれて回復の足かせになることも多いのですが、私の場合もまさにそうで。

長年父親との関係が悪く、話し始めるとすぐにケンカになってしまうので、会話を常に必要最低限に抑えているような状態でした。 

父は若い頃から仕事一筋で、家族とのコミュ ニケーションにコストを払ってこなかったこともあり、家族との関係が冷え切った後に、慌てて溶け込もうとする父を、冷ややかな目で見ている自分がいました。空回りする姿を見て、可哀そうに思うと同時に腹立たしくもあり。 

こんな状態でうつ病に突入し、実家での療養生活がスタートすることになったので、父親も、私との距離や接し方に、相当気を遣っただろうなと思います。

何十年、どれだけ神経をすり減らして働いてきたか、理不尽さにも耐えて家族のためにと、我慢と忍耐の人生だったことはよく分かっており、感謝してはいたものの。口から出るのは、いつも刺のある言葉ばかりで、そこには、自分のことを分かろうとせず、蔑ろにしてきた父親を、傷つけてやりたいという感情がありました。

石橋を叩きまくった挙句、さらにもう一度考える、というほど慎重だった父親が、私が休職して長期間療養となった時の、私の将来への心配、経済的な不安からくる心労は、相当なものだったろうと思います。 

今思うと本当にありがたかったのは、父が私 に「早く働け」とは一言も言わなかったこと、焦らせるようなことは一度もなく、私を信じてくれたことでした。

具合が悪いながらも、父が我慢してくれていることは感じ取っており、感謝もしてはいましたが。ひねくれていた私はバツが悪く、結局父のがんが再発して急速に悪化し、死別が近いという状況になるまで、伝えなければという思いは湧いてきませんでした。

今しかもう伝える時がない、と思った時には、「今までありがとう」は、もはや言えませんでした。

回復の見込みがなくなり、日一日と悪くなっていく自分を見て感じながら、痛みと恐怖に耐えている父を前にして、まるで最後の言葉のような「ありがとう」は、状況として悲し過ぎて、どうしても言えませんでした。 

結局、直近で一番傷つけたと自覚のあったことを、まずは謝ることにしました。うつ病で凄まじく苦しかった頃、「具合はどうや?」と父が聞いてくれたのですが。余りにも調子が悪かった私は、こんなに目の前にいて、どうしてこの苦しさが分からないのか、と激しい怒りを感じ、じろっと睨んで無視したことがありました。

父はムッとした表情を見せましたが、黙って引いてくれて。それがずっと心に引っかかっていたので、「あの時はごめん」と伝えました。「いいんだよ。今、あんなふうに答えた気持ちが分かるよ」と返事が返ってきた時に、ああ、口に出して返事をするのも辛い、当時の私のような状態なんだな、と父の深刻な状況が、より伝わってきたのでした。 

結局、その後すぐに認知症のような症状が出始め、私のことも分からなくなってしまい、そのまま逝ってしまったので、まともに感謝の気持ちは伝えられないままでした。 

つい最近ふと考えて気づいたんですが。父親とどんな会話を交わしていたのか、記憶を辿ってみたところ。自分側の発言は、「は?(怒りモード)」「だから、それは前に言ったやん」「もういい」「はぁ(冷ややかな溜息)」 
のようなものばかりだったことに気付いて、愕然としました。 

学生時代から30代前半まで、文章でまともに 話したことが、何回あっただろうか…。印象に残っている会話や、楽しく笑い合った記憶が全くなく。上記のような、非友好的な言葉と態度でのコミュニケーションを、飽きることなく、 これで良いのか?と考えることもなく、何年も続けていたことに気付いて、衝撃でした。

この関係は良くない、とずっと思っていたのに、どうして改善しようとしなかったのか…?もし、今父親が健在だったとしたら、何を試すだろうか、どう工夫するだろうか?とよく思います。 

私は、父の最期に、ほんの少しの間ですが、一一緒に過ごし、介護の真似事もできたおかげで、ギリギリ最後で少しだけ関係を戻せた感がありました。おかげで、想像していたよりもすっきりした気持ちで送り出し、心理的なダメージも少なく済み、本当に幸運だったと思っています。 

大切な人を亡くしてから、罪悪感や後悔に苛まれ、それが残りの人生の質に大きく関わるケースもあるなと思い、大切な人へ気持ちを伝えるメッセージギフト、HEART HUGを創りました。

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