今たまたま完全栄養食の広告が出てきたので完全栄養食について書いていきます。一応大学で3年間栄養学を学んできていますし、論文や書籍もそれなりに読んできました。その知識をいかして説明していきます。
完全栄養食とは
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に基づいて、日本人に1日に必要な栄養素の1/3をバランスよく配合した食品、または十分に含んだ食品を指します。パン・ラーメン・パスタ・チョコレートなど、いろいろ出ています。忙しくて栄養が偏りがちという方は重宝してるかと思います。
必要な栄養素をバランスよく摂ることができます。
サプリメントと何が違うの?
サプリメントは特定の栄養素を補うために使います。例えば、「鉄」「カルシウム」「ビタミンC」などです。マルチビタミンもありますが、ビタミン類が入っているだけで、ミネラル類、たんぱく質は入っていません。一方で、完全栄養食はビタミンやミネラル、たんぱく質などが入っています。
完全栄養食を多用すると何がいけないの?
完全栄養食のパンを1日3つ食べればいいじゃないかと思った方もいると思いますが。そういうことではないのです。いくつかデメリットはありますが、いくつかに絞ります。
・人工的に添加されたビタミン類を摂ってもあまり意味がない
・消化機能の退化
・栄養過剰
・食べる楽しみの損失
こんな感じかと思います。
1.人工的に添加されたビタミン類を摂ってもあまり意味がない
だいぶ前に読んだので、アメリカのどっかの大学の研究としか覚えていませんが、その研究によると、長期間にわたってサプリメントで栄養を補っても、何も変わらなかったという結果がでています。特定の栄養素によっては、害がある可能性も示唆されています。サプリメントのビタミンも、完全栄養食のビタミンも同じ人口的に添加されたものです。いまだにサプリメントの効果についてはよくわかっていない点が多く、多様するのはおすすめしません。
2.消化機能の退化
これはだいぶやばいです。消化機能の低下が意味するのは生物が生命を維持するための機能が衰えているということです。完全栄養食はパンや麺類、パウダーなど比較的消化のよいものばかりです。なぜ風邪のときに消化のいいものを食べるんだと思いますか?消化器官を休ませて、風邪の菌と戦うためですよね?ですが毎日のように完全栄養食を食べていると、消化器官は「休む」を超えて「サボる」ことを始めます。こうなると、普通の食事をしたときに消化不良になったりするかもしれません。サボっている同僚を急に働かせようとしてもポンコツなのと一緒です。
3.栄養過剰
完全栄養食は栄養素がバランスよく配合されている分、さらに食事をすると栄養過剰になる可能性もあります。過剰になっても大きな問題がない栄養素もありますが、ビタミンAやカルシウム、鉄などは過剰摂取に注意です。体に蓄積しすぎて、肝臓などに悪影響がでる可能性があります。
4.食べる楽しみの損失
これは、栄養学を学ぶうえで割としつこく言われることですが、食べる楽しみを第一優先にして食事をすることは大切です。毎日栄養素を摂ることばかり考えて食事をして楽しいでしょうか。そんなね、毎日朝から優雅に朝食なんてできる人のほうが少ない世の中ですが、1週間の中で食べることを楽しむ時間を数回取ると人生の充実感はすごいです。一生食べることは付いてきますからね!!QOLという言葉を1度は聞いたことがあると思いますが、食事を充実させることは人生の満足度に大きく関わります。
まとめ
完全栄養食を日常的に食べるのはあまりお勧めしない理由がなんとなく分かりましたでしょうか。完全栄養食は保存がきくし、災害時にすぐ炊き出しや備蓄がもらえないときにはとても便利です。また、栄養の補助として食べるのはまったく問題ないと思います。
食べることは私たちの人生そのものです。どうせ食べるならいろんなものをいろんな調理法で味わいたいですよね。