言葉は変化し得るものですが、
それでもまだ世間一般に普く認められていないものが誤用と言われます。
その中で常にやり玉にあがり、若者のみならず、
それ以上の年代でも使われることが多い誤用が
「ら抜き言葉」です。
この定義を説明できますか。
簡単に言ってしまえば、可能を表す動詞の活用で、
「ら」を入れるべきところで入れずに使ってしまう現象です。
しかし、これでは人の誤りを注意しきれません。
実はちょっとややこしいです。
➀動詞を否定の形にしてみる
例:例:読む→読まない、走る→走らない、食べる→食べない、見る→見ない
➁「ない」の直前の母音に注目
例:読まない→「ま」→ma→あ、食べない→「べ」→be→え、
見ない→「み」→mi→い
➂ ➁が「あ」になった動詞はそのまま可能形にする
その他(「する」以外)は「ら」を伴って可能形にする
※もちろん「する」は「できる」ですね。
例:読む→➁が「あ」だから「読めない」
食べる→➁が「あ」以外だから「食べられない」
見る→➁が「あ」以外だから「見られない」
この誤用は➁の段階をすっ飛ばして、
動詞ならなんでも同じ形で可能形を作ろうとするから起きます。
ただし、この分け方が通用するのは日本語母語話者のみです。
なぜなら、日本語学習者に➀のように否定形を作って分けさせようとしても、
知らないとそれさえできないからです。
この辺が日本語教育と国語教育の違いです。
一つ言えるのは、説明は習慣ではできませんので、
客観的分析が要ります。
日本語教育はこんな時役立ちます。
ちなみに、これに関し、面白いことがあります。
いわゆる大企業のホームページはこの誤用がほぼありません。
それに対し、中小企業、個人経営と思しきホームページではちらほら。
チェックできる人材の有無が影響しているのかもしれません。