百合の父からの手紙、書かれた番号に電話をすると――なお話:助けた相手はご令嬢ep27➕【朗読動画】

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youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。
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今回ご紹介の朗読動画は、「助け相手はご令嬢ep1」2018年エブリスタ大賞優秀賞受賞作品のエピソード27、百合の父からの手紙、書かれた番号に電話をすると――なお話です。
良かったら聴いていただけると嬉しいです。

・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉連続小説ドラマ
 助けた相手は御令嬢

作者 北条むつき
朗読 悠奈ゆかり

第27話 声の主

 俺の様子を見た店長が腕組みをして、疑問を投げかけた。
 百合のお父さんが、わざわざ手紙で探してくれなどということを送るのか。
 しかもだ。もし百合が俺のことを言っているのならば、百合から連絡が来てもおかしくないはずだと。一度書かれた連絡先に連絡を取ってみると、より内容が詳しく理解できるんではないかと言ってくれた。

 俺は書かれた連絡先に電話をすることにしたが、その前に、再度この一ヶ月LINEは愚か、電話もメールもなかった百合に連絡をつけることにした。
 だが、電話は発信音が鳴る前にすぐに留守電に変わった。LINEも送った。
 そして百合の父親からの手紙に書かれた連絡先に電話した。

 何度かのコール。そこに出たのは、父と思われる男性の声ではなかった。

「高津オリエンシティです」女性の声だった。

「もしもし、お客様」

 女性の声にびっくりした俺は、少し黙ってしまった。

「あの、私、鶴見と申します」

 父親からの手紙をいただいた旨を話す。

「お待ちください」と促された。

 しばらく音楽が流れ、次に男性の声に変わる。

「お電話代わりました。お嬢様の件でしたら、そちらにご迷惑おかけすることはございません。鶴見さん」

 どこか聞き覚えのある声。一瞬気付きづらかったが、それは紛れもなく一度会ったことのある人物の特徴ある声。高津だった。

「高津!」
「ハハッ! よくわかったね。鶴見副店長?」
「百合、百合はどうなったぁ!」
「大丈夫です。心配させて申し訳ない。無事ですよ」
「どういうことだ!?」
「だから、今は私と暮らしてます。心配なさらず。元気ですよ。百合のことはお父様から一任されてましてね」
「なんやと」
「ですから、もうそちらに戻ることもなかろうと」
「何をした。百合があっさりお前と一緒にいるわけがない。どういうことか説明しろ」
「これはお嬢様が選んだ道です。もう、あなたには関係ないことですよ。では接待があるので失礼」
「おい待て、百合が選ぶわけないやろ。おい!」

 電話は俺の都合など関係なく切れた。この1ヶ月連絡がないのは、高津と一緒にいるからか。でもずっと一緒というわけではないだろうと思い、百合からの連絡を待つことにした。そこで思い出した。森さんと百合は以前結構仲良く食事したりしていたこともあったので、森さんに今の百合の状況を説明し、連絡をつけてもらうことした。だが、森さんの電話にも出ない。
 LINEも送ってもらったが、既読すらつかない状態が数日続いた。

 数日後の朝。森さんが慌てた様子で出勤前の俺に電話をよこした。
早朝、店に女性、いや百合らしき人物から電話があったと言う。
 今は神戸の高津の邸宅にいるらしいということ。そして軟禁状態にあること。監視がついて連絡ができないことなどを言った後、突然電話は切れたらしい。
 森さんの口調では、百合曰く、本心でそこにいるとは到底思えないと言う。

 その言葉を聞くと、高津が言っていた通り、多分百合は高津と一緒なんだろうと思った。百合が本心で高津との生活を望んではいないのだと確証は持てないが、状況からするとそう考えられることがわかった。
 森さんは、突然そんな電話があったことで、もちろん店長の耳にもその情報は入った。

「とうとう来るべき時が来たんじゃない? みんな総出で探しに行く?」
 店長が出勤した俺に問う。森さんも店長室に来る。
「一回こちらからかかってきた電話に電話したらどうですか?」

 森さんが言う。

「森さんそれいいかも!?」と早速店長室から、電話の記録をだどり掛け直してみる。俺だと怪しまれかねないので、電話をスピーカーモードにして、森さんを電話口に出してみた。
何度かのコール出たのは女性の声だった。

「はい高津でございます」
「あっ森と申します。三隅百合さんいらっしゃいますか?」

 ダメだって、それ言っちゃあと思ったが後の祭りだった。すると相手の女性は「どちらさまですか?」と聞き返す。
「あぁ、友達の森です」
 普通に言うと、相手の女性は「申し訳ありませんが、お繋ぎすることはできない状態です。では失礼します」と電話は切れた。

 そんな返答に森さんが取った電話が本当に百合だったか確証が持てずにいた。すると「私が嘘ついたとでもいいたいんですか。心配してるのは鶴見副店長だけじゃないんだからね」と怒る始末だった。
 そんなどうしようもない状況を打破したのは店長だった。

「ここは、ちょっと裏技使ってみる?」

 店長がひとつアイデアを出してきた。

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