どん底だった私がアニメに人生を救われた話

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私はいつもご飯食べる時に彼女とアニメを見ます。
いやぁ、いよいよ少しずつ「水星の魔女」の深堀が始まりましたね。

訓練された考察勢が見事に制作陣の思い通りに転がらされている様は、もはや考察勢が自ら転がらされることを喜びとしているようにすら感じてしまうほど、この作品は内容のみならず、あらゆる層をすべて網羅した完璧なエンターテインメントアートと言えるかもしれない。

そんな中、我々は今「俺の妹がこんなにかわいいわけがない」を見始めた。
(水星の魔女をみろよ!)

今ちょうど一期見終わったのですが、いやぁ、
このアニメは世のオタクの9割を救ったの作品ではないでしょうか?

アニメが好きというだけで差別・軽蔑されていたのはつい最近までの事であり、おそらく今でも一般的にはそういう感覚の人の方が多いのだろう。

かくいう私自身も20代のころ、30歳になった自分の兄から「ガンダムSEEDをみろ!すごいぞ!」と言われた時は引いてしまったモノだった。

30にもなってアニメを見ているのかよ!と、心の中で思ったのだ。
しかし、のちにそんな私を救ったのも、皮肉にもアニメだったのである。

時は10年前の2012年、
私が30歳の時、10年間付き合った彼女と別れた。

マイホームを売り、1000万の借金が残った。元カノの連れ子がまだ12と14、別れたとは言え、高校生卒業までは面倒を見ようと思い、毎月25万の給料の中から18万を仕送った。

手元に残った7万円は家賃3万、光熱費1万、交通費3万と食費1万で消えた。
食費は一日100円で乗り越えた時期もあった。スーパーのひと玉28円のそばを3食かってしのいだのだ。

たまに虫歯で歯医者にいかないといけない時とか、熱を出して薬が必要な時とはか本当に絶望しかなかった。いつも周囲の先輩や家族に頭を下げてお金を借りて、常に罪悪感に苛まれながら暮らしていた。

ちなみに私は当時、ビデオ試写室金太郎という場所で店員をやっていた。スキルや資格、年齢を問われることなく「誰でも平等に手取り月25万を即日から始めることができる」という、ある意味社会の底辺におちた人々にとって、かなりの救済となったともいえるお仕事だった。

勤務時間はまるっと12時間交代で休憩はなし、食事はお客様が見ていないスキをついてレジ下に隠れてがっつくしかなく、24時間体制でその様子は常にカメラによって本部に監視されている。

少しでもレジの対応に遅れたり、口に食べ物が残った状態で対応しているのを見られた場合、即本社に呼ばれたり、給料を減らされたりする。でもルールに厳しいこの会社は、なんと残業は禁止という事で、

どれだけ仕事が残っていても12時間仕事したら帰れと返される。その分のお叱りはもちろん後日のお楽しみとなるが、ブラックなのかホワイトなのかよく分からん一面をも持ち合わせている会社でもあった。

勤務場所は日によって違い、場所によっては片道2時間かかる。すると、12時間勤務+移動時間4時間=16時間で、残った8時間で睡眠と食事をするしかない。

休みは週一で6日勤務なので、こんなので疲労が取れる訳がない。
毎日奴隷のように働き、少しのミスも許されず、帰宅したら飯食って風呂入って寝て、起きたらまたすぐに仕事、お金は一切自分には残らず、娘たちが高校卒業しても、1000万円+金利のローン返済が残っている。

つまり、この地獄のような毎日は娘たちが高校卒業までの間ではなく、その後も続くという事だ。私は当時30、下の子が12なので、私が36の時に娘が高校を卒業するとして、1000万円の大金を返すのに仮に10年かかると想定しても、私が完全に自由になるのは46歳という計算になる。

そんなことを思いながら、自分の6畳一間のワンルームを見渡す、お金がないので、家具はない。布団だけだ。当時は2012年、スマホは iphone4 が発売されて間もない時代だった。

勿論そんなハイカラなモノを持っている訳がなく、私はガラケーを持っていた。とはいっても、パケットし放題なんかにしている訳がなく、会社との連絡を取るための電話機能だけが使える一番安いプランで使用していた。

ただ、本当に幸いだったのが、このガラケーには「ワンセグ」機能がついていた事だった。ワンセグとは携帯でテレビが見れる機能の事だ。

たった10年しか立っていないのに、もう今では携帯でテレビや動画を見ることは普通になったが、当時ではまだ未来世界的要素の機能だったのだ。

しかし、特にテレビに興味ない私は、その機能を使う事はなかった。
そしてある日、私はいつものように就寝前に折りたたまれたガラケーを開き、時間を確認した。

残された睡眠時間の短さを見て溜息をつきながら、自分はもはや何のために生きているのかがわからなくなり、本気で自分の人生はこれで終わったと、そう思った。

恐らくそんな心情だったからか、普段絶対押すことのない「ワンセグ」というボタンの方に指が勝手に動き、無心でワンセグを起動させた。

時は土曜日の深夜、画面にアニメが映った。
どうやらファンタジー系のアニメのようだ。

ちょうど金髪のエルフの少女が赤い鎧の軍隊が攻め込まれるピンチを、
一人の黒い剣士が少女を救うために、
軍隊の大将との一騎打ちを申し込み、迎え撃つという大事な場面だった。

みんな透明な羽を持っている。
どうやら妖精の世界の話のようだ。

しかし戦っていると、
ゲージやらレベルやらプレイヤーやらのワードが飛び交う。

この世界ではそういう呼び方なのか?と困惑したモノの、
あまり深く考えず、ストーリーの成り行きを見守った。

黒き剣士は見事に敵の大将を打ち勝ち、
報酬も手に入れ、丸くハッピーエンド!と思いきや、

話の終盤、少し話の流れが変わる。
どうやら金髪のエルフの少女は、黒き剣士の事を好いているようだ。

しかし、黒き剣士には別の思いびとがいる。
そう、この金髪エルフの恋が実ることはない。

そうと知りながら金髪エルフはそれでも健気に黒き剣士の力になろうとする。
しかし、黒き剣士の思いびとの名を聞いて金髪エルフは驚き、固まってしまう。

そんな金髪エルフを見て黒き剣士は心配するが、
しばらく固まった金髪エルフが口にこぼした言葉を聞いて、
今度は黒き剣士が固まるのである。

「......おにい....ちゃん?」

黒き剣士が固まる。
理解が追い付かない私も固まる。

金髪エルフは何やらスマホ操作で見るようなカーソルを出し、
ボタンを押して、姿が消える。

そして、場面が変わり、ファンタジーではなく現実世界にある
ごく普通の住宅の部屋にいる中学生の少女が、

ゲーム機と思われるゴーグルを外して、
ベッドから身を起こして、窓の外を見つめる。

(もしや、今までのファンタジー世界での話は、
そのゴーグルで遊んでいたゲームの世界だというのか?)

と、私の脳は状況を理解しようとフル稼働をしていた。
だが、まるで情報を整理する時間を与えまいとするかのように、
畳みかけるように話は進む。

少女の部屋のドアにノックする音がした。
兄らしき人物が妹の名を呼び、ドアを開けるよう催促した。

しかし、妹はそれを拒否し、
自分の思いをドア越しで思いの丈伝えた。

長きに渡り秘めてきた思いをぶつけられた兄は固まり、
その回の話はそこで終わった。

「このあとどうなるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

私は車の免許の半分のサイズあるかどうかの画面にかじりつき、
深夜にも関わらず、心の声は実の声となって部屋中に響き渡った。

そして、膨大な未処理の情報とともに、ある感情が全身を去来した。

それは....「感動」。
そう、私は感動をしたのだ。

(なんなのだこの作品は!
神か、神なのか!そうか、これが神の創造物か!)と。

ファンタジー?ゲーム?現実?兄弟愛?禁断愛?
実らない妹の恋のゆくえは?兄の決断は?

私の頭は「話の続き」のみに満たされた。
その時である。

暗闇に満ちた私の心の中に、一本の光が差し込まれた。
この光は心の中を照らし、私は久しく感じたことのない温かみをこの光から感じた。

この光の正体は「希望」だった。

そう、もう先は絶望しかないと思った私の人生に、
奇跡的にも「楽しみ」というモノが生まれ、
「活力」というエネルギーに変換されたのだ。

活力によって思考が未来を見始めた瞬間、
私の中で「生きる気力」が芽生え、
それが「希望」となった。

どんなにつらいことがあっても、
「土曜日の深夜にあの続きを見るんだ!」という強き意思が、
あらゆる困難を乗り越える力を与えてくれた。

そこから私の人生はいろいろといい方向に変わり、
今ではこのようにココナラでフリーランスの動画師として生きています。

この時に私を救ったアニメは今では皆さんご存じ「SAO」、
そう、「ソードアートオンライン」です。

そして、私にもこんな時期があったなと
「俺の妹がこんなかわいい訳がない」を見ながら思い出したので、

ここにそれを綴った次第でございます。
長文を最後までお読み下さり誠に有難う御座いました。

では、またお会いしましょう!
see you!



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