踊れぬルンバ:占い師の日記

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占い
在宅で仕事をしている人には共感を得られると思うが、
仕事をしている机の周りに異常に物が乱立し、
そこ以外の生活圏はそうでもない。
自分の場合は仕事部屋と生活圏を分けているので、
仕事部屋の謎のタワーが乱立している。主に本である。本棚からとっくに溢れた、積読の塔。あと書類。
占い師という仕事柄、掃除はまめにするので(念の除去)、
ぼんやり掃除機をかければ日々、どれかのタワーが崩れ、
占い中に別の占術道具に手を伸ばせばタワーは崩れ、
お客様には常に崩落の音をお聞かせしている。
タロットにも「タワー」はあるが、あれは所謂、「積み上げていたものが崩落してまた新たになる」という意味があり、取りようによってはポジティブな意味であるが、自室で本の塔が崩れるのは何も新しいことは起きない。
ただ崩れて、たまに足の甲に重い本が落ちてくるくらいである。

掃除機のルンバを知り合いから借りた。
購入を迷っていたからである。

あの、コツンと前がぶつかれば向きを変えてくれる静かな掃除機。
物が無い生活圏で試せば非常に静かに、けれど床を綺麗にしてくれる。
なんだこれは発明ではないか。

仕事部屋にルンバを持ってきて、さっそくウキウキでスイッチを入れる。
本の塔に当たっても、崩落させずに床だけ掃除してくれれば良いのである。
わけあって棚がわりにしているいくつかの椅子の脚に当たっても、
掃除してくれれば良いのである。

スイッチを入れルンバを踊らせたところで電話占いのご依頼が入る。
ルンバを信用して仕事机に向かい、占いをする。
20分程度経った頃であろうか、
占いが終わったところで、バタバタと本が落ちる音に身をすくめる。
恐る恐る振り返ると、
ルンバが本の塔を倒している。
たぶん、部屋を一周する程度なら、本の塔に当たっても塔は倒れないが、
何周かするうちに、達磨落としのように塔の1番下の本にアタックしていたようで、何度目かで崩落した。
続いてもうひとつの塔も崩落して、私はルンバのスイッチを切る。

ルンバのための掃除が要る、というのは本当なのだ。

そういえば占い中も守護の存在から「人のせいにしてはいけませんよ」というメッセージがよく降りてくるが、
これもルンバではなく私が悪いのだ。
ルンバは踊っただけ。私が舞台の用意を怠っただけ。

崩れた本をまた賽の河原のように積みながら、
そろそろ本棚を買うべきだとまた思う。解っている。解っているが。


電話占いやってます。

サイキックアートが得意です。

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