前回、カスタマイズポイント問題と無料プラグインだけで作る怖さについて説明しました。
そして、私がオリジナルプラグインを作る理由についても述べさせて頂きました。
大変タメになりました!
で、今回はもう少し突っ込んだ話をします。
私は基本的にオリジナル開発のパッケージ製品を開発しています。
パッケージ製品だけれども、結構細かく設定ができるようにしています。
設定項目が豊富ですよね。
しかしながら、最近売り出し中のオンラインサロン構築サービスやマッチングサービス構築サービスについては、パッケージ開発だけでは収まらないことが多々あります。これは発見でした。
というと?
オンラインサロン構築もマッチングサービス構築もパッケージ化されたオリジナルプラグインで構築しています。
しかしいざサービスをローンチしてみると、「こういった特別仕様にして欲しい」という要望ばかりだったんですね。
もちろんできなくはないんですが、その場合は「オーダーメイド開発」となってしまうため、ぶっちゃけ予算感が合わないんです。
特別仕様の要望ばかりだとパッケージ製品の良さがなくなっちゃうんですね。
そうですね。クライアントごとに異なるバージョンや製品を管理していると割高になっちゃうんですよ。
うーーん難しいところですねぇ。
想定した機能のパッケージ製品である程度安く出してはいるんですが、そこに追加でオーダーメイド開発となると、パッケージ製品のメリットである価格の手頃感がなくなってしまうのです。
しかも、相談する方は素人なので、「パッケージ製品」と「オーダーメイド製品」の違いが分かりません。
安い値段でオーダーメイド開発ができると考えている方もいるようです。
このコラムを書こうと思ったのもこのことがキッカケです。
パッケージ製品でありながら、安く柔軟に対応できることが求められているわけですね。
安く柔軟にというのは矛盾してるんですよ。柔軟に対応できるのは価格が高い場合です。
高級ホテルのサービスと一緒です。
うわ~~確かに(笑)
「こういった特別仕様にして欲しい」という一例ですが、ランサーズやココナラのようなマッチングサイトを作りたい、というものがあります。
確かに、ランサーズやココナラのようなマッチングサイトを作れれば手数料ビジネスなので、自動的にほったらかしで儲かるような気がしますよね。
しかし、実際このようなマッチングサイトはウェブサービスのみでは成立しないんですね。
どういうことなんでしょうか?
一番大きいのは決済です。
実際に要望としてあったのはマッチングしたユーザー同士でカード決済をさせたい、というもの。運営者が決済に関与しないわけです。
よくわからないんですが、できないものなんですか?
これはセキュリティ的に難しいです。
カード決済会社の与信をAPI経由でとるわけですが、承諾させるにはそのカード決済会社の会員かつ、本人確認、振込口座登録など一通りのチェックを行っている必要があります。規約の問題もあるでしょう。
予め本人確認とか行ってないとできないんですね。
はい。技術的には可能なんでしょうけど、こうでもしないと、いくらでも詐欺に使われてしまう可能性がありますからね。
なので、せいぜい本人が対面でスマホを使ってポイントを使用できるくらいですね。
なるほどー。
で、マッチング前にこれだけの手間をかけなければならないのは非現実的です。
ですので、やるとしたら運営側が決済の代行をするわけですが、そうすると顧客管理から銀行への入金・出金管理といったバックエンドシステムが必要となります。このシステムは当然WordPressではありません。
高額なオーダーメイド開発となります。
あーなるほどー。
預かったお金の管理もしないとダメなんですね。
そうですね。
銀行のシステムと連動させるバックエンドシステムが必要となります。
そういった管理はWordPressの仕事ではないんです。
他にもタメになるポイントはあるんでしょうか?
オンラインサロンやマッチングサイトというと、とにかく自動でほったらかしで儲かりそうというイメージがありますが、システムより問題は集客です。
昔よりネットに課金する習慣が定番化したとはいえ、まだまだ日本人はサービスに対してお金を払うことを苦手としています。
そしてなにより無名の有料サイトを使うより、有名な無料サイトを好むでしょう。
確かにできればお金は使いたくないですね。
有料サービスで成功できるのは既に信者を獲得しているカリスマだけです。
特別なカリスマでもなければ、サイトのオープン後にしなければならないのは集客ということになります。
集客とサイトの機能は別です。高機能だから登録するという人は稀です。
あーわかります。
むしろ、みんなが使っているから登録する、というのが正解です。
みんなに使ってもらうには、最初は無料の方が断然有利です。
無料で開放してある程度ファンが増えてきたら徐々にマネタイズをする、というのが遠いようで近道だったりします。
目からウロコです(笑)
自分がネットであまりお金を払いたくないのに、いざサービスを立ち上げたら有料にしたい! と思っていました。
100日後に死ぬワニは無料から有料になった途端炎上しちゃいましたもんね。
そうですね。
有料にするのはいいんですが、払ってくれるかどうかはユーザー次第です。
サブスクにしても毎月お金が掛かるわけですから「お試し」もしたいですよね。
うん、たしかに。
ですので、いきなり初回見積りの段階であれこれ高機能なオーダーメイド開発を求めるよりは、無料で居心地の良いサービスのアイデアを考える方が得策だったりします。
私はオーダーメイド開発して頂いた方が儲かるのですが、親切心で言わせて頂ければ、ユニークな機能はあとで段階的にで十分間に合います。
欲張ったらダメってことですね。
はい。サイト運営って開発期間より、オープン後の方がずっと長いんですよ。
なので、最初に開発コストを使いすぎると、オープン後の集客に関連する予算がなくなることが多いんですね。
生まれる前より生まれたあとの方が長い人生みたいですね。
良いこと言いますね。
妊娠から出産よりも、子供から大人になるまでのほうがずっと長くて重要なんです。
妊娠中に親が財産使い果たすみたいなのは問題ですね……。
日本人にありがちな最初から最後まできっちり計画して遂行したい、という精神の表れなんだと思いますが、ネットの利点はそこではないんですね。
まずは小さく初めて小さな成功体験を繰り返す螺旋を描きながら成長することです。
ワンストップは気持ち良いんですが、経験のない人が考えたウェブサービスというのは、大抵ユーザーを置き去りにしてしまいます。
きっちりしている人ほど失敗しやすいんです。
スモールステップが大事なんですね。
はい。技術ももちろん大事なんですが、それよりもみんなに面白いと思ってもらえるアイデアを考えることが大事です。
ユニークな機能はあとで段階的にで十分間に合います。