暗くなるまで待ってはダメ? 夜景の撮り方・レタッチの仕方

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「十分に暗くなるまで待って撮ったのに、夜景らしくならない」「すばらしい夜景だったのでシャッターを切ったが、ただ暗いだけの失敗写真になった」といった経験はないでしょうか。

もちろん撮る光景にもよりますが、すっかり日が落ちた後は、夜景を撮るのに最適の時間ではありません。また、夜景らしく再現できるかどうかは、撮り方よりもむしろレタッチの工夫にかかっています。

夜景は黄昏時が狙いめ

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写真ストックサービスの無料写真を利用させてもらっておいて、申し訳けないのだが……どちらも(↑↓)真っ暗になってから撮ったために、建物の壁面の様子がわからなくなっている。このアングルならば、山など周辺光景もシルエット程度でいいから残したかったところだ。
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夜景の撮影に適した時間帯は、ずばり、黄昏時(たそがれどき)です。

当たり前のことですが、写真は光がないと写りません。撮る範囲が比較的狭くて、照明など人工の光が周囲を照らしているのならば、そこそこ大丈夫でしょう。一方、山や草原などの大きな地形になると、照らしてくれるものがなにもないと、写真の上ではただ真っ黒なだけです。

「目で見たときはきれいだった。素晴らしい夜景だったのに……」ということもあるかもしれません。注意を向ける物ごとに、肉眼が自動的に明暗を調整しているためです。光源や、光源が照らしている部分は瞳孔(どうこう)を狭くし、光が弱いところには瞳孔を大きく開けているのです。あるいは、なにか手がかり程度の見えるものから、その他の部分までを無意識のうちに想像で補っているかもしれません。

この明るいとろと真っ暗なところが入り交じった光景を、1枚の写真として記録してしまうと、真っ暗なところは真っ黒になるだけです。真っ黒を防ぐためには、ほんのりの程度であっても、光が必要です。

また、ビルなどで窓から照明の光が漏れ、十分に明るいように見えても、壁などには光が回りきっていないところもでてきます。やはり、ほんのりでも空からの光があることで、まったく影にしかならない部分が少なくなります。トワイライト(薄明かり)が影を拾ってくれる」というわけです。
ビクトリア・ピーク.jpg

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(上)空や海面の様子から、まだ明るさが残っているうちに撮られたことが推測できる。
(中)おそらくは、完全に日が落ちてから撮られた写真。トワイライトがないために、手前のビル群の壁面が黒くつぶれている。
(下)(中)の写真を全体的に明るく補正したもの。手前のビル群の様子はいくらか分かるようになった。しかし、トワイライトのような質のいい光が入っていないので、ビルもすっきりとは見えない上、今度は対岸の灯りの塊が明るすぎる。

夜景らしさは、レタッチで作り出す

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写真ストックサービスにあったそのままの写真(↑)と、空を落とすなど、それに加工した写真(↓)
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トワイライトは刻々と変化していきます。後のレタッチとの兼ね合い次第でもあるので「どの程度の暗さ・明るさが適切」とはなかなか決めきれません。間を空けて、何枚か撮っておいたほうがいいでしょう。

また、シャッタースピードや露出をオートで撮ると、ほぼ昼間と変わらない明るさになることが珍しくありません。まったくの初心者にはハードルが高いかもしれませんが、カメラの説明書などを参考にして「露出補正」をし、アンダーになるようにしましょう。それも、1段アンダー、2段アンダー、3段アンダーと数種類撮っておいたほうが無難です。

そうやっても、「どの1枚も夜景としての雰囲気に欠ける」となることが大半です。下手をすると、ただ露出を間違っただけの写真に見えるかもしれません。これを補うのが補正や加工などのレタッチです。

夜景の雰囲気を出すためにやることの代表が、「四隅の焼き込み」です。空が入っているのならば、空全体を落とし(空全体を暗くし)、特に左右や上の端に近いほど落とします。このときに注意が必要なのが、「だんだんと変化させる。不自然さを感じさせない」です。

これには「範囲指定をし、その範囲指定の境目をぼかす」などの工夫が要ります。ある程度はテクニックと慣れが欠かせません。最初はうまくいかなくても仕方がないでしょう。

レタッチは、肉眼で見たときのイメージに近づけるための作業

夜景っぽくするためのものに限りませんが、レタッチを「実際にはなかった光景を作り出すためのもの」と考える人もいるしれません。

確かに、そういった作業のときもあります。しかし、今回の場合は、「カメラの機能に制約があって、まだまだ見たものを正確には記録できない。また、正確に記録できたところで、肉眼で見て記憶に残った光景とはズレがある。それらをカバーするため」と考えたほうがいいでしょう。

また、同じ作業が必要なのは「風景」というほど範囲を撮る場合だけにはかぎりません。たとえば、照明がすてきなお店があって、その照明を強調して撮る場合も同様です。撮るときはアンダーに露出補正し、レタッチで四隅を落とすことで、いっそう印象的な写真になることが少なくありません。


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