日本人と肚

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こんにちは。
身体と心を整えれば、人生が整う。
ハリハラ(張り肚)呼吸法とセルフ整体を提供させて頂いている、救急救迷士、すみびとです。

今日は、私の呼吸法の肝でもある、肚(腹)についてお話したいと思います。

古来、日本人は肚を重んじる民族だったと言われています。

実際、現在でも、
はらが立つ
はらを割る
はらが据わる
はらを決める
はらを探る…などなど
肚が含まれている慣用句が多くありますよね。

これって、日本人は本来、本当の自分(魂)はもともと「肚」に宿ると直感で理解していたからこそ、このような多くの言葉が生まれたことが、うかがえます。

また、その方法の良し悪しは置いておいて、昔の武士は責任の取り方として、〝はらを切る〟という独特の方法を行っていたことからも、肚をとても重視していたことが分かります。

実際、最近の科学では、脳以外に、大腸にも多くの神経細胞があり、交感神経系や副交感神経系を介して、脳と腸が密接に関わっていることが分かっています(脳腸相関)。

一説では、私たちの意思決定や感情などは、実は腸内細菌がコントロールしているのでは、とさえ言われ、腸は「第二の脳」と言われてきたのが、ひょっとすると「第一の脳」では、とさえ思われる知見も多く報告されています。

これを突き詰めると、「じゃあ、私だと思っている『私』って誰なの?」
と、新たな疑問も出てきますが…。


一方、西洋ではギロチンに代表されるように、〝くびを切る〟という形で責任を取らせていました。

これって、西洋の人々は、本当の自分というものは頭(脳)に宿っていたと、考えていたともとらえることができます。

このように、肚を重視してきた日本人は、江戸時代までは今よりずっと身近に肚を感じることが多かったと思われます。

その要因の一つが着物です。
着物を着て帯を締めることで、肚を自然と意識しやすくなり、肚からの感覚をキャッチしやすかったと言えます。

実際、現在のパンツのベルトと、着物の帯とでは、着衣がズレないようにするための構造が違います。

ベルトの場合、腰骨より小さい輪っかを作り、それを腰骨に引っ掛けることで腰より下に下がらないようにようにします。

一方、ご存じの方もいるかと思いますが、帯の場合は、常に腹を張り、膨らませることで、着物を腹と帯の間に挟み、着崩れを防ぐようにします。

なので、ちょっと気を抜いて腹を緩めると、着崩れを起こすことになるため、慣れるまでは、常に意識してお腹を張っておくことが求められます。

こうしたことから、着物が普段着だったころの日本人は、知らないうちに、無意識に肚というものを常に意識できていたと言えるのではないでしょうか。

なので、私も上着などで隠すようにして、帯状のものをお腹に巻き、着物チックな肚の状態をキープすることで、当時の人々を疑似体験しております。

いずれは本格的に着物を着たいと思っていますが、さすがに人の目が気になって勇気がいるので、とりあえずは、野袴スタイルで着こなしていこうかと企んでおります(笑)。


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