技術士・第二次試験 (27)

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法律・税務・士業全般
【R5電気電子部門:必須問題】Ⅰ-2
「再現論文:A評価!」/技術士第二次試験

【1】 問題文

 これからのモビリティ社会では、EV (Electric Vehicle) が重要な役割を果たすと期待されているが、社会のインフラ技術に与える影響は大きいと思われる。EVが普及した社会におけるインフラ技術を考えるうえで鍵となるものは、根本的な課題解決の観点をどのようにとらえるかである。そのうえで、解決策と将来像についての道筋を示すことが求められる。これらを踏まえ、以下の設問に技術面で解答せよ。本問は、EVが普及した社会におけるインフラ技術に向けた考え方を問うものである。 (政策などは含まない。)

(1)技術者としての立場で、EVが普及した社会におけるインフラ技術の根本的な課題を多面的にとらえ、重要と考える3つの観点を抽出して、それぞれの根本的な課題の内容を示せ。(*)
(*)解答の際には必ず観点を明記してから課題を示せ
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その課題に対する電気電子分野関連における解決策を3つ、電気電子部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(2)で示した解決策の実施において、技術者としての倫理、 社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。

【2】 評価事項(by 小泉)

(復元論文は、受講生さんの了解を得て、ここに掲載します)
 私は本論文を「A評価」としました。
・題意に沿って解答できている。
★各設問において「項目名」を記載している点は、解答論文の目次だてから構想を始めたと思われます。こうすると論文が書きやすくなると思います。
・設問(2)で最重要課題とした「充電インフラの整備」に対し、設問(1)で挙げた課題は最後に記載したほうが(1)→(2)の過程で読みやすくなると考えます。
・設問(4)は変化球で、設問(2)に対する必要要件を問われています。この変化球に対応していますが、もっと字数がほしいところです。

【3】 A評価論文 by 受講生

1.EV普及社会のインフラ技術の多面的観点及び各課題
 EVが普及した社会において、インフラ技術の根本的な課題に対する観点として、①充電インフラの整備、②電力供給の安定化、③蓄電池のリサイクルの3つが挙げられる。各観点に対する課題を以下に示す。
①充電インフラの整備:EVの普及に伴い充電インフラの整備が急務となっている。現在、特に地方部では充電器の設置されていない空白地域が目立っている。
②電力供給の安定化:EVの普及により、電力需要の増加が予想される。このため、電力供給の安定化が必要である。また、EVの急速充電による電力需要の急増に対応するため、電力網の強化も必要である。
③蓄電池のリサイクル:EVに搭載される蓄電池は、リチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタルを原材料に含み、エネルギーを大量消費する中で製造されている。このため、蓄電池のリユースとリサイクル体制を確立することも重要な環境課題の一つである。
2.最重要課題とその理由及び解決策
 前問での述べた課題のうち、最も重要な課題は、①充電インフラの整備と考える。なぜなら、EVの普及には、充電インフラの整備が欠かせないからである。充電インフラの整備に対する解決策を以下に3つ示す。
1)スマート充電システムの導入:充電ステーションの設置場所や充電量を自動的に制御することで、電力の効率的な利用が可能になる。また、充電ステーションの設置場所を選定する際には、電力供給の安定性や需要予測などを考慮することが重要である。
2)高速充電技術の開発:高速充電技術の開発により、EVの充電時間を短縮することができる。例えば、急速充電器を使用することで、EVの充電時間を数十分程度に短縮することができる。
3)蓄電池技術の改善:蓄電池技術の改善により、EVの航続距離を延ばすことができる。例えば、高容量のリチウムイオン電池を使用することで、EVの航続距離を数百キロメートルにまで延ばすことができる。
3.新たに生じうるリスク及びその対策
Ⅰ)新たに生じうるリスク
 前問に示した解決策を実行しても新たに生じうるリスクを以下に示す。
・スマート充電システムの導入により、ハッキングやサイバー攻撃のリスクが高まる可能性がある。
・高速充電技術の開発により、充電器の故障や火災のリスクが高まる可能性がある。
・蓄電池技術の改善により、蓄電池のリサイクルに関する問題が生じる可能性がある。
Ⅱ)新たに生じうるリスクへの対策
ⅰ)セキュリティ対策の強化:スマート充電システムの導入に際して、サイバーセキュリティの強化が必要である。例えば、暗号化技術の導入、不正アクセスを検知するシステムの導入が考えられる。
ⅱ)安全性の向上:高速充電技術の開発に際して、充電器の安全性の向上が必要である。例えば、充電器の過熱を防止するシステムの導入、充電器の定期的な点検が考えられる。
ⅲ)環境保護対策の強化:蓄電池技術の改善に際しては、蓄電池のリサイクルに関する問題に対処する必要がある。例えば、蓄電池の材料の再利用、蓄電池のリサイクルに関する法律の整備が考えられる。
4.技術者倫理及び社会の持続可能性に必要な要件
●技術者倫理に必要な要件
 技術者は、社会に貢献することを念頭に置き、安全性や信頼性を確保することが求められる。
●社会の持続可能性に必要な要件
 充電インフラの整備にあたり、環境負荷を最小限に抑えることが求められる。また、社会全体の利益を考慮し、公平性やアクセシビリティを確保することが重要である。
以上
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