人は過去を見て現在を見て未来を見る。
過去に通ってきた道を眺めて納得し、反省し、受け入れて、未来に向かって歩いて行く。
たくさんあるタロットカードの中で印象に残る一枚をあげるとすると、私はカップの5のカードをあげます。
これは最初に書いたそんな流れを一枚で表していると思うのです。
だけど絵柄は暗く、ぱっと見「いいカードじゃないな」と思わせるさみしいカードです。
なんかタロットカードっていえば世界とか運命の輪とか愚者とか魔術師とか、明るい絵柄がイメージとして使われること多いように思います。
でも私はこれ。
なんでかって言われると、希望があるカードだからでしょうか。
どうみても暗くてさみしくて、カードの人物はもう人生おわったような哀愁を漂わせているのに?!
そう思う方もいるでしょうが、このカードは希望があるんですよ。
この人はこれまでの自分の歩んできた道を振り返って嘆いています。
「ああ、もうなんにもいいことないし、自分がやってきたことってなんだったんだろうな」
後悔しているかもしれないし、自暴自棄になってすさんでいるかもしれないし、悲しくて悲しくてやりきれない思いをしているかもしれません。
とにかくこの人は今の自分に対して憤りを感じ、自信も失い、未来に希望も持てず、これから先どうやっていったらいいんだろうと嘆き悲しむ人になっています。
いや~、これのどこに希望が?!と。
この人はもうどうしたらいいかわからなくなってる自分のことで精一杯で、まわりを見る余裕がありません。
実際この人がこれまでの人生で手にした数々の経験や知識、技能、人間関係、宝物やアイテムなどが足下に転がっています。
崩れてしまった。
やっぱり終わってるじゃん。
だけど5つあるカップのうち2つはまだ残っているんです。
完全に終わっていない。
本当に必要な物だけが残されて、今も輝いて光りを放っているんです。
この人はそれに気づいてないからいつまでも嘆いているだけなんです。
そして後方には明日へ続く道もちゃんと用意されています。
川には橋がかかり、目指す場所への道はしっかりと続いています。
これからの展望はもちろんこの人次第でいかようにもかわりますが、決して悲観するような未来ではないんです。
要はこの人が気づくか気づかないかの話なんです。
世の中の大半ってこれに尽きると思うんです。
目の前にもたくさんヒントや気づきが用意されているんだけど、それだと気づかないでスルーして堂々巡りがあるわけで。
アンテナが鋭い人はそれだとキャッチして上手に進んでいける。
みんなどんなときもそのようでありたいと思うけれど、なかなかそうもいきません。
人は前向きになれないときはだいたい「下」を向いてます。
下を向くと視野が狭くなり、遠くを見れなくなります。
ほんのちょっと視線をずらして顔を上げてみたり、まわりを見渡してみたり、それが突破口になったり、今の自分を再確認するきっかけになったりします。
カードの人物に残された輝くカップは2つ。
ちょうど両手に持てる数です。
もしかしたら5つは持ちきれなくて落としたものだったのかもしれません。
この人は実は欲深い人で、持てない量なのに「絶対持って行くんだ!」とせっせ、せっせと積み上げて無理をしたのかもしれません。
一部は失いました。
だけど両手でしっかり持てる数が残り、それはその人にとって大事な中身が入っているものであり、それを持って心機一転歩いていくんだよって教えてくれてるんです。
必要なものは何か。
要らないものは何か。
それは思考であり物でありつながりすべてにおいてです。
それが整理できたら、もう一回はじめようって背中をおしてくれる力がわいてくる気がします。
だからこのカードは希望ですよ、絶対。
何か立ち止まった時はそういう意味もあるかもしれないと、感じてもらえたらいいなと思います、