インフルエンザ脳症の赤ちゃんと家族 6

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コラム
病前の赤ちゃんはよく笑う子だった
首すわりも、ハイハイも、つかまり立ちも、歩き始めるのも
早くて、検診に行くたびに褒められて…

今目の前にある現実から何度も目をそらしたくなる。
両親の葛藤はどんなに深いものだっただろうか…

発症してから半年ほどで転院となった
転院先はこども専門の病院

その病院に到着すると、診察や入院手続きがあった。
病院は4人部屋。
大きくはないが家族も泊まれる部屋だ。

「こんにちは!」

はじめて声をかけられたのは、若いお母さんだった。
腕の中の赤ちゃんを見て、

「わー、かわいいー!」

かわいい…

家族は衝撃を受けた気がしたそうだ。
病気になってからは生きることに必死だった。これからのことに不安を抱えて、どうしようもない苛立ちもあった。

赤ちゃんにかわいいと声をかけたのはいつだっただろう。

「ちょっとうるさいかもしれないけど…よろしくお願いします」
「いえ…こちらこそ…」

赤ちゃんの家族は、カーテンを閉めて、そっと泣いたそうだ。

それから、リハビリが始まった。

赤ちゃんは新生児のように体の筋緊張が低下している状態。
首も座っていないような感覚だ。

毎日毎日1時間~2時間をゆっくりとリハビリしていった。
隣のお母さんとは仲良くなり、今でも連絡をとりあっているらしい。

つづく
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