インフルエンザ脳症の赤ちゃんと家族 4

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コラム
ヘリで搬送先の病院に到着したあと、母親は暗い廊下で長い間待っていた。
約2時間ほど遅れてきた夫とともに、赤ちゃんの無事を祈った。

(寝たきりでもいい。一生話せなくてもいい。とにかく生きて…)

母親は何回も何回も願ったそうだ。

何時間かすぎたころ、担当してくれたDrが出てきた。
今から詳しい話をするので、心の準備ができましたら声をかけてください、と。

両親は5分ほど動けず、最悪のケースを予測しながらカンファレンス室へ入った。

カンファレンス室にはDrとNsが一人ずつ。
光で何かをうつしている。

「お父さん、お母さん、お子さんはインフルエンザによる脳症…
インフルエンザ脳症に罹患したと予測されます」

医療関係者でもなく親族にもいない夫婦にとって何を言っているのかさっぱりわかない。おそらくわかりやすく説明してくれているのだろうが、混乱でまったく理解できない。

光にうつっていたのは、赤ちゃんの脳のCTとMRI画像だったらしい。

紙に書かれた文字を反芻する。

・インフルエンザウイルスが原因
・これは予測できるものではないこと
・検査と処置中に5回目と6回目の熱性けいれんを起こした
・現在は人工呼吸器をつけている
・脳に損傷と浮腫がある。それが今後どうなるか現時点では予測できないこと
・インターネットであまり病気や予後を調べない方がいい

家族は眠れないまま…赤ちゃんに面会もできないまま朝を迎えた。
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