「逆境の哲学⑩」~様々な事例に学ぶ「運」と「ツキ」と「節目」の研究~

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学び
(5)「時」を見抜く目と忍耐力・吸収力・向上心がカギとなる
②「忍耐力」「吸収力」「向上心」さえあれば、最終的には必ず発展する。

●「忍耐力」があれば、1~1.5年(遅くとも3年)で「環境」の方が崩れていきます。
 井原西鶴の『西鶴織留』(さいかくおりどめ)に「石の上にも三年」という言葉が出て来ますが、俗語として伝えられているとありますので、当時の庶民達の経験則として広く理解されていたのでしょう。実際、逆境・逆運にある時ほど、あたかも「この状況が未来永劫にわたってずっと続く」かのような錯覚に陥り、絶望にかられてしまいがちですが、これはまさに人間の弱さであり、簡単にはまってしまう心理上の落とし穴です。
 逆に自分を高めてくれる「縁」を求め、「積善」の道を行き、「最善を尽くす(do one’s best)」ことを心がけていると、間違いなく3年以内に道が開かれるから不思議です。これはいくらそういうもんだと口をすっぱくして説明しても、自分で1度体験してみる以外に無いでしょう。そして、1度そうした体験を持つと、次からは試練・逆境を乗り越えやすくなるのです。

●「吸収力」があれば、どんなに「道」が見えないような状況でも必ず「道」が見つかります。
 「素直」な人は実は「発展型の運」の持ち主と言えます。我が強く、自己主張の強い人は一見すごい実力者のように見えますが、実は吸収力に柔軟性が無く、自分に無いものをどんどん取り入れていく度量に乏しくて、いつしか伸び悩むことが往々にしてあります。これは「実力者が陥りやすい落とし穴」とも言えるでしょう。これに対して、年下からだろうが何だろうが、自分にないもの、必要なものは素直に頭を下げて吸収していく人は、一見柔弱に見えますが、実はそら恐ろしい人です。3年、5年経つと確実に発展・成長していくからです。大体、「人間は口が1つであるのに対し、耳は2つ与えられた」と言われるように、自分のことをペラペラ話す以上に人の話をよく聞いて、そこから多くを学んでいくという姿勢は人間の本性に適っているのです。

●「向上心」があれば、自分に必要な情報・出会いと「縁」が生じるものです。
 札幌バンドの原点となり、札幌農学校で近代日本の方向性を左右するような多くの人材を育てたクラーク博士は、その別れ際に「少年よ、大志を抱け!」を青年達に叫びました。実はこうした志、夢、理想、目標を持つことは潜在意識を活用する第一歩であり、あらゆる成功のカギは「潜在意識を如何に有効に活用するか」ということに尽きるとさえ言われるほどです。
 摩訶不思議な「運」なるものが、生きて感情を持ち、言動と行動を通じて日常生活を営んでいる生身の人間の実人生とどこでどう接点を持ってくるかというと、これは潜在意識・深層意識を通じて表面化・顕在化してくると考えられています。具体的には潜在意識・深層意識が検索エンジンのように機能して、自分に必要な情報・出会いを探し求めるのです。かくして、禅の革命児・六祖慧能は「全ての幸福の生じる畑は心の中にある」と喝破しており、シェイクスピアも「全ての用意はできている。もしも心に用意があるなら」と言っています。ナポレオンなども「想像力が世界を支配する」と豪語しています。
●「忍耐力」「吸収力」「向上心」の3つが揃えば、「発展型の性格」が生まれます。
 よく現状からの逃避のために未来の自分を過信することがありますが(「今年はもう時間がないから、大学受験は来年に回そう」「2年かけたら出来ると思う」)、「未来の自分の可能性の根拠は今の自分にしかない」という厳然たる事実を心に留めておくべきです。今、確実な一歩を踏み出していない人は、1年後だろうか、2年後だろうが、千里先のゴールには間違いなく到達していないのです。
 今現在の状況をきちんと分析し、限られた時間を有効に使うべく、優先順位をつけ、最大限努力するという「今の自分にできる限りのこと」をできない人が、時間が経てば自然にできるようになることなどあり得ません。「今の自分にできる限りのこと」をしている人であるならば、力及ばず、目標達成ができなかったとしても、それ以上のことはできないので、止むを得ないこととして納得することができます。少なくとも「やれるだけのことはやった」わけですから、「後悔だけはしない」ことになります。そして、こういう人ならさらに時間をかければ、より少ない時間の中ではできなかったことも、達成する可能性があると言えるのです。
 「座して死を待つより、いさぎよく打って出るべし」と兵法学でも言いますが、「やるべきことをやり切ってダメなのか」、それとも「ただ何となく今までの延長でやっぱりダメなのか」は、同じ「ダメ」でも次につながる可能性の有無が違うのです。やるだけやってダメな人なら、別な勉強・仕事・目標なら成功することがいくらでもあるでしょう。やるべきことをやってもみないでダメな人なら、何をやってもダメでしょう。それはやるまでもないことです。

【ポイント】
 孤独でもさえなくても実績ゼロでも耐え抜ける「忍耐力」のある人、「誰からでも学ぶことが出来る吸収力」がある人、今の自分ではダメだと感じていたり、「こうなりたい」という思いが強い「向上心」がある人は、「逆境」の中でも最終的には「発展」していく人達です。
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