四柱推命の歴史④

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さて前回、四柱推命は改変・改良が行われながら進化してきた占術だと言いました。

徐子平ののちにも多くの古典・原書と呼ばれるものが発表されましたが、ここではその多くを割愛して、現在でも重要視されている原書を3冊に絞って説明しますね。

これから説明する以外の原書についてはウィキペディアなどにそのタイトルが掲載されていますので、気になる方はそちらをご覧ください。


1 『滴天髄(てきてんずい)』 劉基(りゅうき)
2 『窮通宝鑑(きゅうつうほうかん)』 余春台(よしゅんだい)
3 『子平真詮(しへいしんせん)』 沈孝瞻(ちんこうせん)


これらの3タイトルが、現代の推命研究家がもっとも重要視する原書です。
通称、三大原書と呼ばれています。


特に明の時代に書かれた『滴天髄』は、その内容が素晴らしいにも関わらず、あまりにも難解極まる文章となっているために、後世の研究家達の熱心な研究対象となっています。
原文がとても短い文章で構成されていて、深遠な推命の世界を語っているため、かなーり難しいです…。理解できる人が読めば、最も優れた四柱推命の原書です。


ここでは一応それぞれの原書の特徴について説明しますね。

窮通宝鑑は、日干と季節を対照させて見ていく方法を説いています。
例えば、夏のカンカン照りのときの樹木は暑さで今にも枯れそうになっていますから、このとき木に水を与えるは急務です。ですから夏の木には水があれば良い、となります。
反対に冬の寒い時の木は寒さで凍えて動けなくなっていますから、暖かい太陽の日差しと、溶けたお水を吸い上げ、栄養にするための根がほしい、となります。
これらの必要な星が命式にあるものを上格として、例え命式になくとも大運で来るときには開運すると判断します。
そういった観点から推命を論じる方法を、調候用神法(ちょうこうようじんほう)と呼びます。


それに対して、子平真詮は扶抑用神法(ふよくようじんほう)という用神選定法について論じています。扶抑とさきほどの調候とは四柱推命の判断法の双璧をなす観法です。
扶抑法とは、日干と月支を対照させて、日干が月支から生じられていたり月支に通根する場合はまず一旦身旺とし、それ以外の時は身弱としておいて、判断の出発地点とします。これはあくまでも前提条件の確認であり、この時点ではまだ身旺身弱は確定しません。
次に月支以外に日干を生扶するものがあるかないか、日干を剋洩するものがあるかないかを見ます。
例え月支のエネルギーを得られず身弱に傾いていたとしても、他の地支に日干の通根が多くあれば身旺と判断します。逆も然りです。
こうやって命式の身旺身弱を判断してから、身弱であれば扶ける星を用神とし、身旺であれば日干を洩らしたり剋したりする星を用神として選定します。


最後にご紹介する滴天髄は、運命判断法の総括論という感じでしょうか。
親切に書かれている本ではありません。例えるなら、悟り切った人がボソッと格言めいたこと言う、そんな感じの本です。著者と同じレベルにいる人には理解できても、一般人には理解できません。普通の人が聞いたら「え?今のどういう意味?」ってなるような、「すみません、わかりません」ってSiriみたいに返答するしかないみたいな。そんな内容になっています。
そのため、後世に多くの推命家が自身の解釈を付け加えた注釈本を発表しています。ただし、注釈をつけた人によってその解釈もまちまち…。どれを信じるかはあなた次第というのが本当のところです。
信頼できる先生が解説をつけてくれた本を読むことをお勧めします。



そしてですね、四柱推命の学術的発展の歴史という意味では、この三大原書の登場をもって完成、ということになります。

三大原書が頂点。

そのなかでも特に滴天髄がその頂きということになります。


三大原書以降もいろんな本が登場したんですが、全く新しい学説とか、今までにない斬新な見方というのはほぼなくて、全部それまでに登場した理論を再収録したとか検証したとか、組み合わせてみたとか、そういうたぐいの本に過ぎません。


ですので、この『四柱推命の歴史』も、ここで終了ということにします。





一応学術的な発展の歴史としましては、最初期の四柱推命は神殺と呼ばれる特殊吉凶星を重視する見方をしていました。また、初期の推命は空亡も判断の対象になっていました。今でも空亡を見る占い師さんもいるようです。
それが発展してゆくにつれ、まず身旺か身弱なのかを定めて、用神を割り出すことを判断のスタートラインとするように改まりました。
つまり日干が強いのか弱いのかを判断して、その命式に必要な用神を選定しないことには、一切鑑定が始まらないということになりました。

用神を選定するためには、まず月令からの扶けがあるかどうかを見て、扶けがあれば基本身旺であると判断します。
月令から剋されていたり、日干の気を洩らしているときは身弱と見て判断します。
身旺ならは身旺の用神を、身弱ならば身弱の用神を選定し、次に季節の傾きを見て、調候用神と呼ばれる寒暖燥湿を緩和させるための用神を取用します。

それと、ごく稀に外格という非常に偏った命式の人が存在するので、そのときはまた別の、専旺用神法と呼ばれる、命中で強い気勢に従うものを用神として判断していきます。

ただ、そういった例外はあるものの、基本的には強いものを弱め、弱いものを救けるというのが普通命式の判断法となります。
東洋思想では中庸(ちゅうよう)を重んじますので、四柱推命においても中庸を良しとするんです。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」孔子の言葉です。


ここまでが完了したらいよいよ人様を目の前にして鑑定へと進んでいきます。

ここまでで四柱推命の歴史と、簡単にではありますが命式の判断方法をご紹介しました。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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