波。粒子。いいえ、ベクトルです。

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量子力学で Twitter を検索すると、世の中の広さに驚かされるような内容ばかりです。
ちなみにココナラのサービスも検索してみると...


...ということで、実際のところ量子力学って何をやるのかについて公理を紹介していきたいと思います。
 (新井 朝雄, 江沢 洋. (1999). 量子力学の数学的構造〈2〉.: 朝倉書店.
を参考にしています。)

公理1
量子系の状態はヒルベルト空間 H の零でない単位ベクトルによって記述される。
これはよく ψ と書かれる。ここでもそうする。

公理2
物理量は H 上の自己共役作用素によって表される。
ここでは A と書く。

公理3
A に同伴するスペクトル測度を Ea とする。
ψ を A で測定したときの観測値が (ボレル) 集合 J に入る確率は || Ea(J) ψ ||^2 に等しい。
観測直後の状態は Ea(J) の値域のベクトルのどれかになる。

他にも複数の物理量の同時観測に関する公理や時間発展で状態がどのように変化するか (シュレーディンガー方程式) などの公理も紹介されていますが、今回は上の 3 つに留めておきたいと思います。

少し補足しておくと、
状態はもう少し一般化して C*-環やノイマン環の上のある性質を満たす汎関数として定義することが出来ます。
測定後の状態については射影仮説を知っている方もいるかもしれませんね(?)。
こちらは調べても A の構造が簡単な場合の話しか出てこなかったので本当に一般的な射影仮説を述べているかは微妙ですが、
A = ∑ λi Ei と書けている時、状態 ψ を測定して観測値 λi を得た直後の状態は Ei ψ になる。
というものらしいです。
この仮説を用いずに測定後の状態が上手く定まるような物理量達だけ考えようとすると結局可換なものしか考えられないことになり、それは古典的な物理の世界しか考えてはいけないという意味になります。
新井 朝雄. (2006). 量子現象の数理.: 朝倉書店. とか参照。


この公理を利用してよくある位置の話をしてみましょう。
量子系はユニタリ変換と呼ばれるもので移り変わるもの同士は同じものとするので、物理量としての位置の描像は色々あるのですが、次の組を考えましょう。

H = L^2 (R)
A = x 

補足すると A は A f(x) = x f(x) という作用素を表しています。
A に同伴するスペクトル測度ですが、ここでは集合 J に対して次のような関数Ea (J) を返す対応の事を指しています。
Ea (J) = x が J 上にある時だけ 1, それ以外は 0 という関数

この設定で
ψ = x が [0, 1] 区間上にある時だけ 1, それ以外は 0 という関数
がどのような状態を表しているか考えてみると、

粒子が [0, 1] 区間上に一様に存在している

という状況であることが確認できるのです!
 (波動関数の 2 乗が粒子の分布の確率密度をあたえるのだ!というよくある説明も同様に示すことができます。)


ほとんど参考書の丸写しになってしまいましたが、スピリチュアリストの方々が参考にして下さったらうれしいですね
というお話でした。
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