根太レス工法は欠陥住宅なのか?

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最近、根太レス工法について記事を書くことがあったので、根太レス工法の評判について調べてみました。
すると、根太レス工法は、問題のある工法だ。欠陥住宅の可能性もあるなどという記事が出てきたので、焦りました。
なぜなら、10年以上前に建てた自分の家も根太レス工法を採用しているからです。
おまけに、施工時に私自身も現場に大工仕事のお手伝いに入って建てた家なので、それが欠陥住宅とか言われたのではたまったものではありません。

何が問題なのかと調べてみると、根太レス工法の床は、「床がたわむ」「踏み心地が違う」といったクレームがあるそうですね。

根太レス工法は、胴差しの間に梁と小梁を3尺間隔で碁盤の目のように渡します。その上に24ミリ以上の分厚い構造用合板を張り付けていく工法です。
胴差しと梁、小梁が同じ高さでがっちりと組まれ、これを24ミリもある構造用合板で固めているわけですから、地震時に床が横揺れでずれて壊れる可能性が低くなります。床が頑丈であればその上の柱や屋根が崩れにくくなるわけです。
地震に強いとされるツーバイフォー工法の良い部分を在来工法に取り入れた工法で10年ほど前から使われるようになりました。

「床がたわむ」「踏み心地が違う」というクレームが生じる理由は、梁と小梁の間隔が3尺と長いことが原因のようです。
3尺と言うのはサブロク板の短い方の長さです。畳の短い側とほぼ同じです。
3尺間隔の中心部に重量がかかる状態が続くと、剛床と呼ばれる分厚い構造用合板でも、ゆがみが生じてくることは避けられません。
これを防ぐために最近では、剛床の厚みを28ミリ、30ミリと分厚くしたり、梁と小梁の間に根太をもう一本入れるといった工夫がなされているようです。

ちなみに、クレームが生じる家は、剛床の上に、直接、フローリングを張っている事例が多いようです。

私の家では、二階の床に根太レス工法を採用しています。
剛床を採用したのは、二階部分の面剛性を高めることで、地震時に、二階から上、つまり屋根がゆがんで崩れることを防ぐためです。

一方、一階は、根太工法で仕上げています。
根太工法は、土台に大引きと呼ばれる太い横掛け材を渡してその上に根太と呼ばれる細い角材を1尺の間隔で渡し、薄めの構造用合板を張って床を作っています。
この仕上げ方だと、面剛性がありません。土台の上に、横掛け材を渡しているだけだからです。地震時には、横掛け材に乗せられた床が土台の上でゆらゆら動いてしまいます。
ただ、一階はそもそも、べた基礎の耐圧盤により面剛性が確保されるため、一階床での面剛性は考慮しなくも問題ありません。もちろん、火打ちは入れます。
面剛性よりも地面に近いことから床下の通気性。冷蔵庫などの重量物を置くことから、床がゆがまないことの方が重要です。このような場合は、根太工法の方が優位になるようです。

では、根太レス工法を採用した二階の床がたわむ状態になっているのか……?
ちなみに、剛床の厚さは最低の24ミリです……。

でも、まったく問題ありませんでした!

なぜかというと、私の家の二階はすべて畳の和室だからです。
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人間の重みだとか、こたつを置いた重みは、畳がクッションの役割を果たして吸収してくれているようです。
おまけに畳だと、畳縁の部分に梁が通っていることが分かりますから、こたつの足などは、畳縁におけば、梁に直接載せている状態になり、たわみを防げます。
廊下部分は、フローリングを張っていますが、バリアフリー仕様のため、畳との段差がないようにしています。
そのため、廊下部分も剛床の上に、角材を敷き、もう一枚構造用合板を張り、その上にフローリングを張る仕上げ方になっています。押し入れも同じです。
つまり、剛床の上に直接、フローリングを張っている部分はどこにもありません。
そのおかげで、24ミリでも、床がたわむ状態になっていないようです。

試しに畳をはがして、剛床を水平器で調べてみました。

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畳は、マイナスドライバーを隙間に差し込んで梃子のようにあげれば簡単に開けられます。
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畳を開けたのは多分10年ぶりくらいです。床のシミは畳のアクですね。
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10年以上経っても、たわみはありません。よかった!
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廊下との境目。フローリングは、剛床の上に角材を渡し、もう一枚構造用合板を敷き、その上に施工しています。

まとめると、根太レス工法の剛床に直接フローリングを張った場合は、「床がたわむ」「踏み心地が違う」といった状態になりやすいかもしれません。
一方、剛床の上に畳を敷いて使う場合や、剛床の上にさらに角材を渡して、もう一枚構造用合板を張ってフローリングを張る仕上げならば、実質、根太を渡しているとの同じなので、このような欠点をクリアできると思われます。
根太レス工法の剛床にフローリングを張りたいなら、直接貼るのではなく、角材を渡してもう一枚構造用合板を敷いた方がよいでしょう。
お金はかかりますし、大工さんはめんどくさがるかもしれませんが、注文住宅などで自分で現場に要望できる方は、参考にしてみてください。


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