ChatGPTに簡単な法律の問題を解かせてみました

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法律・税務・士業全般
私は、ライターの仕事で、ChatGPTを使わないことをポリシーとしていますが、ChatGPTを敵視しているわけではありません。

プライベートでは、ChatGPTに質問して、面白い答えが返ってくるのを楽しむ、いわば、ChatGPT大喜利をしています。

現状、ライターの仕事で、ChatGPTを使わないのは、なぜかというと、ChatGPTに書かせるより自分で書いた方が早いからです。
現時点で、ChatGPTがそのまま使える文章を書いてくれることは、ほとんどありません。
必ず、どこかに間違いがあります。しかも、よく読まないと間違いが見つけにくい巧妙な文章も出て来ます。
そんな間違い探しに手間をかけるなら、最初から、自分で考えて書いた方が早いわけです。
だから、ライターの仕事で、ChatGPTを使うことはありません。

今回は、ChatGPTが現状、どれくらいの性能を有するのか、簡単な法律の問題で試してみました。

次の様な問題です。

Aが死亡して相続が開始したが、Aの親族関係者は次のとおりである。

配偶者B
Bの実子C(Aとは血縁関係がなく養子縁組もしていない。)
Aの実母D
Aの妹E

この場合において、Aの相続人となるのは誰か? 日本の民法を基に答えてください。

民法を勉強した方なら、答えは、「配偶者BとAの実母D」だとすぐにわかると思います。

では、ChatGPTはどう答えたのか、見ていきましょう。

以下は、OpenAIのChatGPTの回答です。(ChatGPTに転載許可をいただいています)

日本の民法に基づいて、上記の場合におけるAの相続人は以下のようになります。

まず、配偶者であるBは通常、最初の相続人となります。配偶者は優先的な相続権を持ちます。

次に、配偶者Bとの間に血縁関係がなく、かつ養子縁組もされていないBの実子Cは、Aの相続人とはなりません。

その次に、Aの親である実母Dが相続人として考慮されます。日本の民法では、配偶者が相続人でない場合には、まずは子供が相続人となりますが、Aには子供がいないため、次に両親が相続人となります。Aの実母Dはこの場合、Aの相続人となります。

最後に、Aの妹であるEは、Aの相続人とはなりません。日本の民法においては、兄弟姉妹は通常、直系尊属(親や祖父母)や配偶者がいない場合に相続人として考慮されますが、本ケースではAの実母Dが生存しているため、Eは相続人とはなりません。

したがって、日本の民法に基づく場合、Aの相続人は配偶者であるBと親である実母Dとなります。ただし、具体的な状況や法律の解釈によって相続人や相続割合が変わる可能性があるため、専門家の助言や具体的な法的手続きが必要です。


答えは、「Aの相続人は配偶者であるBと親である実母Dとなります。」と出ていますから、正解です。
素晴らしいですね!
ただ、文章自体には、所々に致命的な間違いがあります。

一つ一つ見ていきましょう。

次に、配偶者Bとの間に血縁関係がなく、かつ養子縁組もされていないBの実子Cは、Aの相続人とはなりません。

正確には、「配偶者Bとの間に血縁関係がなく」ではなく、「Aとの間に血縁関係がなく」ですね。
問題文がまずかったのでしょうか。読み取りやすいように工夫する必要があったのかもしれません。

その次に、Aの親である実母Dが相続人として考慮されます。日本の民法では、配偶者が相続人でない場合には、まずは子供が相続人となりますが、Aには子供がいないため、次に両親が相続人となります。Aの実母Dはこの場合、Aの相続人となります。

正確には、「日本の民法では、配偶者が相続人でない場合には、まずは子供が相続人となりますが」ではなく、「日本の民法では、まず、配偶者と子供が相続人となりますが」ですね。
もっともらしい文章で書かれているので、民法を知らない人が読むと間違いに気づきにくいかもしれませんね。

更に巧妙なのが次の文章です。

最後に、Aの妹であるEは、Aの相続人とはなりません。日本の民法においては、兄弟姉妹は通常、直系尊属(親や祖父母)や配偶者がいない場合に相続人として考慮されますが、本ケースではAの実母Dが生存しているため、Eは相続人とはなりません。

もっともらしく書かれていますが、この文章も間違いです。この部分です。

日本の民法においては、兄弟姉妹は通常、直系尊属(親や祖父母)「や配偶者」がいない場合に相続人として考慮されますが

配偶者がいる場合でも、直系尊属(親や祖父母)が死亡していれば、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるというのが正解です。

そういうわけで、このように、間違い探しをするのはそれだけで時間がかかるんですね。
それに、間違った文章を添削すると文章自体がおかしくなりますから、最初から書き直さなければならない。

そんなことをしているなら、最初から自分で書いた方が早いわけです。

おまけに、ChatGPTの回答は安定していません。上記の回答は、たまたま正解しただけのようです。

同じ質問を別の日にしてみたら、次のような回答が返ってきました。

以下は、OpenAIのChatGPTの回答です。(ChatGPTに転載許可をいただいています)

日本の民法に基づくと、相続人は以下のように定められています。

まず、配偶者であるBは、Aの相続人となります。 配偶者は法定相続人の第一順位に位置づけられています。

次に、Aの実子であるCは、Aと血縁関係がなく養子縁組もしていないため、Aの相続人とはなりません。

Aの実母であるDは、Aの一代限りの直系卑属であり、Aの相続人となります。

最後に、Aの妹であるEは、Aの兄弟姉妹として法定相続人に含まれます。

したがって、Aの相続人は、配偶者のB、実母のD、妹のEの3人となります。

なお、相続には詳細な手続きや条件がありますので、具体的な相続手続きに関しては、弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。

どこが間違いなのかは、お読みいただければわかると思います。

というわけで、ChatGPTは、現状、ChatGPT大喜利としては面白いですが、ライターの仕事、しかも、法律資格系ライターの仕事のツールとしては使えないということです。

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