個人でkindle出版するならランチェスター戦略の発想が必須

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小説
紫黒檀(法律資格系ライター)です。
kindle出版で小説だけで月数万稼げるようになった話の続きです。

前回は、kindleで売るためには、お金を払ってでも読みたい読者がいる小説を書かなければならないという話でした。

では、お金を払ってでも読みたい読者がいる小説を売ることのプロは、誰でしょうか?
言うまでもなく、出版社ということがわかると思います。
ですから、出版社がどんな本を出しているのかな。とチェックすれば、どんな小説が売れるのかはわかるわけですね。
じゃあ、出版社が売っている小説と同じジャンルの小説を書けばいいんだね。簡単な話だ。
そう考えて、kindle出版。そのほか、楽天Koboライティングライフ、Google Play ブックスなどで、電子書籍を出してみたとしましょう。

売れません。
どのプラットホームでも、優先的に表示されるのは大手の出版社の本だからです。
個人でkindle出版した本など埋もれるだけです。
まぐれで売れることはあるかもしれませんが、戦略的な売り方ではありませんね。
作者名を有名作家そっくりにするとか、大手出版社そっくりの名前にするとか、表紙をそっくりにするといったようなことはもちろん論外です。
kindleから永久追放されても文句は言えません。

だから、個人でkindle出版する場合は、大手の出版社が進出していない。あるいは、進出しづらいジャンルを狙うしかないのです。


まず、出版社は、小説を売るにあたり、どの程度の規模、売れればよいと考えているでしょうか?
大手出版社のデータを見れば、年間の売上高数千億、営業利益何百億といった数字が出ていますね。
それだけの数字をあげるためには、一冊の小説あたり、数万部といった売れ行きにならないと困るわけですね。
当然、読者がたくさんいるジャンルの小説を売ろうとするわけです。
読者が少ないジャンルの小説は、大手出版社は手を出したがりません。

では、個人でkindle出版する場合は、どの程度の規模、売れればよいでしょうか?
数億とか夢みたいなことを考えている人はいないと思います。
月数万といった副業レベル。夢を見るにしても、月に数十万の個人事業レベルで、そこそこ稼げればよいと考えているのではないでしょうか。
それならば、必ずしも、読者がたくさんいるジャンルを狙う必要はないわけです。
読者が少ないジャンルの小説でも、それくらいの稼ぎでいいなら十分に得られます。

個人でkindle出版する人が、読者がたくさんいるジャンルの小説を売ろうとしても、そこは、複数の大手出版社が鎬を削る苛烈な戦場です。
戦場で例えるなら、最新鋭の兵器をそろえて、数万といった兵士を動かして、激突しているような状態です。そんなところに、一兵卒が、ロクな武器も持たずに飛び込んだところで、勝ち目などあるわけはありません。

大手出版社があまり手を出さないジャンル。読者が少ないジャンルがあるのですから、そっちを狙った方が、まだ勝ち目があるわけです。

こうした考え方は、弱者の戦略として知られているランチェスター戦略に通じるものです。

たとえ話として、時代小説をあげましょう。
時代小説で最も売れているジャンルは、江戸時代、戦国時代の小説です。
時代劇のドラマや大河ドラマでも、しょっちゅう取り上げられる時代ですから、読者も、ものすごくたくさんいます。
史実にそった歴史小説のほか、剣客物、捕り物帳、忍者物……挙げればきりがありませんね。
大手出版社が時代小説を出す場合は、この時代の小説を優先的に出すことになります。

それ以外の時代は、というと、大手出版社はあまり出したがりません。
最近では、鎌倉時代とか、室町時代とか、少しずつ裾野を拡げている印象もありますが、それでも、積極的に出しているという印象はありませんね。

例えば、奈良時代の小説。
井上靖の天平の甍のように史実に沿って書いた歴史小説なら、そこそこありますが、エンタメ色を出した小説ってあまり見かけないですよね。

例えば、吉備真備を名探偵に仕立てた推理小説とかありますか?
私がチェックした限りでは、数冊しかありません。
でも、吉備真備は、調べれば、エンタメ小説の題材になりうる面白い人物なんですね。
唐に留学していますから、国際都市の長安でどんな人と交流していたのかなとか、名探偵みたいに、いろいろな事件を解決していたかも。とか想像することができます。
それに、日本最古の軍師とも呼ばれていますから、三国志の諸葛孔明みたいな人物に仕立てて、歴史改変小説を書くというのも面白いかもしれませんね。
さらには、奈良の魔法使いとも言われていましたから、歴史を無視したエンタメ小説も書けますね。

と……、いろいろ妄想してみましたが、こんな妄想に大手出版社は、もちろん、付き合いません。
そもそも、多くの人にとって、奈良時代っていつからいつまでだったっけ。という感じで印象が薄いですし、どんな人物がいたかということになると、藤原の何とかがいたっけ。というくらいでしょう。
吉備真備が面白い人物だということを知っている人は、少ないと思います。
読者が少ないということは、大きく稼がなければならない出版社としては、なかなか出しづらいということですね。

でも、個人でkindle出版するなら、ねらい目なんですね。
吉備真備の小説を読みたいという人はいるでしょう。
史実通りの歴史小説じゃなくて、エンタメ色を出した奈良時代の小説を読みたいという人もいるでしょう。
奈良時代のマニアだという人もいますね。
そういう人たちは、もちろん、少ないかもしれませんが、確実にいるわけですから、そうした読者に受ける小説を書けば、kindle出版でも売れます。
大手出版社が吉備真備の小説をガンガン出して来るということは、大河ドラマの題材にでもならない限りないでしょう。
だから、kindle出版の本でも埋もれにくい。
面白い小説を書ければ、副業レベルの稼ぎにはなるわけです。


今回は、個人でkindle出版するなら大手出版社が手を出さないジャンルを狙うべきという話でした。
もちろん、これは戦略の一つに過ぎません。
このレベルの話は、ちょっと考えれば、思いつくことで、序の口に過ぎません。
さらなるノウハウの話は、このブログの受けが良かったら書きます。

それと、このブログを読んで、
「それなら吉備真備の話を書こう! 」
と思った方は、どうぞ。書いてください。
もちろん、私に依頼しても、かまいませんよ。


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