アホなふりしときや

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ブログにお越しいただきありがとうございます。
認知症の方が大好きな、音楽療法士のHitomiです。

今日も引き続き
ケアマネ担当して忘れられない人を書いていきます。

初めて80代の女性Tさんにお会いした時
Tさんは布団の中で寝ていました。

ヘルパーさんや看護師さんの助けを受けながら
1日中ほとんど布団の中で
弟さんと暮らしていたのです。

話しかけても
何を言っているのかわからない様子でした。
布団の中にはティッシュがたくさん隠されていて
認知症がだいぶ進んでいるのかな、という感じでした。

Tさんは昔
巫女さんをしていたそうで
どこか不思議な目をしたかわいらしい方でした。

あるときふとしたことから
Tさんが弟さんから性被害を受けていることがわかり
Tさんはかなり嫌がっていたので
2人を別々の場所に住まわせることになったのです。

弟さんはアルコール依存症だったので入院しました。

Tさんは独りで生活できないので
施設入所になりました。

急に施設に入りたくても空いていないので
ある特別養護老人ホームに2泊だけすることになったのです。

行き違いがあって
私は施設ともめました。
それを知ってかどうかはわかりませんが、
次の朝
私がTさんに会いに行ったら
Tさんは私の目をしっかりと見てこういったのです。

「アホなふりしないと損やで。
アホなふりしときや」

そのとき施設の人が来て
とたんにTさんはわけのわからない言葉を発し始めたのです。

Tさんがこんなにはっきりとものを言ったのは
後にも先にもこのとき1回きりでした。


今でも不思議に思います。
Tさんはずっと認知症を演じていたのだろうかと。


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