【心理学研究法】これまでのQ&Aについて紹介します②

記事
コラム


*他サイト等でのご質問を含みます。

■「アーカイブ法」を利用する際に,注意すべきことってありますか?
→社会にはたくさんのデータが落ちています。その中から,単独あるいは数人の研究者が拾っていくわけですから,当然ながらその人のバイアスがかかります。そうならないように,何か基準を定めて拾い集めていくことが求められると思います。例えば,何らかの事故や事件の記事を集めようとなった場合,期間は事故発生から一か月後まで,新聞社は〇〇社と〇〇社にするなど,基準を明確に決めておくべきです。そうでないと,自分の仮説を支持するような望ましいデータばかりを無意識のうちに集めてしまうかもしれません。加えて,膨大な情報量のせいで時間を浪費してしまうかもしれません。


■個人のブログ等よりも国や公共機関などの資料を使ったほうがいいですか?
→個人のブログはあくまで個人的な意見であり,特定のコミュニティの合意の下での発言・資料ではありません。同様に,学会発表と記されている資料も合意の下での発言・資料ではありません。一方で,国や公共機関,論文に記載されている資料や出版物は,有識者の検閲が入っているはずなので(全然入ってないのもあります),情報の正確性がある程度は保証されているといえるかなと思います。ですので,そちらを参照することをお勧めします。しかし,どんな資料もそれが真実だと受け入れるのは早計です。どのような団体・組織が発刊したものであっても,データのとり方が偏っていないかなど,まずは疑ってみてください。

■英語で書かれた論文のほうが多いので,英語の論文も調べるべきですか?
→ただ目的もなく読み漁るのはあまりおすすめしません。その論文からどんな情報が得られそうか,タイトルや冒頭の要約文から掴んでおきましょう。あるいは,日本語論文において,英語論文の引用があると思うので,その部分で内容を掴んでおきましょう。そうでないと,研究の意図が汲み取れないまま時間を浪費してしまいがちです(あくまで僕の場合ですが,英語論文だと読解の速度が半分以下になってしまう……つらい)。英語が得意ということであれば,この限りではありません!

■SNS上のコメントに含まれている感想などはどうやって調べれば出てきますか?
→Twitterであれば「高度な検索」という機能を使うことによってアカウントを持たずして,あるいはログインすることなく,ツイートを詳細に検索することができます(「次のキーワードを含む」,「次のキーワードを含まない」,「次の場所の周辺」,「日付」などが選択可能)。余談ですが,プログラミングができれば色々な分析ができて面白いです。どの言葉とどの言葉が共起しているかがわかったりして。興味と余暇があれば,手を伸ばしちゃいましょう。

■私がアンケートを元に考察したら,自分の欲しい事実を強引に(?)考え出してしまいそう。考察は難しいと感じた。
■社会学の研究は自分の体験を交えるとよいこともあいまって,主観がまじりやすく,人によって同じ研究が真逆の答えになったりもするのかなと思った。
→本当にその通りで,研究データを分析したり解釈したりする際,研究者は自分の仮説に沿った結果ばかりに着目しがちです。この現象は,「観察者バイアス」という名前までついています。可能な限り,自分の研究を客観視していたいですね。友達から自分のアイデアについて意見をもらうのも,客観視のきっかけになるかもしれません。

■アーカイブ法ばかり使っていたら,ただの調べ学習だけで終わってしまう恐れがあるので,効果的な場面で使うことが重要だと思った。
■アーカイブ法は自分の研究には不可欠なものではあるが,自分の主観に大きく依存するものであるので,あまり使いすぎないようにしようと思った。
→これも,本当にその通りで,一つの方法ばかりに頼っていると思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。確認したい現象を捕えられなかったとか,後になってわかってしまったりして。もちろん,研究の方法は併用可なので,どんどん研究方法のアイデアを出してほしいです。そして,あまり焦らずに研究計画をしっかり立てておきましょう。

■論文検索ページにいかないと論文が読めないということを初めて知りました……。それだけでもたいへん勉強になりました。
→これはこれでよかった。でも,GoogleやYahoo!で調べても論文は出てきますよ。ただ膨大な情報の中から論文を拾うのは面倒かなって思ったので,検索サイトを紹介しました。ちなみに,Google ScholarはGoogleにログインしたまま使用すると,論文をブラウザに保存する機能が使えます。論文タイトルの傍らの「☆」を押して「★」に変われば保存完了です。Googleアカウントを持っている場合は試してみてください。Gmailのアカウントを持っているならば,この機能は使用できるはずです(多分……)。

■他の統計資料が集まったサイトもしくは記録物の資料として活用できるようなニュースや文章を集めたサイトはあるだろうか。
→日本人の国民性調査っていうのがあるみたいです。今まで使ったことないサイトなので,勝手はわからないけれど,かなり見やすいページかもしれません。個人的に,使いたくなるデザインです。政治観や家族観など,男女・年代・地域別に,いろいろなデータのグラフとか閲覧可能みたい。
 ニュースに関しては,新聞紙をあつめるのは大変だろうから,Googleニュースとかで検索するといいと思います。

■先行研究を探してみると,自分の調べたい内容と類似したものがたくさんあったので,「参考にできる」っていう気持ちよりも「自分で新たにオリジナリティを加えるのが難しそう」という不安が大きい。
→自分もその壁にぶつかります。ある人間が考えつく問題っていうのは,既に他の誰かが考えているものなんかな……。でも,全く論文が無いよりは良いかもしれません。「どうやっても論文が見つからない」という場合,そのテーマが新しすぎて誰もやっていないか,そのテーマが科学的研究には向いていない(=立証のしようがない)かのどちらかかもしれないので。前者の場合であれば嬉しいですが,たいていは後者にあてはまるのかも?
 さて,丸かぶりしてしまった場合についてですが,先行研究と異なる視点で着眼してみましょう。先行研究が大学生や社会人を対象として行っていたのであれば,自分の研究では高校生を対象にすると宣言すれば,それでオリジナリティはあるといえます。また,この世に完全無欠の研究はほとんどないでしょう。ある研究は他の研究の栄養となり,バトンを繋ぐようにして,日々進化していきます。これは,あらゆる研究分野にいえることだと思います。ですので,そのテーマについて,なにかしら改善すべき測定方法や,進歩すべき点はあるはずです。普段はあまり批判することに慣れていないかもしれませんが,自分が見つけた論文を極めて批判的な姿勢を読んでみてください。

■似たような研究をしている人の論文等から,データなどを集めることで,自分の研究にも利用でき,さらに深く理解できるため,一石二鳥でいいことばかりだと感じた。
→研究データだけでなく,そのデータのとり方(研究の方法)も参考にすることができそうですね。先人の知恵はどんどん使っていきましょう。

■論文についてキーワードを用いて検索してもやはり内容が自分の望んだものと違っていたり,合致しても外国語で書かれていたり,参考資料の読み取りが難しいものがあったりと,参考文献を「参考できるようにする」には苦労がいるのだと改めて思った。
→参考文献を「参考できるようにする」って名言めいていますね。こういう技術って,経験則によって磨かれていくような気がする。なんか言語化するのが難しい。今は,自転車に乗る練習をしている姿を見守っている気分……。

■論文を探すときに利用するといいサイトを教えてもらえたので利用しようと思った。ただ検索をかけるときのキーワードの選び方とかも知りたい。
■インターネット上に論文を探すためのサイトがいくつもあることが分かったので良かったです。自分の研究したい内容に似た論文を探すコツがあれば教えてください。
→既に関連研究を見つけられているのであれば,その研究で繰り返し使用されている名詞を見出してみてください。頻出している名詞は,その研究領域でのキーワードになっている可能性があるので,検索にかけると芋づる式に論文が見つかるかもしれません。関連研究が見つけられていないのであれば,関連する著作からキーワードをひっぱってくるとかね。どうやっても論文が見つけられない場合は,先述した通り……。

■テーマ変更すべきか悩み中です……。(新しく色々なことを知って,参考になるけど,今のままの研究テーマに対する不安が大きくなってしまったので)
→これは研究するのが難しいなと思えたら,それも一つの学びなのでは。というか,新しく色々なこと教えてごめんね……これからも不安が大きくなるかも……笑。変更する場合は,今まで調べてきたことが無駄にならないようにすると自分が楽かもしれない。

■「研究者になってデータを分析してみる」という活動は楽しかった。自分の研究に役立ちそう。記録物・統計資料を用いながら,自分でもアンケートをとってみたいと思う。
■自分たちでデータを分析してみることはすごく楽しかった。資料も分かりやすくてよかった。
→社会に落ちているデータをとってきてもいいし,自分でデータをとってきても構いません。いずれにしろデータ集めて分析したほうが,活動がより面白いと思えるかもしれません。データ分析はおもしろいのでおすすめ。

■自分の仮説で得られた結果をもとに,次の仮説でもそれを生かして,対比したりするなどできるようにするべきですか?(仮説同士,結果同士はそれぞれ独立していて大丈夫かどうか?)
→そうですね。研究を研究1と研究2に分ける場合,それぞれの仮説と結果は独立していても良いと思いますが,何らかの関連性を持たせるべきです。言い換えると,一貫した目的の中で,「研究1では目的のこの部分を,研究2では目的のこの部分を検討しました」,と主張できるようにするべきです。研究の入り口部分である目的から完全に独立していると,それはもう別々の研究じゃないかって突っ込みたくなります。















サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す