知床の沈没事故は紛れもなく人災

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まずカズワンですが、この船はどこで建造されたのか?何と山口の造船所です。それも10年や20年前でなく、30年か40年くらい前なんです。この船は瀬戸内海を走ることを想定して設計されているので、高波に弱いわけです。私は瀬戸内海を見て生まれ育ちましたから、瀬戸内海を船に乗って何度か四国まで行ったりしました。まず波で船が揺れることはありません。むしろ電車の方が揺れるくらいです。そんな穏やかな瀬戸内海を長らく主戦場にしてきた船が、突如として知床の外洋を走るなんていったい誰が考えますか?これは現場を知らない人の発想ですよ。あの船長は生粋の海の男ではありません。確か水陸両用車のドライバー上がりです。別にこうした職種の人に悪意があるわけではないけど、ある意味怖いもの知らずというか、戦車兵に近い気がするんですよ。少々の悪天候でも悪路でもイケイケでいいわけですからね。確かあの日、わざわざ同業者の人が自社まで戻って無線連絡して「すぐに戻れ」と言っているのにこの船長は「いやここまで来たらすぐには戻れない」と返しています。このやり取りからは船長の緊迫した感じがまるでないんです。すでにこの時点でカズワンの周りの海域には漁船が1隻もいないというのに。この直後にカズワンは高波により沈没します。まあ手遅れだったんでしょうが、私が疑問に思ったのは「なんでこの船長は漁船の動きを見ないのか?見ていないのか?」ということでした。おそらくはこの会社を辞めていった船長たちは漁船の動きを見ていたはずです。そうすれば彼らは地元の漁師だから一番地元の海に精通しておる以上、その変化には極めて敏感だし、更には引き返すタイミングまで教えてもらえるわけです。残念ながらこの船長には漁船の動きを見ていて危ないとみれば引き返すという発想がないんです。裏を返せば、この会社を辞めていった船長たちがどれだけ有能だったか。こんなぼろ船で人身事故を起こさずに知床の外洋で定期的に運航を続けるなんて限りなく奇跡に近いですよ。しかも国内にはまだこんな船長クラスの人たちがいるということだから怖いですよね。生粋の海の男でも勝てなかった洞爺丸の転覆事故とは次元もベクトルも違います。近藤船長は台風の目を見て出航を決意しますが、実はこれは自然が編み出した巧妙なトリックでした。最後に近藤船長は洞爺丸を座礁させる勝負手を放ちますが、実はこれも漂砂といって自然が編み出した巧妙なトリックでした。洞爺丸は海底に船体を固定させることができず、この直後に転覆しました。
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