Accessの短所をすり抜ける方法

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Accessで介護支援記録システムを作った理由-8

前回のブログでは、養護老人ホームという環境下で、マイクロソフトAccessの特徴を生かし、介護支援記録の管理システム開発にとりかかるまでの経緯を書きました。
今回はそのAccessの特徴を語ることにします。

Accessはもともとスタンドアロ―ンのPCソフトとして開発され、個人の能力に合わせ自由に使われることを想定しています。
データベースを簡単かつ自動的に操作するアプリの作成機能は初心者にとってわかりやすく、プログラミング言語を学んだことがなくても、マクロ機能でそこそこのアプリを開発できてしまいます。
解説本も多く、またネットにも情報が溢れているので、勉強するのに苦労はしません。
私がAccessのVBA(Visual Basic for Applications)で介護支援記録用アプリを開発しようと思ったのも、趣味的にVB(Visual Basic)やJavaScript等でプログラミングした経験があることに加えて、VBAの情報を得やすいと考えたからでした。

一方、Accessの問題点や短所としてよく挙げられるのは、まず、ネットワークへの対応力が弱く、データベースを複数人で同時操作する場合に制限があることです。大人数で同一のデータベースにアクセスするとファイルが破損しやすいと言われています。
またファイルサイズも2GBまでのため、大量のデータを保管し管理することができない点もデメリットとして良く指摘されているようです。
何より、アプリを開発した職員が異動や退職でいなくなってしまうと、業務内容の変更等でアプリを改変するのが難しくなってしまうことが一番問題かも知れません。

しかし、養護老人ホームの記録管理システムの開発においては、上記の問題が大きな支障とならないことが幸いでした。
例えば複数人による同時入力の問題に関しては、大きな事業所とは異なり、せいぜい3~4人程度に留まるため、クリアできます。
また、施設には有線LANがあり、その中心に共有のファイルサーバーがあったので、ここにデータベース(データ)ファイルを置き、クライアントとなる複数台のパソコンにアプリファイルを置いて、データベースを操作するやり方にしました。
マイクロソフト社もパフォーマンスの向上とともに、データの破損を低減させ信頼性を向上させるやり方として、この方法を推奨しています。

ファイルサイズの問題に関しても、介護支援記録はテキスト中心のため、もともとサイズは小さくて済み、さらにデータベースを複数のファイルに分割することで解決できます。
実際のところ、運用開始後1年間の介護支援記録を保存したデータファイルのサイズは8MB程度でしたので、同じファイルに250年分くらいは記録できることになります。

そして、アプリの属人性の問題に関しては、システムの目的を介護支援記録の管理に敢えて絞ることで回避することにしました。
つまり、単純な介護支援記録という性格上、制度改正等による変化には見舞われにくく、アプリの改変は長期にわたり必要ないと考えたからです。
もしこれにケアの内容や介護報酬などをリンクさせて開発すると、毎年何らかの改変を必要とするでしょう。
これについては、既に何台かのパソコンにライセンス料が高い介護業務支援システムが導入されていましたので、実は必要なかったということもあります。

こうして施設独自のシステムの開発をスタートさせたのでした。
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