Accessのカスタマイズ力は半端ないけれど

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Accessで介護支援記録システムを作った理由-9

私が介護支援記録管理システムの開発において重視したことは、パソコン操作に慣れていない職員でも、簡単で分かりやすく効率的にデータを入力できるということでした。

ポイントとして、Accessアプリでの入力作業は、よくあるスマートフォンアプリのように、いくつもの画面を遷移しながら行うのではなく、広い画面を使い、一画面で入力が完結できるようにしました。
例えば、メインの介護支援記録の入力では、日付と利用者を紐づけたコンテナ情報の中に、時系列的に一つひとつの記録を追記する形で行うようにしています。これは既成の介護業務支援システムに倣ったものです。

コンテナ情報、利用者データ、介護支援記録などは複数のテーブルに保管されていますが、リレーションシップにより紐付けられ全体情報は一画面の中に表示されます。
これを具体化する入力フォームは、テーブルごとのいくつかのフォームを親子、兄弟のように組み合わせます。そうすることにより、誰でもぱっと見、わかりやすいインターフェイスが出来上がるという仕掛けです。
また、システムの進行操作は画面上に配置されたボタンをクリックして行うため迷いがなく、さらに介護内容や担当者等の定型的な入力については、ドロップダウンリストを使うことで効率化を図っています。

しかし、完成に至るまでの間、フォームの作成には相当の手間がかかってしまいます。
ひとつのフォームを一から作ろうとすると面倒なので、いったんAccessに備えられたウィザード機能を使うのですが、この出来上がりが凄くショボい!
あまりにも最初のデザインが酷いので、どうしても自分の好みに変えたくなってしまうのです。
私の場合、デザインの編集操作に慣れるまでの時間も含めると、これに一番時間をかけているように思います。

AccessのライバルとされるPC用データベースソフトに、Claris社のFileMakerというソフトがあります。
元々アップルのMac用に開発されたソフトで、Windows版が出た後も値段が高く、私は使ったことがありませんが、AccessがWEB対応やスマホ、タブレット対応に遅れを取っているうちにバージョンアップを重ね、今やAccessを凌ぐと言われています。
Accessに対する優位点の一つとして、フォームのデザイン性に優れ、初心者でもあまり苦労せずにユーザーインターフェイスを作ることができる点が挙げられているようです。
Accessに対するFileMakerの優位性は他にもあるようですが、私の印象としては、FileMakerは初心者に優しく、より幅広い場所でデータベースを操作できることだというふうに思っています。

逆に言えるのは、初心者にとってAccessは開発操作が難解で、習得に時間がかかりますが、その分、慣れればシステムのクオリティをいかようにも高めることができる、ということです。
つまり、PC用データベースソフトとして、カスタマイズの自由度が半端ないことがAccessの一番の強みであり、反面弱みでもあります。
開発者のデザイン力も求められるため、ハードルがより高いとも言えます。

最近では、サイボウズ社が開発したkintoneのCMを良く目にするようになりました。誰でも簡単にデータベースを基礎とした社内システムが開発できるように描かれています。
効率性をさらに求める時代、このままではAccessの居場所はなくなってしまいそうです。
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