コツというものは何にでも存在する。
モテる為のコツもそうだ。
どうもコーサカです。
3月ってほんと忙しくて、おねーちゃんの店に全然いけてないですわ。
2月の始めだったか、久々に推し嬢のいる店にフラッと立ち寄りました。その時点でお店何軒かハシゴしてて、これでラストだろって時間帯。キャストは4人。
その店に初回行った時から密かに推してた本丸もいたので当然指名(というか、他のキャストがアレすぎて笑)黒いドレスを纏った美人すぎる細身長身の彼女が私の横にスッと腰を下ろす。
来店する事も伝えず突然訪れたので、少し驚いたような歓迎ムードらしきものが伝わってきた。
あるいは、彼女は少し酔っているのかもしれない。
話の内容なんて覚えちゃいない。中身など一切存在しない、恐ろしく下らない会話なのだろう。
が、しかし、私はその日、何らかの手ごたえを感じていた。野生ナンパ師の勘である。
その子は、距離を詰めたら少し離れるタイプの子。今までガンガンいけなかったのも、その距離感のせいだ。
その夜は違った。いつの間にか私達は、深く腰掛けたソファー席でぴったり寄り添っていたのだ。
「今度はいつ来てくれるんですか」
彼女からこぼれるセリフ。
春の温かなひだまりのようなゆっくりと流れる時間。
少し向こうのボックス席、客3人キャストが3人。
その映像から、かなり騒々しいことが見て取れるのだが喧噪が入ってこないのは何かの魔法なのかもしれない。
春。
新しい出会いに心躍らせるような、そんな初々しい恋心。若い頃、確かに私も持っていたそんな感情。
その夜、完全に思い出してしまっていた。これが恋なんだと。
迂闊だった。
私は彼女の手を握り、君といると心が安らぐこと、君といると心が跳ねること、君といると前向きな気持ちになれること、駆け引き丸ごと、既セクんちに置き忘れた間抜けなナンパ師の様相でぶちまけたいた。
少し酔い過ぎている、
一度手にしたグラスをテーブルに置き、ひと呼吸。
セオリー通り、ルイヴィトンから真っ白なハンカチを取り出し化粧室に立つ。
ジャケットのボタンを留め、ゆっくりコツコツとヒールを鳴らして歩く。
いくら酔っていても、ダンディに見える振る舞いが抜け落ちる事はない。
ここ数年、身体に染み付くほど訓練しているのだから。
オイルコントロールを済ませ、完全リセットした顔で席に戻る。
彼女の顔に目をやると、まだその温度は抜けていない。
どうやら、さっきのなりふり構わずトークが刺さったままらしい。
私は攻勢を強めようとハッキリと意識しだした。
もう酔ってはいない。
突然、喧噪が戻ってくる。キャスト達の ” ありがとうございました ” という声。
客が立ち上がり、キャスト3人も立ち上がる。皆で出口に向かって、私達から遠ざかっていく。
ここだ。
6人がドアに消えた瞬間、私は賭けに出た。
「やっと二人きりになれたね」
静かに、はっきりと、そして低い声で囁く。
彼女の肩にあえて強めに手をまわし、引き寄せる。どうだ、
彼女の反応を探る、
悪くない、
高圧的な目で彼女の目を見据える
頬を赤らめ瞳は潤んでいる。
今度は優しく抱き寄せ彼女の唇に重ねた。
ふと香る彼女のコロン。いや、違うのかもしれない。それにしては淡すぎる。ピュアすぎる香りの正体を突き止めるかのように、もういちど唇を重ねた。
何もかもいつもと同じ。いつも通り服装も完璧、トークも安定、特に変わった事などなかった。
ひとつ考えられるのは、突然の来店だったということ。しかし、イレギュラーってだけでここまでの効果があるとは思えない。
勝因の総括としては、完璧にブランディングを行い、明るくカラッとした対応、紳士的な振る舞いを積み上げ、信頼感を獲得していった結果だと思っている。
ここらへん界隈の夜の店すべての中での大本丸だ。もう、落としたいと思える子なんていない。好きになれないのだ。美華もそうだった。
誰でもいいから抱きたいと思えるほど、若くもない。残念ながら、どうでもいい子に時間を割くほど、私の残りの時間は多くないのだ。
唇を重ねたからどうなんだ。
その先に進もうなんて考えてはいない。
それはそれ、これはこれ。
男性は女性から認められたい。認めて欲しいから夜の店に行くのだと思う。承認されたり褒められたりね。
そして私は認められた気がした。彼女から。
自分の事を少しでも好意的に思ってくれる女の子と飲むのって最高だよ?だってそのほうが楽しいじゃん。二人が座るその席は完全プライベート空間になるんだから笑
そう、だから、店で飲むのをもっと楽しくする為に、男は頑張んなきゃ!店でプライベート感が出てきたら、外で会うのなんか超簡単なんだから。
あー思い出した
その日、珍しく私はCHANELのチャンスという香水を付けていたんだ。
その香りが刺さったんだとしたら、もはや媚薬だなおい
KOUSAKA