第19回「音屋のkatsu」の音楽あるある〜大馬鹿野郎編〜

記事
コラム
東京での「武者修行」をこなしていたある日。

いつも良くして下さった「GON」さんからこんなお話が…。

GONさん:「今度『TAIJI』さんが『G』君とライヴやるから見にきなよ?」
私:「えっ?良いんですか!やった〜、行きます行きます!」

初めて「TAIJI」さんとお会いできる…。

近づくだけでも恐れ多い方ですが、「GON」さん方から下さったチャンス!

ライヴ当日。
私は誰よりも早く会場に着きました。

てか、早すぎです。

夕方6時ごろからの本番よりも三時間以上も前でライヴハウスに到着。
知ってる顔の人は誰もいませんし、店のシャッターも降りています。

「早くきすぎたかぁ。でも、待ってれば来るだろう。」

そう思い、ライヴハウス脇の路上でヘッドホンをかけ爆音で音楽を聞いて待つ

私の格好はとても「Rock」をやってるような格好ではなく、
どちらかといえば「ラッパー」の様な格好。
ダボダボのフードトレーナーにダボダボのジーパン。
バッシュ(バスケットシューズ)を履き、ステューシーのニット帽。

まるでPSの「パラッパ・ラッパー」です(笑)

シャッターに背もたれながらやがて居眠り…。
背中から地下のライヴハウスの「振動」が伝わります。

「やっぱり、リハやってんじゃん。でも、今日は手伝えって言われてないし。
 勝手に入るのも迷惑だろうし、出る人がすごいからなぁ…。」

ウトウトとしていると、地下からバタバタとした「振動が」伝わります。

ガラガラガラガラがら!

シャッターにもたれ、しかも爆音ヘッドホンをしていた私は
不意を突かれます。

ゴロン。

路上に転がる私を、ライヴハウスから駆け上がってきた「いかにも!」って
感じのお兄さん方が私を睨みます!

「えっ?ええっ?なに、何〜!?」

周りに30人くらいの人だかりができ始め、なぜか私はその「お兄いさん」方
にぐいぐいを押され円陣の真ん中へ!

「あわわわわ〜。な、、、な、何ですか〜!!??」

まだ「爆音ヘッドホン」は鳴り続けています。
てか、こんな急な状況でそれどころの話ではありません。

やがて一台のワゴン車が到着。

「あっ、これ『G』さんの車だ。」

「G」さんの車を、その「いかにも」のお兄さんに囲まれたまま私も待機?

全員、中国の軍人のような立ち姿勢。
でも長髪で黒ずくめのタトゥーだらけ。

オロオロするラッパー風の私。

後部ドアが開くと…

お兄さん方:「おざーす!」

「おぉ、みんな〜。おはよ〜!今日はヨロシク〜!」

後部ドアから出てきたのは何者でもないあの方。

本物の伝説級ベーシスト「TAIJI」さん本人。


私は本当に、何故かその円陣の真正面の真ん前に立たされていました。


TAIJIさん:「ん?誰?君?」

正面1メートル先に立つ「TAIJI」さん。

多分、私はこの人に殴られる為の「人身御供」として捧げられた「供物」。
アンチラッパー。
ロックと正反対のジャンルにいる者への戒め…。


私の心の声:「あ、終わった。俺、殺されるわ。」


本当に今思うと、次の行動はとんでもない態度をしてしまったと思いますが
「どうせ殺されるなら、『伝説に口をきいたクソガキ』として
 『TAIJI』さんの記憶に残してやる!」と思ってしまいました。

私:「あ、おざ〜す!音屋の〜っていいま〜す。
   今日は勉強させていただきます(生きてればね)!」

ちょっとだけ沈黙。
サングラス越しに上から下から舐め回すようにみるTAIJIさん。

手が上がります!

「あ、死んだ。」

その上がった手を私の肩にそっとのせ、
TAIJIさん:「度胸あるねぇ?良いね〜若いって!今日は楽しんでって!」

とサングラスを少しずらして私にニコリ。

私:「あ、あざ〜す!」

周りのお兄さん方から「よく殺されなかったなお前?」と肩をポンポン!

私:「あ、あの〜俺、今日『GON』さんの紹介できた者なんすけど〜?」

お兄さん:「あぁ!君だったのか〜?な〜んだ、ついてっきりアンチかと
      思っちゃって〜!何だよ、先に言ってよ〜!」

なんて急にフランクに。

その後の記憶なんてほとんどありませんよ。
でも、ライヴは本当に素晴らしかった!

ライヴ終了直後、「G」さんに呼ばれ楽屋に招かれます。

Gさん:「あ、『TAIJI』さん。この子、僕と同郷の知り合いからの紹介で上京
     してきた子なんです。ドラムやってて、上手ですよ〜!」
私:「お疲れ様です!さっきは失礼しました!音屋の〜って言います!
   初めて本物のライヴ(意味不明)見させてもらいました!
   本当に勉強になりました!」
TAIJIさん:「あぁ、さっきの子?君、ドラマーだったのね?いくつ?」
私:「23歳です!」
TAIJIさん:「あぁ、そっかぁ。23歳かぁ。俺がデビューした時の年齢だぁ。
      『G』君が上手いって言う事は、君も頑張ればデビューできる
      かもね?頑張って!」
私:「あ、はい!頑張らさせてもらいます!ざーす!」
Gさん:「あ、そうだ。せっかくだから写真撮らせてもらいなよ!
     良いっすか『TAIJI』さん?」
TAIJIさん:「あぁ、もちろん!」

写真をパチリ。


これが私と「TAIJI」さんとの出会いのお話です。
それからは私の勝手な事情でお会いすることもありませんでしたが、本当に
とても良い思い出となっております。
ある意味で「怖い」お話でもあり、「TAIJI」さんの優しさを感じるエピソードだったと思います。


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