第20回「音屋のkatsu」の音楽あるある〜オサレバンド編〜

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コラム
ハードロック系の一派に所属しながらも、もう一つのチャンスでもある地元の
高校の先輩「K」さんとのバンド活動もお話しさせていただきます。

「K」さんは高校時代からギター1本で歌い上げるような根っからの
「シンガーソングライター」気質の方でした。

本人としては「バンドで成り上がっていきたい」と言う思いもあり、
その熱意に応えるべく彼のバンドにも所属していました。

バンド編成は四人。

ボーカルギターの「K」先輩。
リードギターの「H」先輩。
ベースは専門も一緒だった友人の「N」君。
ドラムは私。

当時は特に音楽業界に「コネ」もありませんでしたし、一から駆け上がって
いくしか方法はありませんでした。

皆、それぞれ正社員や契約社員、アルバイトなどそれぞれにメインの収入を
各自で確保し自分たちの「夢」に投資していました。

何度目か入ったスタジオでの事。

K先輩:「んん〜、何かこう…。しっくり来ないんだよネェ。んん〜。」
N君:「全体的に〜なニュアンスの曲だから、こんな感じはどうかな?」

アレンジし直し。

K先輩:「んん〜、違うなぁ。何でだろう?」
H先輩:「俺はこのままでもいいと思うけどなぁ?」
K先輩:「んん〜。音屋の〜はどう思う?」
私:「えっ?俺ですか?んん〜そうですねぇ、ギターがこんな感じだから
   もうちょっと抑え気味に演奏しても良いかなぁって…。」
K先輩:「んん〜。考えてるのと違うんだよなぁ〜?」
私:「あ、そうですか…。」

アレンジし直し…。

こんな感じをひたすらに行うタイプの「K」先輩。

実は、前から「K」先輩と組んでいた事のある私のドラムの先輩からは…
「『K』はかなり頑固者だから、自分の思い通りならないと
 へそを曲げるぞ。」と忠告されていました。

K先輩の頭で考えている事を言葉や表現で出してくれれば良いのですが、
K先輩の気質は「完璧主義者」タイプのシンガーソングライター。
しかも、言葉ではなく態度(演奏)で示せと言うスタイル。

最初のうちは、話し合ってアレンジし直したりもしていましたが、
段々と口数も減っていき自分の「構想」にそぐわないと近づくまで何度も
繰り返します。

私の実力が足りなかったんだと思います。

N君の様に器用にこなす事も出来なければ、
H先輩の様に柔軟にいなす事も出来ませんでした。

私の演奏は段々と、その「物言わぬプレッシャー」に押しつぶされてしまい
演奏自体が出来ないほどにまで追い詰められてしまいました。

初めてでした。表現の要望に応えられない事が。
「技術」や「経験」じゃなくて「ニュアンス」で叩くことの難しさ。

顔は笑っていましたが、多分「K」先輩は私にがっかりしていた事でしょう。
「こんな事も出来ねぇのかよ?」と思っていた事でしょう。

側から見たら「爽やかな笑顔」ですが、正直私から見たらその笑顔は「恐怖」
になっていました。

自分から「このバンドに俺は必要ではないと思う。」と辞退を表明。

多分、これを待っていたんでしょう。

K先輩:「わかった。出来ない事は仕方ないよ。今までありがとうな。」
あっさりと辞退を「受理」。

その後、このバンドは日の目を見ずして解散しました。

多分、他のメンバーも「K」先輩も私が言う「化学反応」を感じる事が
できなかったんだと思います。

後に、「K」先輩は一人晴れてプロの「シンガーソングライター」となり、
現在もご活躍中でございます。

「K」先輩は、先輩のやり方で自分の「音楽」を見つけられました。

私も、その姿勢を学んで今後も進んでいければ良いと思っています。


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