コラム54 仕事好き

記事
コラム
 仕事が好きというのは幸せなことです。僕くらい(40代)の世代になると人から教わったり、人に教えたりしながら仕事をこなしていきます。今まで若い頃は上司から色々教わりながら仕事をやってきて、今度はそれを社会に還元するために、部下に伝えていきます。それが当たり前だと思って今まで若手教育にも自分なりに最大限の力を入れてきました。少し時間がかかってしまっても安全に行える範囲内であれば手術なども若手に手取り足取り、時には口を出したり、ちょっとだけ手伝ったりしながら教育をしています。それは昨日も先週も一年前もです。それが当たり前というのが一般的な考え方だと自分でも理解しています。 
 しかし、若手といっても色々個性があり、手術を行うのが好き、外来で患者さんと話をするのが好き、入院患者さんをしっかりみるのが好き、最近の知見をいち早く勉強するのが好きといったように千差万別です。当然私の考えと合わない場合もあります。私自身は手技が好きなので好きこそものの上手なれでそれなりのレベルであると自負していますし、後輩たちも私を見て一緒に勉強してくれる人もいます。でも、あまり私に興味がない人もいます。当然なので個性だと思ってあまり気にしていないのですが、「私の興味がある手技に興味がない人」にも教えるのが筋なのでしょうか?私からすると興味のない人は時間もかかるし上手くならないようにみえてしまいますし、興味がない人からすると早くこの場を切り抜けて、外来をやりたいとか、他の勉強がしたいなどとなります。  
最近そういった上司としてのジレンマを抱えるのが面倒になってきました。興味がない人の教育に自分の時間を割くくらいなら、私自身が患者さんの手術をすれば短時間で上手く終わるし、私は楽しんで仕事ができるし、興味がない部下としても他のことに時間を割けるし、私、患者、部下にとってwin-win-winとなれるのでは?と思ってしまうのです。間違いでしょうか?循環器内科の特性として結構医師としての仕事が好きな人が私の周囲には多いです。でも、仕事と一言で言ってもどのような仕事が好きかは人それぞれです。私は手術全般手技が好きで、結構中堅まで来ましたが、まだまだ自分で手を動かして患者さんの治療をするのが好きです。上記のようなことをここ2年くらい考えた結果、とうとう転職を決めて自分がほぼ一人で独立して手技を行える施設に異動することにしてしまいました。もちろん、同じような属性の若手がいれば今後も積極的に教えていくつもりですが、自分がもっともっと手を下して患者さんの治療を行なって、一人でも多くの人に喜んでもらえるように努めたいと思っています。
転職は自分にとってリスク伴うものです。今まで培ってきた人間関係や地位をある程度失う覚悟が必要です。もちろん全部失うわけではなく、同じ釜の飯を食ったものたち同士、困った時には相談に乗り合ったりすることもできますが、新しい職場で新しい何かを構築し自分の生きがいを模索する新たなチャレンジを強い気持ちで行っていかなければなりません。人生はノーリスクノーリターンだと思っているので、リスクをとってチャレンジすることは私自身とてもやりがいがあって面白いことだと思っています。今回の転職は自分自身にとってはLowからmiddle riskくらいかなと判断しています。チャレンジを楽しみながら来年度頑張ってみようと思います。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す