コラム7 両心室ペースメーカー

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コラム
 大好評デバイスシリーズ第二弾です。みなさんご存知のように心臓は4つの部屋に分かれています。右心房、右心室、左心房、左心室。この中で一番重要なのは左心室です。重要という言葉の意味は左心室が体に血液を送り出す大半(8割程度)を担っているからです。左心室が止まれば死にます。その他三つの部屋が止まっても死にません(右心室不全は重篤化する可能性がありますがすぐには死なないという意味です)。
 心筋梗塞や心筋症で左心室の動きが悪くなると、徐々に収縮力が落ちるだけではなく収縮のタイミングがバラバラになっていくことがあります。また、脚ブロック(特に左脚ブロック)と言って心筋内の伝導障害が起こり左心室の収縮のタイミングが崩れることもあります。そこで登場するのが両心室ペースメーカーです。これは右心室と左心室両方にペーシングリードを配置することによって、左心室の収縮を[Re-synchronize]するといったペースメーカーで近年盛んに使用されるようになってきた比較的新しいデバイスです。両心室ペースメーカーを入れた患者さんの中には感動的に心不全症状が改善する方もいます。もちろん両心室ペーシングの効きが悪く、先日コラムで書いたような補助人工心臓や心臓移植治療が必要となってしまう患者さんもいます。両心室ペースメーカーはあくまでも心不全治療の選択肢の一つではありますが、とても重要で画期的な治療法です。

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