宴会場を間違えた先輩

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昨日の新聞で見覚えのある名前をみつけました。
20年程前に、私が運営管理を担当した施設のオジサンです。

彼は施設を定年退職していましたが、その後も臨時雇いとして働いていました。その時、既に70歳に近かったと思いますが、施設に必要な資格を持っており、安い賃金で構わないという条件で、OBになってからも長期に雇われていました。
彼は私のことを上司として扱い、とても親しくしてくれました。

あの頃は、温泉で開催される研修会があり、研修後の宴会では、他の施設の方と同席になり、そこで情報を交換していました。

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私の歓迎会のとき、私の隣は彼が座りました。互いに酌をして、たわいのない話をしました。
私がトイレに立とうとしたときに、彼が「部屋を間違えるなよ」と言いました。店には、その部屋しかないので、何を心配しているのか不思議に思い尋ねると、彼は、十数年前の研修後の宴会で、トイレに行った後、間違えて違う宴会へ参加したことがあるそうです。

当時には、ありがちな話です。研修後の宴会は、初対面の人が多く、間違えていても互いに気づかないのです。
彼は、宴を締める人の挨拶で、自分が部屋を間違えていることに気づき、それでも周りの人と気が合い、そのまま会場に居座り、酔いつぶれたという武勇伝でした。

その年の途中、私には、本部から彼の後釜を見つけるよう指示があり、結局、翌年の夏、彼に退職いただきました。彼は退職するとき、自分のワガママで嫌な役をやらせてしまったと、私に詫びてくれました。

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いつも裸足で機械をいじっていた先輩。昭和を生きた豪傑の最後は、認知症も患っていたと聞いています。

天国では宴会場を間違えずに、いや、また間違えたとしても、楽しく過ごされることをお祈り申し上げます。

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