負担付死因贈与によるペット保護

記事
法律・税務・士業全般
前回説明した負担付遺贈は、例えば、「ペットのタロウが天寿をまっとうするまで世話をしてくれる代わりに、金200万円を贈与する」というような遺言による方法です。

一方、負担付死因贈与は、遺言による方法ではなく、飼主の生前に受贈者(財産をもらう人のこと)との間で、「自分が死んだあと、ペットの世話をしてくれる代わりに金200万円を贈与する」という具合に契約を交わしておく方法です。「死」を原「因」として贈与の効力が生じるため、「死因」贈与といいます。

負担付死因贈与は遺言(負担付遺贈)とは違い、当事者間での契約であるため、受贈者が一方的に契約を破棄することはできず、飼主の生前にペットの世話をしてくれる人を確保しておける、という意味では安心感があります。

もし負担付死因贈与の受贈者がペットの世話をしない場合はどうなるでしょうか。
その場合は、亡き飼主の相続人は、その負担付死因贈与にかかる契約の取消しを家庭裁判所に対して請求することができます(民法第1027条 準用)。取消の請求により契約が取り消されると、贈与はなかったものとされ、ペットのために残された財産は、相続人のものになります。ただ、相続人に財産が戻ったとしても、誰がペットの世話をするのかという問題が残ったままとなります。

負担付死因贈与の効力が生じた時点では、飼主は死亡しているため、ペットがきちんと世話されているのか、自身で確認することができません。ですので、負担付死因贈与を行なう場合も、負担付遺贈と同じく、財産をあげるその人が、間違いなくペットの世話をしてくれる全幅の信頼を置ける人であることが前提条件となります。

負担付遺贈の場合は、遺言執行者を付けたとしても、相続人全員が遺言書に反する内容で協議し合意した場合、飼主の意思が実現しない危険性があります。
一方、負担付死因贈与は、契約内容を受贈者が承諾しているため、相続人の協議による契約内容の変更余地はなく、生前の飼主の意思どおりに契約が実行される点で、安心感はあります。

次回のブログではペット信託について説明します。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す