【オモイデのハナシ】カッコイイ爺ちゃんの話

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コラム
介護士時代の話
しになります。
現在はリアルもココナラでもお話相手や悩み相談のお相手をしているおたふくですが、30歳後半までは介護士をしておりました。
私が担当させて頂いた方には、忘れられない方達は数多く、少し書き残したいのです。



今回の爺ちゃんは当時96歳。
若干の認知症はあるものの94歳の婆ちゃんと二人暮らしをしていたのです。

私は訪問介護士としてお宅に訪問して、
2人分の家事援助・身体介護を実施していたのです。
そんなある日。


いつものように家事援助の掃除・洗濯・調理とこなして、

「さて、天気がいいのでお布団でも干しましょう」
とベットに近づいたところで事件が!!



私の天敵『G』が出現!!

*説明しよう!

(『G』とは、黒く俊敏で姿を現しては恐怖心を煽り、姿を晦ますアイツ)



「ぎゃーーーーーっ」と叫び声を上げる私と婆ちゃん。



爺ちゃんがのっそりと立ち上がり
「どれ?どうした?」と辺りを見渡すも視力の弱い爺ちゃんには確認出来ず。


仕方なし・・少し近づき
「あれ!あそこ・・」と震える指先がそれを指す。



その指先を辿るとそこにはまだ黒光り、存在感を放つ『G』が。



爺ちゃんは「よっこいしょ」と道端のゴミでも拾うかのような動きでスッと何かを拾い上げた。


『G』である。


ほら。と私に見せようとするが、
「いいいいいー😱💦いらないです!ポイしてください!!」
と大袈裟に手を払いながら懇願した。



爺ちゃんはそれまで見たことのない素早さで、これまた96歳とは思えないフォームで手の中の『G』を窓の外に放り投げた。


「カッコイイ・・」フッと思った。


さながら高校球児のような綺麗なフォームだった。



「ええええええーーー!!投げるの?????」

と困惑しながらも、室内に居なくなったことで少し余裕の出来た私は。


「ねえ、爺ちゃん。お外に投げたらまた戻ってこない?」と爺ちゃんに聞いてみた。


爺ちゃんは優しく諭すように「大丈夫。奴らは元は外の者だ。それに、じきに車がくれば轢かれるだろ」と言って微笑んだ。



私はすぐにいつもの仕事に戻り、婆ちゃんは日向で新聞を広げ、爺ちゃんは食べたばかりの昼ご飯を催促した。



私は「それじゃ、爺ちゃん手を洗って来ようか。豆乳ゼリー作ってあるからお茶にしましょうね〜」
と声掛けし、穏やかにその日の訪問介護は終えたのでした。




これは私の20代の頃の思い出の1ページ。


こんな素敵な思い出をくれたみなさんに心からの感謝を込めて。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。



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