ハラスメントは自らが招いた闇

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コラム
ハラスメントには複数の定義があります。

パワハラ、セクハラ、モラハラ、身体的DV
パートナーの浮気や経済的圧迫も
立派なハラスメントの一つです。

最近ではフキハラ(不機嫌な態度を取る)
という言葉まで出てきました。

ハラスメントの定義は
身体的DVを除いて受けた者の感覚にも因るため
定義が確定しているわけではありません。

しかしそれを受けている者が
それにより精神的苦痛を受けていて
その結果精神的ダメージを負うのであれば
それはハラスメント被害として認定されることでしょう。

これらのカウンセリングを受けていると
特に目立つ傾向として

『相談者はかつてどの恋愛でも
同じようなハラスメントを受けて破局してきた』
『常にハラスメント被害者となってしまう』

という部分です。

何故相談者はいつもどの恋愛でも
ハラスメント被害を受けてしまうのでしょうか?

一例として

結婚してすぐに夫からハラスメントを受けるようになった。
高圧的な態度や隠れた浮気が収まらない。
離婚をほのめかされるのが怖いので強く指摘できない。
最近では夫から無視をされていて
日常会話もなく完全に家庭内別居状態である。
考えてみるとこれまでの恋愛関係の破局原因は
全て同じ理由だったことに気が付いた。
いつも自分は裏切られて捨てられる
だからこの結婚だけは捨てられたくない。
夫が改心し夫婦として再構築するにはどうしたらよいか?

このご相談には大きな問題点が二つあります。

一つ目は
『結婚後すぐに夫からハラスメントを受けるようになった』
これはハラスメント相談で最も多く聞かれる傾向です。

二つ目は
『夫が改心し夫婦として再構築をするにはどうしたらよいか』
妻の望みはハラスメントから逃れることではなく
夫が自分の望む通りになってくれることなのです。

もっと掘り下げて聞いてみると
恋愛中から夫に対してずっと我慢があったが
結婚して絆が強くなれば変わってくれる。

自分が我慢すれば上手くいくと思っていた。

我慢という努力はいつか報われるはず
このように根拠のない期待を抱き
変わるべきは自分ではなく相手なのだ。

と考える傾向が強いのです。

その大きな要因のひとつとして
妻の自己肯定感の低さが影響しています。

生育歴で何らかの形で
自分に自信が持てなくなってしまったのか
若しくは度重なる恋愛の失敗から
ますます自己肯定感が低くなるスパイラルなど
事例は様々ですが根本はこの形が殆どです。

そこに目をつけるのがハラスメントを働く人間です。

自分が上に立てる相手を嗅ぎ分け
最初から優位を見極めた上で距離を縮めてきます。

比較的コントロールが容易で
常に自分の影響下に置く事が出来る相手。

これがハラスメントを働く人間が相手に求める条件であり
経験からどの人間にどのように接すれば
自分の思う通りに進められるのかを
無意識下で知っているのです。

前述の相談事例の場合
問題点の一つ目として挙げた
『結婚してすぐにハラスメントを受けるようになった』
最初はどのように接すれば妻を懐柔出来るのか
夫は経験に基づいたマニュアル通りに接するため
妻は『理想の男性が現れた』
自分のこれまでの不幸が報われた思いを抱いてしまいます。

我慢すれば良い出会いに恵まれるのだと
自分に自信を持ててくるのが交際初期です。

その後夫は徐々に本性を表していきます。

様々なハラスメント行為をもって妻を試すのです。

意見の相違での不機嫌ハラスメント(無視をする)
議論が出来ない(拒否をする)
極論で追い詰める(相手を引かせる)
高圧的な物言いや態度(圧力をかける)
果てにはこの段階で身体的DV(暴力)や
精神的DV(浮気)に及ぶ人間もいます。

妻からすると
自分が理想の相手と思えた夫が
踵を返したような態度をとったことに驚いてしまいます。

その原因は何かということよりも
自分が怒らせてしまった
その結果極論で追いつめられている(別れる宣言など)
原因よりも結果論にしか頭がいかなくなります。

それはひとえに
自分が信じた相手に踵を返されたという
受け入れがたい事実が突きつけられているからでもあります。

『また自分は裏切られるのか』
この思いが根本原因にフタをしてしまうのです。

一度は肯定された自分を否定したくない
この思いの一心で夫の理不尽を
受け入れざるを得なくなるのです。

自分が希望を失う怖さの方が
我慢の苦痛を上回ってしまうのでしょう。

もちろん夫はその妻の心理ロジックを見切っています。

この流れに落とし込めることが分かっているのです。

そうして過去から相手を取り込んでは傷つけてきたのが
このタイプの人間の性格傾向です。

このように一方的で威圧的な形をもってしか
コミュニケーションを取れない人間が数多くいます。

この背景にはその人間が受けてきた生育歴の闇があるのは事実です。

しかしだからといって相手を傷つけてよい理由には
決してならないことを理解すべきです。

次に問題の二つ目として挙げた
『夫が改心し夫婦として再構築をするにはどうしたらよいか』
これはひたすらに我慢を重ねてきた妻が
我慢のキャパシティーを超えてしまったときに
『変わるべきは夫である』
としている点です。

夫がこれまで歩んできた人生で形成された性質は
ほぼ100%といっていいほど変わることはありません。

本人が内省をし自ら性質を改めたいと
強い意思をもって臨むのならば
まだ可能性はあるでしょう。

しかしそれをするということは
自らのこれまでを全否定する
という苦しい自己否定を受け入れなければなりません。

そもそも何故相手を下に置き隷属させようとするのか
それは自尊心や承認欲求を満たすためのアイテムであり
マスターベーション行為の何物でもありません。

妻が自らを変えられないように
夫を変えることなど不可能だと思って正解です。

我慢を繰り返す自分が辛くなって限界を迎えたのならば
夫に変化を求めるのではなく
妻自らが変わらなければなりません
これはマストでしょう。

しかし妻はその決断がつきません
なぜなら『また失ってしまう』という
自己肯定感の欠如が何より怖いからです。

妻が一番恐れているのは
夫に受け入れられない
ハラスメントが嫌だということよりも
自分の信じたものを手放す
自分の選択の誤りを受け入れて見直す
要は自分が変わることが怖いのです。

それにもかかわらず夫には変化を求める
この矛盾について考え
自分の考えはダブルスタンダードであると
しっかり理解することが肝要でしょう。

夫がどう変化するのかは夫自身の問題であり
妻の問題ではないのですから。

このあたりの理解が出来ていないため
妻のこれまでの人生は
同じことの繰り返しであったと思われます。

ご相談においでになり
ハラスメントや浮気に愛想をつかしたと
妻が離婚を見据えて進めていると
その動きを察知した夫が態度を翻して
妻を繋ぎ止めるために
一時的に柔軟な態度を取ることがあります。

どうやれば隷属させた相手を繋ぎ止めておけるか
その術を知っているからに他なりませんが
夫の翻意をみて『変わってくれた』と勘違いをして
元ザヤに戻る妻が多いことも事実です。

DV被害における
『ハネムーン期』『蓄積期』『爆発期』
このサイクルを考えれば自明です。

そうして同じことをスパイラル的に繰り返します。

繰り返す度にお互いの傷みが重なっていくため
短いスパンで同じことを繰り返すようになります。

果てには人間関係の完全崩壊に至ることも少なくありません。

ここまで至ってしまうと前を向いた人生の構築は
お互いに大変難しくなってしまうでしょう。

それでも尚
妻が夫に執着する理由はただ一つ
『自分が変化することへの恐怖』
これに他ならないのです。

これがタイトルにある
『ハラスメントは自らが招き入れた闇』です。

夫婦に子供がいた場合はこれが顕著に出現します。

その父母の醜態を目の当たりにする子供は
確実にアダルトチルドレン化するでしょう。

父母のようになりたくないと強く思いながらも
人生のモデルケースが父母なために
結果的に父母と同じ道を歩むようになります。

こうして不幸の連鎖は作られていくのです...

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