論点の見極めが重要な理由

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ビジネス・マーケティング
「論点」ってどう捉えてますか?

特に、コンサルティングの仕事をしていると頻繁に行き来する言葉だと思いますが、スタッフと会話している印象として、浅く捉えられている感じが否めません。




ささっと論点を整理してMECEで綺麗な論点を整理してもらうものの、「それって重要な論点なのか・・・?」という不安が残ります。

ここがズレるとプロジェクト全体に大きく影響します。




筋の「良い論点」とか「悪い論点」という言い方もありますよね。何が良い論点のポイントなのでしょうか。

このスタート位置がズレると、無駄な作業も増え、チームのパフォーマンスが著しく低下します。逆に、正確に捉えることができれば最短距離で全力で力を注ぐことができるので、格段にパフォーマンスが上がります。




今回は、意外と知られていない論点の意味について、僕なりの私見で解説していきたいと思います。




そもそも論点って何?


まず、論点って言葉は使い勝手がいいですが、言葉の定義はあってますでしょうか?




グーグルで検索すると、「議論の中心となる問題点。」と出てきます。

当たり前ですが、議論する必要の無いことや、問題として認識していないことは、論点と定義できないということを、理解しておく必要があると思います。僕の感覚では、冒頭に説明した「MECEで綺麗な論点の整理」の違和感はここから出てきてます。




「本当に答えるべき問い」は何なのか?これが論点となります。




コンサルティング会社のプロジェクトマネージャーは、この論点を元に、アウトプットをイメージして、検討アプローチの設計、タスクへの分解を整理してから、スタッフに作業依頼をするという流れになります。スタート起点になる論点が、すべてに影響を与えるというイメージは理解できますよね。




普段よくある会話で、「どういう考えでこの論点だしたの?」って確認すると、「・・・・」とつまってしまうシーンがよくあります。

あるいは、とりあえず出してきた論点だったり、論点を網羅的に整理しただけとか、なんとなくクライアントが気にしてそうだから、と説明になっているようでなっていないようなことが多々あります。




論点は、抽出したプロセス(考え方)がもっとも重要です。論点を設定するためのコツも存在しますので、次に説明したいと思います。




答えるべき問いは相手が持っているもの


答えるべき問いは間違いなく相手を起点に設定すべきです。

自分よがりで自分勝手なロジックで、頭から捻り出したものでは確実に論点がズレると僕は認識しています。




僕なりの答えとしては、「相手と相互に磨き上げて一緒作り出すもの」と考えます。




若手コンサルの皆さんは、非常に頭の回転が早く優秀ですが、あくまで自分のロジックに終始してしまう傾向があり、いつも勿体無いと感じます。

必要なことは相手のロジックに合わせにいくこと、そのための初期的な"ドラフト"を自分の頭で整理するという感覚を持っています。

徐々に相手の知りたいこと、ペインポイント(本当に解決したい悩み)に近づけていく、感覚が必要と考えます。







加えてもう一点、論点を設定する上で少しややこしくしていることが、相手が複数人存在する場合です。

現場担当者の悩み、現場責任者の悩み、プロジェクト責任者の悩み、など相手の立場や状況によってペインポイントが異なるので、このプロジェクトでは誰の悩みを解決するべきかを突き詰めて考える必要があります。




ただ、クライアント全員が満足するソリューションは難しいです。そのため、キーマンの見極めが重要となります。

活躍しているコンサルタントは、このあたり上手くバランスをとりながら、スタンスを明確に示しています。




キーマンの見極めができていない場合、プロジェクト途中で振り出しに戻るリスクがプロジェクト期間中ずっと残ります。鶴の一声でガラッと変わってしまうシーンを僕は何度も経験しました。

特に大企業だと組織構造が複雑で多くの人たちが関わるため、丁寧に進めないと後々大きなリスク(いわゆる炎上プロジェクト)につながる可能性があります。




論点設計を進める過程で、クライアントの期待値を確認しながら、プロジェクトをコントロールすることは非常に重要になってきます。




筋のいい論点の出し方


それでは、次に筋の良い論点の出し方について、僕なりの見解を解説したいと思います。ポイントは、以下3つと考えます。




プロジェクトの目的との整合

「相手のペインポイントに答えているのか?」、「答えが出たら相手が満足するか?」を捉えること、シンプルですがこれに尽きます。




もう一段、大局観で問いを深めると、「なぜこのプロジェクトがあるのか?」「なぜコンサルタントに依頼しているのか?」「第三者だからこそできることは?」と大きな視点から論点を考えてみると、解決する糸口を見極めやすいです。クライアントの本質的な期待値を想像することができるかと思います。

顧客課題の真因と私たちの役割を、正確に捉えることが筋のいい論点の出発となります。




実現可能性の検証

クライアントから期待値が高いプロジェクトは、アウトプットが満足いく水準であれば中期的に良好な関係が構築できます。

一方で、期待される水準に到達しないときは信頼は一気に奈落の底へ落ちます。クレームやトラブルの原因で、炎上プロジェクトは大体ここのコントロールができてないことだと思います。




困っている相手に対して良いことを並べてプロジェクトを受注することはできますが、高い品質でアウトプットが可能か(つまり、身の丈を知る)を判断することが重要になってきます。




実現可能性の観点としては、「時間的な制約」、「ケイパビリティの制約」、「予算・リソースの制約」に集約されると思います。

これらをこの章では、詳しく解説しませんが、できることを認識してクライアントと役割分担をしっかりすることは論点設計の上で非常に重要になります。




アウトプットイメージの想像

さいごに、設定した論点に対して一般論にはならないアウトプットのバリューがイメージができるか?になります。

僕はプロジェクト初期段階で妄想ベースで荒削りでもイメージを膨らましておきます。なんとなくしっくりこない、具体的なイメージができないのであればその論点は深めてもさほどバリューにつながらない筋の悪い論点です。




僕の経験上、まず想像を超えるアウトプットはでないです。もちろん小手先のテクニックで見栄えは良くなったとしても、本質的な価値提供にならないと考えます。この論点に対しては面白い示唆が出せそう、バリューの出し方を常に想像していくことが重要だと思います。







これら3つのポイントに対して、初期段階で無理矢理にでも何回転もまわして腹落ちする論点に行きつけば、自然と「筋のいい論点」になっているはずです。慣れないと大変な作業で、簡単なものでないため、ササッと論点表を作ってくるものに対して、何となく違和感を感じてしまうのも、ここからきていると思います。




もちろん、プロジェクトを進めながら何往復も論点をブラッシュアップすることも求められます。おそらくインプットする情報量が増えていくと自然と論点はアップデートされるはずですので、プロジェクトが軌道に乗るまで繰り返し実施することになると思います。



以上、論点設定は非常に深い高度なスキルになりますので、自問自答する癖付けから何度も繰り返しアップデートをし続けて精度を上げていく必要があります。

慣れるまでは大変だと思いますが、型が身につくとスムーズに高速回転できますので、どんどんチャレンジして経験値を蓄積していきましょう。




ファクトと仮説をつなげてはじめて成立する


今回は、「論点」について解説してきました。ただし、留意点を上げておきます。




論点単独での活用はあまりおすすめしません。確認程度ではいいですが、単独では何の価値も生み出しません。

論点はクライアントの期待値確認はできますが、クライアントの満足を獲得することは難しいです。




クライアントの思考としては、設定した論点の内容より、その論点を設定した理由や、論点に対する仮説に興味・関心があります。

平たく言うと、どういう前提のもとこれら論点を抽出したのか?、その論点に対してどのような解を持っているか?です。




ロジックとストーリーを繋げて伝達しなければ抽象度の高い会話で終わってしますので、ファクト・論点・仮説の合わせ技で議論ができてはじめてクライアントにバリュー提供できます。




ロジックを固めるファクトの集め方や、ストーリーとしての仮説の作り方は、コンサルタントとしてのベーススキルの一つとして非常に重要な要素ですので、また別の機会に改めて解説したいと思います。

今回は以上となります、それでは。
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