当然ながら、コンサルタントの仕事ってクライアントが抱えている悩みを解決をすることですよね。
ただ、問題解決って具体的に・何を・どのように・進めていけばいいのか?
これからコンサルタントとしてのキャリアを目指している方や、まだ社歴の浅い見習いコンサルタントの方が最初に直面する悩みだと思います。いわゆる、「バリューの出し方が分からない問題」です。
本屋に行けば問題解決やロジカルシンキングに関する書籍は山ほどたくさんありますが、これらはあくまで体系化しているお作法であって、実際に実務で活用する場合は、学んだ知識をどのように活用すればいいのか、それっぽく型にはめてみたけどso what?(だから何?)、なかなか思うように進まない、って思われている方が結構多いのではないかと感じます。
実際、僕も事業会社からコンサルティング業界に転職して、はじめて関わった戦略案件でひたすら本を読み漁りましたが、、、でどうしようってなり、思考停止してしまい思うようにバリューが出せない状況に陥りました。
ただし、経験を重ねるうちに少しずつコンサルタントとしてバリューの出し方を、実体験を元に考えが整理できてきました。
そこで今回は、クライアントにバリューを出すために、コンサルタントが最も大事にしていることは?
この点について、解説していきたいと思います。
そもそも問題解決に決まった方程式は存在しない
いきなり梯子を外すような感じですが、コンサルタントとしてキャリアを積んでいくにあたって、まず認識しておくべきことは、必ずしも画一的な答えはないということです。
巷に様々なフレームワークは存在しますが、重要な抜け漏れをなくすためのツールであって、ツールをどのように活用するかを都度都度考えていく必要があります。つまり、クライアントに合わせて毎回考えの枠組みを作り出す、これが僕なりの結論です。
顧客の悩みによって問題解決の視点やアプローチ方法、アウトプットを変えていく必要がありますよね。
いくらロジカルに物事を組み立てて説明しても、相手が知りたい情報にミートできていなかったら、まったく意味のない情報です。
つまり、顧客の状況に応じて、最適解を常に見つけていくプロセスこそが活躍しているコンサルタントとして非常に重要な要素と考えます。
プロジェクト初期段階でこのフレームを作り出すことができれば、あとは既定路線で突き進んで行けばいいので、まずは期待値から大きくズレることはないですし、作業イメージが具体化できるのでプロジェクトマネジメント上も格段にやりやすくなります。
この全体像の設計に全精力をつぎ込んで作り上げること、これを優秀なコンサルタントの皆さんは重視しています。
顧客の期待値・問題解決に向けて、どのようなアウトプットを目指して、そのためにどのようなアプローチをするべきか、自分の言葉で説明できるかがコンサルタントとしてのバリューにつながります。
間違っていても問題ありません。議論して精度を上げていくことが重要です。
最初はうまくいかないと思いますが、積極的に発信して経験を重ねることで、バリューの感度が上がっていくはずです。
チャレンジしていく「好奇心」が原動力
バリューを生み出す上で、非常に重要と感じていることが「好奇心」です。
活躍しているコンサルタントは常にチャレンジしていて、これまでに経験のない新しいテーマや領域・サービスに積極的に関与することで、最先端の知識や経験を身につけています。プロジェクト終了後には、さらにレベルアップしていくような感覚です。
このチャレンジしていく好奇心が最も重要だと感じています。
僕も、毎回違うタイプのプロジェクトに関わっています。業界が異なったり、分析アプローチが異なったり、顧客の期待値が異なったり、と同じ案件はまずないです。
毎回新しいチャレンジをしていて、はじめてながらもプロフェッショナルとして向き合って突き進んでいくマインドが重要です。
もちろん、間違うこともあります。その都度、徹底的に考えて、最適解を見つけて、方向転換してやり直すこと、補正してブラッシュアップさせていくこと、仮説・検証の繰り返しを高速回転させることが必要です。
状況に合わせて柔軟に対応しながら突き進むことが、コンサルタントの仕事の面白さだと感じています。
逆に、決められたことをカチッと進めていくことが好きだと感じる人には合わない性質なのかもしれません。
行動を変えれば思考が変わる
とはいえ、なかなか実践が難しいということはよくわかります。
昔、上司に「人の価値観(考え)を変えることは難しいから、強制的に行動を変える方法を考えるべき」と言われました。
何気ない会話の中でだったので、そこまで深い意味はないようでしたが、非常に重要なことを言っていると感じ、僕なりに解釈したのが、以下の3つになります。
パソコンと仕事をしない。
日夜パソコンを開いて、リサーチ・分析・エクセルワーク・資料作成ワークをしていると、仕事をしている雰囲気になりますが、本質的にはクライアントに価値提供しなければ仕事ではありません。
プロジェクトメンバーやクライアントとディスカッションを繰り返して、お互いの考えをぶつけ合いながら価値を創造することが本質的だと思います。
もちろん最低限の情報収集やアウトプットは必要ですが、かなりパソコンワークに偏っている傾向がある方は、強制的にパソコンを閉じる時間を作り、議論する時間を取った方が良いです。
クライアントと良い喧嘩をする。
これは良い意味でのケンカ(議論)です。
僕の私見ですが、コンサルタントはクライアントと異なる役割で雇われているので、別の視点からどんどん意見を発信することは至って当たり前で、できなければ雇われている存在意義がありません。
つまり、クライアントは、確立された仕組みの中での考え方で、コンサルタントは仕組みを作り出す考え方、という理解をしています。
考えの起点が異なるので、考え方の違いで衝突することは確実に発生すると思います。遠慮する必要はないですし、役割が異なるのだからどんどん意見を発信すべきだと考えます。
上司と仕事をしない。
上司の指示を確実にこなしていくワークスタイルは基本的にNGです。
情報に触れている量は圧倒的に現場スタッフの方が多いです。基本的には上司は表面的な情報しか触れていません。
クライアントのバリューを高めるためには、上司を見るのではなく、クライアントにベクトルを向けましょう。
ただし、上司は過去にたくさんの経験を蓄積しているので、現場で見えてない視点や考え方を持っているので、うまく活用しながらご自身の考えをブラッシュアップすることが必要です。
重要なのはオーナーシップだと思います。指摘を受けたコメントを踏まえて、自分の中で咀嚼して昇華させるというアクションを自ら実践して結論を出していくことが重要となります。
さいごに
繰り返しになりますが、コンサルタントが大事にすべきことは「チャレンジする好奇心」です。
コンサルティング業界で働いている方やこれから入社を志向する方は、成長意欲の強い人たちだと思いますので、相性は良いとは思いますが、変な社内のしがらみや人間関係で、挑戦する才能に蓋をしてしまっていることがあれば非常にもったいないです。
無駄なエネルギーで消耗することなく、クライアントバリューを意識した行動を心がけましょう。
ここからは余談ですが、僕を含めたマネジメントの仕事のポリシーは、「スタッフの行動を変えるためのインフラづくり」だと思っています。
つまり、パソコンと仕事をしない。クライアントと良い喧嘩をする。上司と仕事をしない。をスタッフに実践させるということです。
プロジェクトごとに成功体験を実感できることが、コンサルタントにとって成長を加速させる最も重要なツールだと考えます。
プレッシャーがかかり大変だと思いますが、厳しい中にも楽しく自己実現につながるようなマネジメントスタイルを確立していきたいと考え、日々試行錯誤しながら努力し続けています。
(機会があれば、スタッフマネジメントのコツについてもどこかで触れていきたいと思います)
一流のコンサルタントになるために努力を継続して頑張りましょう、それでは。