良い会議・良いファシリテーターとは③ 〜会議運営〜

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ビジネス・マーケティング
まずはじめにこれまでの振り返りからはじめます。


第一回では、「良い会議」について解説しました。

良い会議とは、参加者の意見を十分に引き出し、時間内に参加者の意思統一が実現できる会議です。


第二回では、良い会議にするためには、「事前準備」、「会議の運営」、「フォローアップ」の3つの構成からなり、事前準備について解説しました。オープニングとボディとクロージングに分けられ、それぞれ設計するにあたってのポイントがありました。


そして、今回の第三回では、「会議の運営」と「フォローアップ」について、説明していきたいと思います。



「会議の運営」で成功できる技

会議運営において、「オープニング」、「ボディ」、「クロージング」それぞれで、うまく会議を進めるための技が存在します。


オープニング

会議の前段で、①ゴール、②アジェンダ、③ルール、④役割の4つを明確にして、フレームを決めてから開始することが重要となります。


① ゴール
会議の目標(ゴール)が明示されていることは、最低限で最重要な事項です。

抽象的な表現は避けるべきで、なるべく具体的なゴール設定をする必要があります。


② アジェンダ
会議を成功させるには、出席者全員が「論点」と「進め方」に同意していることが絶対条件です。

会議実施の前に参加者に周知してあることが望ましく、あらかじめアジェンダを展開しておく方が効率的です。


③ ルール
会議を効果的に運用するためのルールを設定することで、自由闊達な意見を出す雰囲気を作り出します。

例えば、

「聖域を作らない」、「人の意見を非難しない」、「縄張り意識を持たない」、「肩書きや立場を忘れる」、「楽しく議論する」

のようなイメージです。その場の雰囲気に合わせて色々と変えてみるといいかと思います。


④ 役割
会議での役割を明確に定めておき、主体性を持って会議に参加いただきます。

例えば、

「ファシリテーター(会議の仕切り)」、「タイムキーパー」、「プレゼンター」、「議事録作成」

などになります。



これら4つの会議開始時に明示して、ホワイトボードに書くなど参加者の見える場所に書き出す・張り出すことで効果が上がります。


ボディ

① 脳の活性化
参加者が考えやすいように、会議を進行する必要があります。

・自分が聞かれても答えられる質問か、必ず確認してから問いかける
・参加者全員が理解できる平易な言葉で会議を進行する
・議論が滞ったら、各種フレームワークで構造化して、議論の漏れを可視化する

また、参加者が気持ちよく話せるように、工夫することも必要です。

・特定の意見に偏らず、ファシリテーターは常に中立性を保つ
・共感することを続ける(「それで、それで?」「確かにそうですね」「なるほど、さすがですね」)
・話し手に体を向けて、体全体で聞き取る(うなずき、身振り手振りなど)


参加者が考えやすく・話しやすいようにできれば、参加者の知恵やアイディアをフル活用できます。


② 可視化
とにかくホワイトボードに書くことです。

最初は慣れないので萎縮してしまうこともあると思いますが、勇気を出して前に出て、書き出すことが重要です。


ホワイトボードを活用すると下記のようなメリットが想定され、会議では非常に有効です。

・発言内容を書き込むと、発言者が重要な扱いをされた気分になり、積極性が増します
・どんどん箇条書きにすると、メンバーが集中・安心します
・前半で出た発言は大事な発言でも、書いておかないと「あれ?なんだっけ?」という状況になります


言葉は人によって認識が異なることもあり、可視化することが認識合わせになります

ホワイトボードに書き出す場合のティップスもいくつか紹介しておきます。

・ポイントを捉える
・全部書き出さない
・読める文字の大きさ
・キーとなる内容はマルで囲む
・何色かのマジックを使って区別して目立たせる

あと、気をつけるべきこととして、ホワイトボードに書くことに集中しすぎることは会議の進行を分断させるのでよくありません。

言葉で読み上げながらホワイトボードに書くことや、書きながら質問をしたり、常に会議の空気を切らないでスムーズに流していくことも重要になります。


③ 困った状況の対応策
会議の途中でやりづらい雰囲気になったた場合、議論が中断することもありえます。

その場合は、いくつかパターンを想定しておき、状況に使い分けて会議を止めない。常に流し続けることが重要になります。

全然しゃべらない場合
・人を指名して、質問をしてしまう
・そもそものゴールの設定が間違っていないかを確認する
・他のメンバーの影響であれば、そのメンバーの発言をうまく遮る

重箱の隅を突かれる場合
・それが明らかになると、どういった意味があるか問いかける(瑣末な問題だと分からせる)
・ファシリテーターへの攻撃的な発言があっても応じず、他の参加者に問いを振る

全体的に寡黙なグループの場合
・場を温めて、リラックスできる空気を作る
・右から順番に、等のルールを決めて質問していく

グループが分裂した場合
・同意していないポイントを明確にする
・参加者全員が同意しているポイントを確認する
・反対する理由をホワイトボードに整理する

理由もなく反対してくる場合
・目をそらさず、コメントを聞き取る
・その人の言い分をホワイトボードに書いて可視化して、客観視させる
・他のメンバーにも判断してもらう



クロージング

会議のクロージングでやるべきことは毎回のルールにしておいた方が良いです。

・会議で決まったこと・決まっていないことを明確にする
・会議の中で上がった宿題や、今後の課題、ネクストアクションを確認する
・喋り足りなさそうな人を見つけ、個人的に話しかける(会議後は緊張が緩むので、重要な情報、良いアイディアは意外とこの時にポロっと出てくる)


① フォローアップ
フォローアップは、会議内容の取りまとめとネクストアクションの発信です。

・会議内容の取りまとめ
・会議の成果を取りまとめて、成果の認識を再度確認します。
・非参加者を含む関係者と情報共有をします。

主な作業としては以下があります。

・ホワイトボードメモを配布する(日付、会議名を右上に記入の上、コピーを取り、参加者に配布する)
・必要に応じて議事録を作成して共有する


② ネクストアクションの発信
会議で決定したネクストアクションを各自で共有し、次の行動を開始します。

・ネクストアクションの整理・発信(会議で決まった宿題や課題、次回会議予定等を担当者に期日をつけて配信する)
・会議の結果を必要資料には反映する(会議の成果を成果物に反映する)



会議の振り返りの重要性

これまで良い会議を運営するための概念とコツを解説してきました。

さいごに、もう一つお伝えします。それは「振り返り」です。


僕は会議が終了した後、必ず会議の振り返りをやります。

当初の目的を達成できたか、できていないのであれば何が原因だったのか、段取りに問題はなかったか、など、事前に緻密に会議設計をしているとどこを詰めきれていなかったのか差分が明確になります。


そのギャップを次回以降の会議ではどのように埋めていくべきか、トライアンドエラーを繰り返していくと、会議の運営が上達していきます。


以下に振り返りのフレームワークをご紹介します。

よかった点
・工夫してうまくいった点、他者の真似したいと思った点などを書き出す
・次回以降も引き続き、継続していくべきことを書き出す
・知見として、どんどん蓄積していくことが理想です

改善点
・気になった点、反省点などを記載する
・どうしたら改善できるかまでを具体的に記載することが理想です

次回のチャレンジ
・改善点を潰すために、次回以降で何をすべきかを記載する
・具体的な行動までやるべきことを噛み砕いておくことが重要です

よかった点→改善点→次回のチャレンジの順で振り返ることが良いと思います。

まずはセルフレビューを実施して、そのあとに他者からのフィードバックをもらえると学びは多くなります。

次回の会議ではチャレンジの内容がきちんとできたら振り返りを行うことが重要です。


回をこなすごとに、自分なりのコツも見つかってきますので、守破離を意識してトライしていただけると良いかと思います。


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