コンサルタントが身につけるべき事【構造化】

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ビジネス・マーケティング
前回の「心構え」に続き、若手コンサルタントが身につけるべき内容について、解説していきます。


今回のテーマは「構造化」についてです。
コンサルタントの仕事をしていると、情報を整理する上で、構造化は基礎中の基礎になり、とても重要になります。

MECEという言い方もよくされています。


新人は研修で徹底的に考え方や基礎スキルを身につけ、実戦でも繰り返してトレーニングを積んでいくので、構造化やMECEは比較的馴染みのある言葉だと思います。


ただし、気をつけなければならないことが、意味のある構造化をしなければならないということです。


なぜ、その構造に情報を当てはめているのか、色々な構造整理があるので、考え方が重要となります。

そのあたり、これまでの経験にもとづいて詳細を解説していきたいと思います。

構造化が必要な理由

そもそも構造化とは、物事の「構成要素」と「構成要素間の関係」を整理することを意味します。


世の中の情報が複雑に絡まっている状況の中で、構造で情報を整理することにより、因果関係を解明することができるなどメリットは多く存在します。

主なメリットは以下と考えられます。


漏れとダブりを回避できる

問題解決の検討を進めるにあたって「漏れ」がある場合、見落としていることを意味し、仮に重要な見落としがあった場合は、プロジェクト自体が致命的になります。(場合によっては振り出しに戻ることもあり得ます)


ダブりについては、検討する観点は異なるものの、同じ分析や議論を繰り返して行うことが発生する可能性もあり、効率的・効果的にプロジェクトを進めることが難しくなります。


プロジェクトを進める大前提として、漏れとダブりをなくして問題解決をスムーズに進めることが重要です。


真因の深掘りができる

構造化によって情報を整理して、どの構成要素がもっともインパクトを与えているのか、検討のプライオリティを付けることも重要になります。


一般的に、問題解決の優先順位の付け方としては、「効果」、「スピード」、「リソース(実行可能性)」をもとに整理すると良いかと思います。

優先度の高い構成要素に対しては、その真因を深く分析を進めていくことで最も高い効果を発揮できるはずです。


情報共有しやすくなる

構造化による情報整理で、相手との情報共有やコミュニケーションが容易になることもメリットだと考えられます。


そもそも何について議論しているのか、イシューや論点がずれているとコミュニケーションロスが発生します。

特に複雑なプロジェクトの場合、論点やイシューが点在することもよくあると思います。


構造化は、問題の全体像とその構造を示しながら相手とコミュニケーションを取れるので、どこの議論をしているのか共通認識を取りやすくなりますので有効に活用する必要があります。



次に、構造化を行う上でのTipsについて触れていきたいと思います。


起点が最も重要

そもそも、構造化には色々な切り口があります。


例えば、日本人口の構造の切り口は、「男女」、「年齢」、「都道府県」、「世帯年収」、「家族構成」など構造化の方法は数多く存在します。


また、構造化には筋の良い構造化と筋の悪い構造化に二分しています。

違いは明白で、構造の軸がはっきりしているか、です。つまり、なぜその構造で整理したのか、相手が納得できる説明ができるか、にかかっていると思います。


もう少し詳しく解説すると、構造化の本質的な目的は、「問題解決」です。


相手の問いに対して、明確に答えることのできる論点と構造化を紐付けて説明できることが極めて重要で、ここがズレているといくら細かく分解して構造整理しても筋の悪い構造化になります。

問いに答えられる筋の良い構造化を目指して、相手の問いと構造を何往復もしながら試行錯誤することが重要です。


MECEっぽい感覚

若手コンサルタントがよくやりがちなのが、構造化を細かく分解しすぎていることです。


細分化して、精緻に構造を整理することに対しては、それほどバリューはありません。

むしろ、情報量が多すぎて混乱することも孕み、逆効果であることもあり得ます。


感覚的にMECEっぽい、スッキリと頭で整理しやすい、右脳の直感で切りがいい感じに整えるのが良いと思います。

(トレーニングが必要ですが、要は複雑にならずシンプルにです)


どうしても自分のロジックで構造化を積み上げていくと細かく複雑になりがちなので、立ち返って相手のロジックに立って、わかりやすく整理することが最も重要です。


多少強引にでも、不要な情報は削ぎ落として、スッキリとしたMECE感を醸成することが必要になると思います。


3つ(~5つ)に整理すると気持ちがいい

感覚的に、構造の構成要素を3つ~5つでまとめられると良いと思います。


構成要素が多すぎるとだれる(説明を受けていても疲れる)、一方で構成要素が少なすぎても漏れがあるのではないか、見落としがないか不安になります。


ちょっと別の観点ですが、コンサルタントの仕事をしているとクライアントから突然コメントを求められることがよくあります。

個人的には、無理矢理にでも「3つあります」という癖づけをして、毎回意地でも3つの観点で専門家としての意見を発信することを意識しています。


もちろん、3つに整理した論拠は必要で、これまでの蓄積した経験からスムーズに説明できることや、それなりに瞬発力も求められます。

これらは自然と身につくものではありませんので、意識的に相手が納得するような構造化を3つに整理するクセづけは重要だと感じます。


さいごに

今回は、構造化について解説してきました。


構造化はコンサルタントとして必ず必要なスキルであるとともに、センスも必要になってくると思っています。


どのような切り口で構造整理するべきか、相手起点で考える必要があり、相手が納得や共感する絶妙なバランスで構成要素を整えます。

相手がこの構造化での整理に対してどのような反応をするのか、イメージ・シミュレーションすることが必要です。


トレーニングを積みながら、ご自身の中に構造パターンを蓄積できると、スムーズに整理を進めることができると思いますので、是非とも頑張っていきましょう。
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