研究者の登竜門「学振」って何? どうやって書くの?

記事
コラム
研究歴7年、28歳男性で生物系研究者の「めいす」です。
博士(医学)の学位を取得しています。

私は現在ポスドクをしており、
来年度から大手製薬企業の研究職として就職します。

私は博士課程2年度に学振DC2に応募し、採用されました。
また、博士課程4年度に学振PDに応募し、二次採用候補から採用されました。

私は業績お化けのような、業績に恵まれた研究者ではありません。
そのため、内容勝負で学振に挑戦しました。

業績が少なくても、内容が良ければ学振は通る。
これは私の感想で、恐らく間違っておりません。

そこで本記事では、学振とはどの様な制度なのかという内容から、
どのようにして魅力的な学振を書くのかについて
書いていこうと思います。

1.学振ってどんな制度?

学振とは、「日本学術振興会 特別研究員 DC1/2, PD, RPD, CPD」の略称で、学振DCや学振PDと呼ばれることが多いです。

3年間 または2年間,生活費(特別研究員研究奨励金)が支給されます。
• DC1, DC2:20万円/月
• PD, RPD:36.2万円/月
• CPD:44.6万円/月(PD採用者が応募できる海外渡航枠)

また、生活費以外に研究費として毎年150万円以内が支給されます。
支給される研究費は、研究内容などによります。
私の場合、生物実験系の採用で、
DC2の場合は年90万円ほど、PDの場合は年120万円ほどでした。

申請年度は以下の通りです。()内の数字は最長採用期間。
– M2→DC1 (3年)
– D1/D2→DC2 (2年)
– D3以上→PD (3年)

採用率はどれもおおよそ20%程度となっています。

2.学振ではどの様なことを書くの?

いくつかの基本情報(所属など)も書きますが、
学振の最も重要な記入項目は以下の3つです。

●【研究計画】
• 研究の位置づけ
• 研究目的・内容等
• 受入研究室の選定理由(PDのみ)
●【研究遂行力の自己分析】
• 研究に関する自身の強み
• 今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素
●【目指す研究者像】
• 目指す研究者像
• 目指す研究者像に向けて特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ

昔(私がDC2に応募した頃)は、今までの研究内容について書く項目がありました。
しかし、現在はこれからの研究計画についてのみ記入するようになっています。

つまり、研究者としての資質や将来性に非常に重点が置かれていると推測できます。
この申請書で伝える究極的なことは
「私は素晴らしい研究者の素質がある。だからお金ください!!」です。

それではここからは各項目についてどう書いていくのか、みていきましょう。

3. 【研究計画】の書き方

それではまず実際の申請書の研究計画のところをみてみましょう。

3-1.研究計画1ページ目

下は実際の申請書に書かれている指定です。

【研究計画】※適宜概念図を用いるなどして、わかりやすく記入してください。なお、本項目は1頁に収めてください。様式の変更・
追加は不可。
(1) 研究の位置づけ
特別研究員として取り組む研究の位置づけについて、当該分野の状況や課題等の背景、並びに本研究計画の着想に至った経緯も含めて記入
してください。

それでは詳細にみていきましょう。
まず※の文章をみてみると、
「わかりやすく記入してください」と書かれてます。
これは、

 専門外の人にもわかるように書いてくださいということでしょう。

専門外といっても、分野は同じ研究者が審査すると思います。
というのも学振は、選択した分野に申請します。
例えば、「腫瘍生物学」や「神経科学一般」といった分野ごとに
申請するので、ある程度の専門用語はわかると思われます。

腫瘍生物学ではあっても、対象としている現象が一般的でなければ
それを説明する必要があります。
例えば、分野が腫瘍生物学でも、着目している現象が液-液相分離
なのであれば、何の説明もなく液-液相分離という単語を使うのではなく、
その単語の説明が必要になるでしょう。

(1)研究の位置付け ではまず、「当該分野の状況」の「当該分野の課題」を
書くように指定されています。
つまり、イントロダクションですね。

イントロダクションの目的は何か?
それは、読者を引き込むことです。
そこで、イントロダクションの重要なポイントをまとめると、

①「なんか面白そう」「なんか凄そう」と思ってもらえる文章を書く
② 初見でもわかりやすい文章を書く

まず、①「なんか面白そう」「なんか凄そう」と思ってもらえる文章を書くことについてお話します。

一般的な研究背景、そして課題や問題点に関して、
研究をしている皆様自身がよくわかっているはずです。
ここでは、非常に書き方が重要になってくると思います。
重箱の隅を突く様な課題設定の書き方では、科学的重要性は低く見えてしまい、読んでいてつまらない申請書に見えてきます。

例えば、Aという遺伝子が乳がん細胞で過剰に発現している。
そこでAという遺伝子の機能解析を行っているという
研究だったとしましょう。

普通の書き方であれば「乳がん細胞において遺伝子Aが過剰に発現することを遺伝子発現解析より見出した。しかし、遺伝子Aの機能は今まで不明であった。そこで本研究では、遺伝子Aの機能解析を行うことで、遺伝子Aががん細胞の悪性化に関わるメカニズムを解明し、治療標的としての可能性を追求することを目的とする」

といった感じになるでしょう。
これでは遺伝子Aに着目した理由が全くもって魅力的ではありません。
非常にスケールの小さい研究にみえてしまいます。

「乳がんは未だ多くの患者が亡くなる難治性の疾患であり、有効な治療標的の探索が急務である。乳がんの治療標的と探索するために、遺伝子発現データを用いて乳がん細胞で過剰に発現する遺伝子Aを見出した。遺伝子Aは、既知の乳がん関連遺伝子と同程度以上に悪性度と相関することがわかり、その重要性が強く示唆される。しかし、遺伝子Aの機能に関する報告は皆無であり、遺伝子Aの機能を解析し、治療標的としての可能性を追求することは、乳がん治療の大きなブレイクスルーとなりうる。また、遺伝子Aは乳がん以外のがん種においても過剰に発現していることが見出され、本研究は乳がんのみならず、
がん研究そのものに重要な知見をもたらすと考えられる。」

どうでしょうか。
遺伝子Aに着目する理由が壮大にみえたのではないでしょうか。
なぜ遺伝子Aなのか? なぜ遺伝子Bではダメなのか? 
なぜ遺伝子Aは今まで着目されてこなかったのか?

皆様が着目していることがどれだけ重要なのか、他ではダメなのか
ということについて、よく考えてみましょう。
書き方次第で、「なんか凄そう!」と思わせられれば、
イントロダクションの目的は果たしたといっても良いでしょう。

次に、② 初見でもわかりやすい文章を書く、について書きます。
まず大前提として、冗長な文章を避けて、できるだけ小区分を設けることが重要です。
今まさに私が、上で①や②とわけたように書くわけです。

小区分にわけることで、読者の中で整理がしやすいという利点があります。
特に「当該分野の課題」を課題1や課題2と小区分にわけることで、
後で書く実験計画を小区分ごとに対応させて書くことができ、
非常に読みやすい文章となります。

一方で、わかりやすくしようと意識しすぎて同じことを何回も書いたりして、
冗長な文章にならないようにしましょう。でないと、スペースが限られているので、書きたいことを全部書けなくなってしまいます。

わかりやすい文章をかけているのか、ということを確かめる最も良い方法は、
他の人に読んでもらうことです。

私の場合は、自分の研究室の人だけでなく、自分の研究を知らない他の研究室の人にも読んでもらいました。
その際に、学振や研究費の申請に通ったことのある人に読んでもらうと良いでしょう。

次に「着想に至った経緯」です。
「当該分野の状況」と「当該分野の課題」で説明した解決すべき課題と、その解決方法をどのようにして着想したのかを書くパートです。

個人的に、ここは非常に重要だと思います。
なぜなら研究者として課題設定を立てる能力は、今後PIとして成長していく
過程でとても重要なポイントだからです。
「私は重要な研究課題を着想する能力がある」ということをアピールしましょう。

私の場合、「当該分野の状況」:「当該分野の課題」:「着想に至った経緯」の
文章量の比率は1ページの中で、2 : 1: 6 くらいになっていました。
かなりの量を着想に至った経緯に割いています。

ここでアピールするべきポイントは、

①課題を解決することがなぜ重要なのか
②その課題を解決するための方法をどのようにして思いついたのか

です。

①課題を解決することがなぜ重要なのか について、
研究において、ゴールをしっかり意識することが重要だからです。
後の項目で「本研究の完成時に予想されるインパクト、将来の見通し等」を書くところでも再度触れることになりますが、ここでもゴールについて述べておくと良いでしょう。

申請する研究内容のゴールを考えた際に、その目的を達成することによって
得られる知見や技術などが、なぜ、どのようにして重要なのか。
それが先にあって研究は始まるべきです。

そしてその次に、②その課題を解決するための方法をどのようにして思いついたのかについては、独自性をアピールしましょう。
「なるほど、そうすればこの課題を解決できるのか!」と思ってもらえるように書きましょう。

研究の方法はたくさんあります。一つのゴールを目指すだけでも、何通りものやり方があると思います。
なぜその方法が良いと思ったのか、なぜ他の方法ではダメなのか、そしてなぜ先行研究ではされてこなかったのか、それについて深く考えてみましょう。

もちろん研究室によっては、教授や指導教官から与えられたテーマを研究していることもあるので、「自分で思いついたわけではないんだよなぁ」ということもあるでしょう。

ただここではまるで自分が思いついたかのように、自分だったらどう考えるかを意識してみましょう。
与えらえたテーマのゴールが一見あまり重要そうに思えなくても、
ある意味こじつけのような形で、重要そうに見せることはできます。
他の方法もあったけど、今の方法でやるように教授に言われたとしても、
他にない利点を強調して書いてみましょう。

ここは申請書の中で論理的に正しければ良いのです。
言い方は悪いですが、都合の悪いことは触れなければいいのです。

3-2.研究計画2~3ページ目

それでは続きをみてみましょう。
下は実際の申請書に書かれている指定です。

【研究計画】(続き)※適宜概念図を用いるなどして、わかりやすく記入してください。なお、各事項の字数制限はありませんが、全
体で2頁に収めてください。様式の変更・追加は不可。
(2) 研究目的・内容等
① 特別研究員として取り組む研究計画における研究目的、研究方法、研究内容について記入してください。
② どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか、具体的に記入してください。
③ 研究の特色・独創的な点(先行研究等との比較、本研究の完成時に予想されるインパクト、将来の見通し等)にも触れて記入してくだ
さい。
④ 研究計画が所属研究室としての研究活動の一部と位置づけられる場合は申請者が担当する部分を明らかにしてください。
⑤ 研究計画の期間中に受入研究機関と異なる研究機関(外国の研究機関等を含む。)において研究に従事することも計画している場合は、
具体的に記入してください。

まずは、上の①~②です。
私の場合最初に、簡潔に研究目的を再度書きました。
1ページ目で研究課題にふれることで何を明らかにするのかを書きましたが、
ここでもう一度完結に書くことで、読者に再度、研究目的を意識させます。

さらに、すでに一部研究を進めていたので、「研究の事前状況」という形で、簡単に今の状況について触れました。
ここはまだやっていない形で今後の研究計画に含めても良いでしょう。

研究方法と研究内容に関してですが、私は項目をわけずに書きました。
先の「当該研究の課題」で小区分にわけた項目ごとに対応させて、
研究方法と研究内容を書きました。また、ざっくりと申請年度のどれくらいの期間をかけてこの計画を終わらせるかを書きました。

例えば課題1に対応させて
[計画1-1 ~~~ (採用1年目)]のような形です。
ここで~~~では、その計画の小目的を書きます。「xxxの解析」といった、
その計画で行う実験の内容について簡単に触れます。
そして次に、「ここでは、~~~~のために、~~~~を明らかにすることを目的とする」といったように、実験の目的をまず明示します。

次に、申請書の指定に書いてある「② どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか、具体的に記入してください。」について書いていきます。

ここで意識した方がいいことは、

①実験の目的を達成できる方法か
②実験の順序は論理的か
③実験の分岐点の明記
④キラーエクスペリメントを早い段階で行う計画

①実験の目的を達成できる方法か、について、その小項目の最初に示した
「ここでは、~~~~のために、~~~~を明らかにすることを目的とする」に対して、答えを与えることのできる実験なのかどうかを考えましょう。

②実験の順序は論理的か、について例えばAの予備実験をスキップして、
いきなりBの実験をしていないか、といったことです。
Bの実験の前に必要な実験はないかと、よく考えてみましょう。
「目的→A→B→C→目的の達成」という順序に抜け穴がないかと吟味しましょう。

よくある実験すっ飛ばしの例として、
例えば実験方法のところで「遺伝子発現解析の結果から、下流の候補を探索し解析する。次に〜〜」という書き方があります。
これだと、「いやいや下流の候補なんてたくさんあるでしょう。」と思われます。
そこで「遺伝子発現解析の結果から、下流の候補を探索し、~~~の方法で絞り込みを行う。次に〜〜」といったように書きましょう。

③実験の分岐点を書く、について、分岐点とは「方向性が複数ある」といった場合です。
実験はいつも上手く申請書通りに進むとは限りません。
そのためバックアップ実験のようなものを考えておく必要があります。

例えば、遺伝子Aが癌細胞の増殖に重要だとわかっており、これに基づいて治療薬を開発したい場合に、
方法X : タンパク質Aを標的とする方法
方法Y : タンパク質Aを活性化するタンパク質Bを標的とする方法
方法Z : タンパク質Aの下流因子を標的とする方法
が考えられたとします。

申請書では方法Xだけ書いていたとすると、「それが上手くいかなかったどうするの?そもそも阻害剤がなかったら?」といったツッコミが入る可能性があります。
そこで、例えばX,Y,Zの方法すべてを同時進行で行うという計画を立てるのです。

DCやPDは3年間の研究計画です。
ある程度ボリュームのある研究の方が良いと思うので、
この分岐点に触れることで研究のボリュームは増すはずです。

④キラーエクスペリメントを早い段階で行う計画、について、
キラーエクスペリメントは研究のゴールとなるような実験のことです。

例えば、がん研究であれば、標的因子を同定した場合に、in vivoでのがん増殖を抑制できるという実験です。
いくら標的因子の詳細な解析を行なったとして、in vivoで抑制した際にがん細胞の増殖が抑えられなければ意味がありません。

一方で、完成した論文だとin vivoの実験は最後の方だったりします。
これは、論文のストーリー構成上、最後に持ってきているだけで、
実際の研究現場では早い段階でそのデータを押さえているはずです。

申請書では論文のようなストーリーではなく、実際の研究現場での
段階を重視しましょう。
前にも書いたように、研究ではゴールを意識する姿勢が重要です。
そこでキラーエクスペリメントを早い段階で押さえるような計画を組むことで、「この人はゴールを意識しているな」と思わせることができると思います。

最後に、
③ 研究の特色・独創的な点(先行研究等との比較、本研究の完成時に予想されるインパクト、将来の見通し等)にも触れて記入してくだ
さい。
についてです。

実際の申請書では①~②の計画がほとんどを占めると思いますが、
③で研究の重要性、すごさについて触れます。

ここではわかりやすいように
「~~~が特色である。~~~が独創的な点である。」と書きましょう。
そしてここで重要なことは、
「すごそうに、格好いい文章を書く」
です。

最後にとても幼稚な表現がでてきましたが、それで良いと思います。
例えば乳がん研究の内容だったとしても、「本研究により得られる知見は、乳がん研究のみならず腫瘍生物学全体のマイルストーンとなりうる」といったように、いかにもこの研究が凄そうに書いてみましょう。

他にも「他に類をみない」「世界初の」といった強調表現も良いでしょう。

もちろん、凄そうに見せるためには、それまで書いた内容がしっかりしていなければなりません。

ウソップが「俺は海賊王になる!!」というより、
ルフィーが「俺は海賊王になる!!」といった方が説得力ありますよね。

どんな点をアピールすればよいのかについてですが、
まずは研究計画の1ページ目の背景や着想に至った経緯で書いた課題について、もう一度触れても良いでしょう。
重要な課題設定なのであれば、それを達成するだけで、インパクトがあるはずです。

他には、実験計画を遂行する上で確立する実験系の新規性など、他にはない特色があるはずです。
そこをよく考えてみて、そして先に触れた凄そうに見える表現を使って、
ちょっと大袈裟なくらいに感じる文章を書いてみましょう。

ちなみに私の所属していた研究室は研究費も潤沢で、学振採用者も多いです。
皆さんの研究費申請書を見ていて「凄そうに書く」ということも非常に重要だと感じました。

次に、
④ 研究計画が所属研究室としての研究活動の一部と位置づけられる場合は申請者が担当する部分を明らかにしてください。
⑤ 研究計画の期間中に受入研究機関と異なる研究機関(外国の研究機関等を含む。)において研究に従事することも計画している場合は、
具体的に記入してください。

ですが、なければ書く必要はありません。
ただ個人的に研究者に求められる素質として「共同研究遂行力」というのは重要なポイントだと思います。

現在、実験技術は非常に多様で複雑なものとなっています。
そのため、一つの研究室で全ての実験系を確立することは非常に難しいです。
インパクトのあり質の高い研究をするためには、共同研究は非常に重要です。

「こういうことしたいけど、自分の研究室じゃできない」ではなく、
「こういうことしたいから、共同研究をしよう」という意識が重要です。

そのため、現段階で共同研究の予定がなかったとしても、あくまで研究計画なので、共同研究を計画に含めても良いと思います。

例えば、文部科学省の先端モデル動物支援プラットフォームでは、科研費に採用されている(DCやPDを含む)研究者は、遺伝子改変マウスの作成を依頼することができます。
ここで遺伝子改変マウスの作成を申請するのも立派な共同研究でしょう。
こういったところに申請することを踏まえて計画を立てても良いのではないでしょうか。

4.【研究遂行力の自己分析】の書き方

また申請書の指定を下に書きます。

4.【研究遂行力の自己分析】※各事項の字数制限はありませんが、全体で2頁に収めてください。様式の変更・追加は不可。
本申請書記載の研究計画を含め、当該分野における(1)「研究に関する自身の強み」及び(2)「今後研究者として更なる発展のため必要と考
えている要素」のそれぞれについて、これまで携わった研究活動における経験などを踏まえ、具体的に記入してください。

・下記(1)及び(2)の記入にあたっては、例えば、研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、
コミュニケーション力、プレゼンテーション力などの観点から、具体的に記入してください。また、観点を項目立てする
など、適宜工夫して記入してください。
なお、研究中断のために生じた研究への影響について、特筆すべき点がある場合には記入してください。

(1) 研究に関する自身の強み
(※)本行を含め、以下の斜体で記した説明文は申請書を作成する際には消去してください。
・記述の根拠となるこれまでの研究活動の成果物(論文等)も適宜示しながら強みを記入してください。
成果物(論文等)を記入する場合は、それらを同定するに十分な情報を記入してください。
(例)学術論文(査読の有無を明らかにしてください。査読のある場合、採録決定済のものに限ります。)
著者、題名、掲載誌名、巻号、pp 開始頁-最終頁、発行年を記載してください。
(例) 研究発表(口頭・ポスターの別、査読の有無を明らかにしてください。)
 著者、題名、発表した学会名、論文等の番号、場所、月・年を記載してください。(発表予定のものは除く。ただし、発表申し込みが受理されたもの
は記載してもよい。)
(2) 今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素 

私の場合1ページ目に内容を、2ページ目に業績リストを載せました。
業績リストも少ない業績を多くあるようにみせるために、共著者となった論文の共著者を省略して(何番著者)と書くのではなく、全員の名前を載せていました笑

そんな感じで、実際の文章としては1ページしかなくそこまでたくさん書いたわけでもありません。
また、前の研究計画と違って、他の人に見てもらったりもしていません。

つまり、ある程度は手を抜いていても良いと言うことです。
私の研究室のトップは学振の審査員を務めている方でしたが、
その人も結局重要なのは研究計画の部分だと言っていました。

確かに審査員の人は、たくさんの申請書を見なければいけません。
そうなるとやはり読み込むのは研究計画のところでしょう。

かといって手を抜きすぎて適当な文章を書くのもダメだと思うので、
指定に書いてある内容にそって、自分の経験を踏まえて書いてみましょう。

書く場合は、結論→根拠となる経験→再度結論 という構成で書くと、
わかりやすい文章になると思います。

また、業績の数ですが、私の感覚として、DC1は内容がよければ、論文がなくても通ります。学会は出ていた方がいいかもしれません。
というのも私はDC1はA判定(不採用者の上位20%)で落ちています。その際に、学会には一度も出ておらず、業績欄は空白でした。
それでもA判定だったので、もう少し業績があれば通っていたのではないかと思います。
私の周りでも、論文がなくても通ってる人が複数人いました。

実際にDC2で通った際は、申請書の内容はほとんど変えず、学会と論文が増えた状態で申請し、採用されました。
DC2は論文があった方がいいかもしれませんが、論文がなくても通っている人はいます。

PDはある程度業績があった方がいいと思います。
しかし、私はそこまで業績はなく、論文も総説1報とimpact factor 1以下のショボイ論文1報で通っています。
しかし、研究計画はかなり良い出来だと思っていたので、そこを評価してもらえたのではないかと思っています。

5.【目指す研究者像等】の書き方

実際の申請書の指定は以下です。

【目指す研究者像等】※各事項の字数制限はありませんが、全体で1頁に収めてください。様式の変更・追加は不可
日本学術振興会特別研究員制度は、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的としています。
この目的に鑑み、(1)「目指す研究者像」、(2)「目指す研究者像に向けて特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ」を記入してく
ださい。
(1)目指す研究者像 ※目指す研究者像に向けて身に付けるべき資質も含め記入してください。
(2)上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ 

ここも研究遂行能力の自己分析の項目と同じように、
結論→根拠となる経験→再度結論という書き方で書きましょう。
いくつかの研究者像があるのであれば、研究計画と同様に
小項目にわけても良いでしょう。

(1)目指す研究者像 ※目指す研究者像に向けて身に付けるべき資質も含め記入してください。

に関して私の場合は、「国内外の共同研究の発足人」「バイオインフォマティクスに造形の深い研究者」と書きました。
正直ここは何でもよいと思うのですが、時代の潮流を踏まえて書くと良いのではないでしょうか。

例えば、現在のhigh impact journal (Natureなど)を見ると、共著者の数が非常に多いです。
これは一つのラボでの研究成果ではなく、様々な共同研究が行われているためです。
先に述べたように現在は、共同研究が質の高い研究をするために非常に重要です。
技術の多様化、求められる実験量の多さなど、一人で完遂するのには非常に時間がかかります。
そこで私はこの現状を踏まえて、「国内外の共同研究の発足人」を目指す研究者像に挙げました。

バイオインフォマティクスも生物学を専門にしている人ならわかると思いますが、現在非常に重要な分野となっているにも関わらず、まだまだそれを扱える研究者は少ないという実情があります。
その背景を踏まえて、「バイオインフォマティクスに造形の深い研究者」を理想の研究者像に挙げました。

(2)上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ 

に関しては自分なりに考えられることを書きました。
ここも何でも良いと思います。
SNSを活用するといった進歩的なことを書いてもいいでしょう。
国際共同研究を進めるために、英語を勉強するであったり、
バイオインフォマティクスの講義を受講するとかでも良いでしょう。

6.最後に

いかかでしたでしょうか。
学振申請書の書き方に関して、少しでも参考になれれば幸いです。

補足事項として最後に、「どの分野に申請すれば良いか」について書こうと思います。
先に述べたように私のボスは学振や科研費の審査員を務めています。
ボス曰く、分野によって通りやすさが違うそうです。

というのも分野ごとの通過率は同じでも、分野によってはビッグラボの強者があつまる分野があるからだそうです。

例えば私は脳腫瘍の研究をしているのですが、「神経形態学関連」という小区分で出しています。一見すると、「腫瘍生物学関連」という分野に出した方がマッチすると思いますが、個人的にそこには猛者が集まると考えました。
一方で、脳腫瘍ということで「神経科学一般関連」という小区分も考えましたが、ボス曰くここは猛者が集まるということでした。

そこで「神経形態学関連」という小区分に出したわけです。
ここの小区分の説明は「形態形成、脳構造、回路構造、神経病理、など」です。脳腫瘍は神経系の病気ということで、神経病理に当てはまってもよいだろうし、上記の小区分ほど猛者が集まりにくそうだし、そもそも申請する人も少なそうと思ったのです。

このような感じで、申請を出す小区分について考えてみてもよいでしょう。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
もし学振の添削をしてほしいという方がおりましたら、以下のリンクで承っております。
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